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踊る羊と回る猫  作者: 椎名 園学
銃撲滅編
69/114

馬車

振り返って見てきたら爺さんのパルパへの名称が「お前さん」と「お主」の2種類あった(正確には「お主さん」もあったが)

どっちも言いそうなんで2種類で行きます

月が下がり太陽が登り出す

耳を澄ますと小鳥がさえずりどこからかパンの焼ける芳醇な匂いがする。近所の住人はこれで目を覚ますのだとか。だが1人コルクは夢を見ず目を開けていた。

一晩中



抱きつくと胸の方から温かさが伝わってきた。抱き心地の良い柔らかさと母のような優しさを感じ取り本能的にパルパはさらに強くそれを抱き締めた。

「…………」

悲惨な光景が何度かフラッシュバックし一睡も出来なかったコルクは何も言えずただ抱きつかれていた。

「(え………夜這い?いや寝てるのか……とりあえず頭撫でよっか)」

頭を撫でる。自分のサラサラとした肌触りとは異なり雑なぬいぐるみの綿のようにふわふわしていた。だがそれも心地よかった。けれどその行動は完全な失敗となる。3、4度撫でると衝撃を感じたのかパルパが目を開けてしまったのだ

「んーらいにぇん。……は?」

寝言を言い終わる前に2人の目が合うと固まった。

「あっー。お、おはよう」

「……おはよう…」

理解が追いついていないパルパと逆ギレで殴られなくて良かったと思うコルク

停止は1分半続いた

「このことを誰かに言えば殺す」

停止の後言われたのはそれだけであった。


「パルパちゃんどこ向かってるの?」

「爺さんのとこだ」

人間のそれかそれとも動物のそれか、ほんのり悪臭が漂う馬車の中。3人は零の本部へと向かっていた。

試験合格から何も無いまま時は流れ季節はいつの間にか夏に変わり蒸し暑い太陽が世界を照らしている

「なぁお主」

「?なんだ?」

パルパが顔を変えず返事する

「いや、お前さんじゃない。そっちの子じゃ。髪が白く無い方」

「私ですか?」

足を閉じ膝に手を置くライネンは爺さんを見て不思議そうにそう言った

「なんでお主は護衛隊に入らんかったんじゃ?」

「2人と違って私は戦えないんです」

「そうじゃったのか。意外じゃ。知っとるか知らんがお前さんのおばあちゃんはバリバリの武闘派じゃったんやゃぞ」

「え?そうなんですか?」

「そうじゃ。何せ元零じゃったんじゃからな。よく稽古つけてもらったわい」

それにライネンのみならず他2人も驚きそれぞれ感嘆すると「ところで」とコルクが話を切り出す

「いつから居たんですか?」

「あぁさっき来たばっかじゃ」

パルパの頭は渦をまく。今自分が向かっているのは零の本部で爺さんからの用で行かなければならないのに、その本人が今同じ馬車に乗ってるいるかつ「さっきこの馬車に乗った」理解は消え去った

「ここ臭いからもう行こうかのぉ」

そう言いパルパに触る。視界が一瞬途切れ身を開くと

視界には先程と変わらぬ景色が映ったままだ

だかさっきより少し世界の雰囲気が暗くどこからか

カラカラコロコロカラカラと不気味な音が流れている

そしてこの世界の1番の異変自分を覗いた全ての人が人間そっくりの人形となっていた。目はボタンである

だが不意にナイフを抜き身構えるとまた視界が途切れる。目の前には零の本部があった


ぽかんとしていると、ライネン、コルク、爺さんと続いてワープのように姿を現し始めた

「……お姉ちゃん…ハラミ=サルサ…」

「エルミ=パルパだよ。じゃあもう私達行こっか」

俺の顔を見るやいなや2人はすぐにその場を立ち去ろうと歩き出す。嫌われるようなことした節もないので

「なんで行くんだ?」

そう聞くと。ため息をつき後ろの爺さんを指さした。見てみると見たことない独特なストレッチで体をボリボリ鳴らしている

「ここにいたら危険だからね」

訳が分からず戸惑う、暇もなく

「別に勝手に「月興」を使ったことは良いんじゃがまだ速すぎるんじゃよ。「月興」は強いが強すぎるせいで並の人じゃ体が持たん。無論お前さんも例外じゃなかったろう。そこでわしが昔使っとった「月興」の簡易版「月興遊月」を教えてやろう」

当たり前のようにそう語るが俺は爺さんに「月興」を使ったことは言ってないし、なんならそのせいで怪我をしたことも言ってない。それなのに全て知られている上その対応策まで練っている。この人にはずっと適わないのだろうな。そう思い俺は黙って教えを乞うた

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