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踊る羊と回る猫  作者: 椎名 園学
王国編
55/114

ハイタッチ

状況が呑み込めない

「…コルクがやったのか?」

「違う僕じゃない。リンドちゃんが後ろから撃たれた」

パルパは目をつぶっていたので本当かどうかは分からない。だがコルクの焦りを見るに本当なんだろう

「とりあえず応急措置だ。前のやつ使ってくれ」

「分かった。植物の宴(ガーデンフィースト)

ウネウネと生え出す植物のような小人達、さっきと変わらぬように見えるが今回は酒を飲む者や歌っている者などふざけている者が居ない。皆急い傷口である後頭部へ向かっていった。その間にもパルパはリンドの膨らんだ胸に耳を当て首元に手を当て脈を図る……いっさい拍動は行われていない。心臓の止まりを受け自分の心臓が速くなるのは皮肉を感じる。即時心臓マッサージを開始するもただただ体が揺れるだけであった


13分後にコルクがやっとの思いで声を出すまでその行動が終わることは無かった

「…パルパ…。」

「…………」

「……試験時間もそこまで無いから」

「………あぁ…」

自然と胸から手が離れる。きっと体でも頭でも助からないと分かっていた。けれども止める踏切がつかなかった。誰かからの客観的終了を待っていたのだろう

2人は手を合わせ死体に合掌するとその場を離れた


「…一応だけど、リンドちゃんを撃った人がきっとまだ生きている以上警戒はないとダメだよ」

「あぁ警戒は解いてねぇ。逆に怖ぇのはそれだ。解いてねぇのに一切分からねぇ。」

兄弟と別れてからわ視界内外、音の有無問わず半径5メートル以内は落ちた葉や野生動物などを1つも見逃さなかった。だがリンドが死ぬ瞬間まで一切おかしなことは無かった。それよりもあの強さのリンドが気づかずしかも一撃で殺される程なのだから間違いなく強者なのだろう

「残り20分くらいだな。少し急いだ方がいいかもな」

「だね」

小走りでその場を離れるにつれどんどんリンドの死体が小さくなって見えた


死体が完全に見えなくなった

だがもちろんその程度で気は変わらずお互いに沈黙を決め込んでいた。

「あっ、あれ見て」

そう言いながらコルクは前を指さす。ゴールの目印である白い旗がヒラヒラ揺れていた

「何とかゴール出来そうだな」

「やったね。ハイタッチ!!」

満面の笑みで両手を上げタッチを求められるとキャラに合わないのを自覚しつつも嬉しくなって両手を上げてしまう。2人の手と手が触れる瞬間

「パルパ!!!そいつ僕じゃない!!」

視界にぎりぎり映る程遠くから走ってこちらに向かってくるもう1人のコルク。それを見た途端頭の中が数秒止まった気がした。ハイタッチをしたコルクはそれを見てニヤリと笑うとポケットから取り出したナイフをパルパに向け突きつけた

瞬時の反射神経でナイフを交わすと後ろへ後退し2人コルクどちらともから距離を取った

「あっぶねぇ」

「惜しかったなぁー。もうちょっとだったのに」

ハイタッチコルクの体がバリバリと歪に歪んでいく。それはまるでバグったようだった

「ごめんパルパ気づいたら変な所にワープさせられてた」

パルパの後ろにワープするコルク。

正直に言うとこっちも本物かどうか怪しいがあっちよりもあほ面なので本物だろう

「今年の受験者はレベルが高いね。楽しみだ」

歪が完全に消えるとそこにはペルジャバダード=ミルクがいた

「お前はあん時の」

「そうだよ。一緒に行こうって言ったのにエルミ=パルパが先に行くから」

「だってお前ぇ追う側じゃねえか」

「そうそう。あの時言っとけばよかったね」

指鉄砲(ゆびでっぽう)

いつもよりおぞましさ溢れるエネルギー弾をペルジャバへ放つ

「カウンター」

ペルジャバがそう言うとエネルギー弾は180度回転しコルクの方へと向かった

「えっ!やば」

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