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ep.12 南下政策②

アビューズヘッヂホッグたちのボス?頭?みたいな奴を倒してみたら、なぜかは騒々しくなった。

「え、ボスやられたけど…」

「勝つんじゃなかったのかよ…」

「え、これって俺たちも殺される?」

「誰かどうにかしろよ…」

不安の声や、哀れみの声、怒号などが飛び交っていた。(まぁ一般人からしたらただ魔物が騒いでるだけなんだけど)その群れの中心に一匹なんかゴツい奴が出てきた。

「オメェら!俺らの強みは団結力だ!集団であいつをブチ殺すぞ!頭の仇を取るんだ!」

お、なんかめっちゃ強そうじゃんあの無能な頭より賢いな。

「そ、そうだぜ!副団長の言う通り、こんな奴俺らで殺せるぜ!」

副団長て…統一感なさすぎだろ…

「俺に続けー!」

ていうかまずいのでは?流石に捌ききれんぞ…

ドスッ

「ヒュッ」

…なんか副団長死んだわ。正確には理由はわかってるけど、多分常人には今の視認できないだろ…

「師匠、なんかうるさいからナイフ投げて殺しましたけど、良かったですか?」

「うーん、オッケー!」

今のはモモがやった。認識阻害と隠蔽がエンチャントされたナイフを副団長に投げつけ、見事急所を撃ち抜いた。ガチで、暗殺ってやつだ。多分今の芸当は俺にはできない。諜報員の加護を持って、攻撃と素早さに良く振られているモモだからこそできる芸当なのである。

「ヒエッ…」

「お、おい、副団長もやられたぞ…」

「俺たちで勝てるのか…?」

「馬鹿野郎!頭と副団長の意志を無駄にするな!突撃だ!」

向かってくるか…

モモの方をチラッと見る。あ、これ獲物を狩る目ですわ。制止するの難しいぞ…

「やめろ!お前たち!」

アビューズヘッヂホッグたちの背後から声がする。出てきたのは少し大きめのヘッヂホッグだった。

「強き者よ、我々をどうかお許しください。」

そう言って、土下座してきた。この世界に土下座の文化あるんだな。

「別に良いけど…」

「え、師匠許すんですか!?コイツら散々バカにしてきましたよ!?」

「いや、殺し合いなんて何も産まないし、エネルギーの無駄だし…」

正直あんま殺したくないんだよなぁ。手が汚れるし…

「ありがとうございます。そもそもここは我々の領土ではないのです。」

「お、おい…」

「もう良いだろう。話していけない理由などないではないか。」

領土じゃない…?どういうことだ?

「我々の領土は山火事で焼け落ちてしまったのです。正確には山火事ではないのですが…」

「なるほど、山火事で…でも山火事なのに山火事じゃないってどういうことだ?」

「人間が山火事と言っているだけですよ。本当は、誰かが魔法で放火したんです。」

「なっ!」

誰かが放火…?一体誰が…

「…誰がそんなことを?」

モモがヘッヂホッグに尋ねる。奥のヘッヂホッグが失禁するぐらいには殺気を放っていた。

何者かが放火したことに怒っているのだろう。

「誰かなんてわかりませんよ。でも、わかっていることなら1つ。」

「そいつは、鎧騎士を引き連れていて、魔力量が尋常じゃなかった。」

「それは、災難だったな。お前らでも流石に分が悪すぎるからな。」

鎧を着ている相手となると、ハリが通らないから結構不利である。

「それで、2日間徹夜で北上して、ここに来たんです。」

「やっと見つけた安全地帯だからそう易々と通らせたくなかった訳だな。」

「しかも俺に至っては人間だし、そりゃぁその考えになるな。」

「ご理解いただき感謝いたします…」

「でも、こっからどうすんだ?」

「ゑ?」

「いや、だってここ食糧ないぞ?」

「ゑ?」

「わざわざ北上してきたところ申し訳ないが、ないよ?食糧。」

「オワタ…」

ヘッヂホッグたちが落胆する。

「ここの近くで、村を見かけませんでした?」

モモが唐突に聞く。いやモモさんや、この先にあることは知ってるじゃない。

「確か、5分程すれば道が見えて、道なりに進めばいけると思います…」

「そうですか。5分……師匠。」

「どした?」

「カレーの作り置きってありましたよね?」

「え?まぁ、あるけど。一応あと野菜とかも。」

「彼らにあげるのはダメですか?」

「あー。」

なるほど、食糧は着いたらもらえると考えると、確かにいらないが…

「俺は良いけど、モモは良いのか?」

「べ、別に…良いですけど…」

嘘付けい!めちゃくちゃ寂しそうな顔しますやん!まぁ、良いんだったら良いんだけど。

「よし、全部あげよう。(出血大サービス)」

「良いんですか!?我々はあなた方の命を狙った身だというのに。」

「むしろそっちは良いのか?2匹殺しちゃってるけど。」

「いえいえ!こちらが勝手に喧嘩を吹っ掛けたみたいな様なものなので。」

「なら良いんだけど…」

こんな会話をしているうちにも、たくさんすでにヘッヂホッグたちは食べていた。中には子供もいたようで、子供が食べたことを確認して「よかった…」、と涙するやつまでいた。

(こいつら、俺たちに出会えてなかったらどうなっていたんだろう…)

そう考えると、こいつらに出会えてよかったと思う。

「本当にありがとうございました。この御恩どのようにしてお返しすれば…」

そういえば、辺境では労働力が最近足りてなかったなぁ。

「…俺の弟子になってみる気はないか?」

「ゑ」

「し、師匠何言ってるんですか!」

「いやだって労働力欲しいし…」

「でしたら、辺境所属にすれば良いでしょう!」

「…ごめん、どうゆうこと?」

「だから、辺境に住んで貰えば良いじゃないですか!何も師弟関係結ばなくても!」

「うーん。確かに。」

でもさ、モモさん。それだったら君も別に師弟じゃなくて良いってことになる気がするよ?別に師弟関係続行するけどね。

「我々を、辺境所属に…?」

「うん、そちら側が良いのならだけど。」

「是非お願いします!」

「意外とすぐに決まったな…」

こうして、ヘッヂホッグたちが俺たちの辺境の住民になった。

そして…

「村が見えてきた。ひとまず安心かな。」

「ですね。やっと一息つけますよ!」

村の名前も知らないけど、お邪魔しますかね〜

「おい!早く金出しやがれ!」

「や、やめてください。もうこの村には金なんてありません…」

「早くださねぇと、この俺様特注のエクスカリバーでお前の喉掻き切るぜぇ?ああん!?」

「ヒィッ!」

なーんかヤバい状況じゃないですかね、これ。

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