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Full Service  作者: 崎ノ夜
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Full Service 04

 Full(フル) Service(サービス) 04



 この男は柊幽(ひいらぎ かすか)


 その気品ある姿で誰もが振り返るような存在。彼の黒髪は常に整えられており、滑らかな質感が光を反射して艶やかに輝いていた。髪の一筋一筋までが計算されたように美しく、まるで絵画から飛び出してきたかのような完璧さを持っていた。


 彼の瞳は深い琥珀色で、まるで星空のような輝きを放っていた。その目に見つめられると、相手は瞬時に彼の魅力に引き込まれ、まるで時間が止まったかのように感じるだろう。


 彼の肌は陶器のように滑らかで、触れるとひんやりとした感触が心地よい。常に清潔感を保ち、その健康的な輝きは日々のスキンケアの賜物だった。高い頬骨とシャープな顎のラインが彼の顔立ちを引き締め、どの角度から見ても完璧なプロポーションを誇っていた。


 ストイックなトレーニングにより作り上げたスタイル。その身につける衣服は例え道端の激安シャツでも、一流のブランド品に見える。加えて、その歩き方は優雅で、自信に満ち溢れていた。背筋を伸ばし、軽やかな足取りで歩く姿。ランウェイで歩いてるモデルにもイロ負けだ。その証拠は、彼が近づくと周囲の人々は自然に道を開け、彼の存在感に圧倒されたように、視線を定められる。


 男の話し方は穏やかでありながら、確固たる信念が感じられる。誰と話していても、その声には落ち着きと説得力があり、聞く者を安心させる力を持っていた。彼の笑顔は温かく、心からの優しさが溢れており、その笑顔を見た人々は自然と心を開いてしまう。


 っと、出入境管理局(ロビー)の職員たちはそう語ってる。




「はあー……、だっっっる」


 柊幽は今日も布団から腕一本だけ伸ばし、目覚まし時計を切って、ふるちんの全裸のまま、彼は毛虫のようにベッドでうねってから、「……あああああー……」っとまた、枕を掴んで顔を埋めた。


 またしばらく経って、彼はまた毛虫のようにベッドから床へ降りて、そのモジャモジャな髪を掻いてから、やっと顔を洗いに行った。




 優雅な一日の始まりは、まず、お気に入りのコーヒーからだ。彼は香り高い豆をミルで挽く、ゆっくりとお湯を注ぎ、芳醇な香りが部屋中に広がることを嗜む。丁寧にカップに注ぎ、窓辺の椅子に腰掛けて一口。至福の時間が流れる。新聞を広げ、最新のニュースに目を通しながら、男は今日の予定を思い描く。


 次に、キッチンへと移動し、簡単な朝食を用意する。フレッシュなサラダ、焼きたてのクロワッサン、そしてヨーグルトに季節のフルーツを添える。男は食卓に並べられた朝食を見つめ、微笑みを浮かべた。朝の光が差し込むダイニングで、ゆっくりと朝食を楽しむ時間は、彼にとって一日の中で最も大切な瞬間の一つだ。


 っと、お茶の間で事務課の職員たちはハシャギながらそう語る。




「はあー……、クソだっっっる」


 なぜか枕の下にある下着を履いて、全身鏡に適当にかけてる白いTシャツを着て、柊幽は不穏な歩きでキッチンに向かい、コーヒーマシンにカプセルを入れて、ボタンを押す。


 その間に、冷蔵庫を開いて「…………」空っぽだから、閉めた。タンスの引き出しを開けて、チョコ味のカロリーメイトをひとパックを出して、出来上がったコーヒー……ミルクコーヒー添えで、ボーっと黒画面のテレビを眺めながら、朝食を済ました。




 朝食を終えた後、男はフィットネスルームに向かうのが日課だ。彼のマンションには最新の設備が整ったジムがあり、住民たちは自由に利用することができる。彼はいつもランニングマシンに乗り、軽くウォーミングアップする。ペースを徐々に上げながら、彼は心地よい汗をかく。ランニングマシンの前には大きな窓があり、そこから見える景色を楽しみながら、男は朝のエクササイズを満喫した。


 それから、シャワーを浴び、スーツに身を包む。鏡の前でネクタイを結び直す。身だしなみを整える男の姿は、まるで映画のシーンのようだった。鏡に映る完璧な身だしなみに微笑みを浮かべ、彼はマンションの玄関を出る。


 っと、喫煙所で執行課の職員たちは暇つぶしとして、彼についてそう語る。




「はあー……、まじでクソだっっっる」


 柊幽は少し身を屈んで、両手をドアにかけてもう一度そうつぶやく。彼は深呼吸して、きっぱりとドアを開けて、歩出した。エレベーターで1階に降りると、フィットネスルームには上品な音楽が流れているのが聞こえた。いつものコンシェルジュが笑顔で柊幽に挨拶をする「おはようございます、柊様。今日も素晴らしい一日をお過ごしください」


「おはようございます」っと、柊幽は軽く会釈をし、一日の運動量をこなしてから、軽くシャワーをして、出入境管理局(ロビー)へ向かう。


 運転席で耳を壊すほどの音量で大悲咒(だいひじゅ)を流しながら、消音すべきとてもワル~イ呪詛を色んな境の言葉で叫ぶ。


 この男は柊幽(ひいらぎ かすか)。彼は出入境管理局(ロビー)の職員であり、視察課のエリートさまであった。


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