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踊る羊と回る猫  作者: 椎名 園学
パストゥール編
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喪失の消滅


店の女将意外と好きー

エピンの笑い声には触れないでね(o^―^o)

「おねがいします」

ガラパゴスな骨董品がいくつも飾られた部屋でボブリッチは深々と頭を下げた。真剣な表情で説得するも一人は煙草をもう一人は葉巻をふかしながら適当な相槌で流すだけだ。

「迷子ぉ?。それ護衛隊に頼むほどのもんかぁ?」

気味の悪い声で笑い男は葉巻についている火をギュッと握り火を消した

「行ってあげなよエピン。さすがの私でも1時間もお願いされ続けられると疲れるよ」

「やーなこったぁ。最近街で暴れてるクソガキのことだけでも忙しいってのにさら仕事が増えんのは嫌ぇだぜ。逆にパールが行ったらどうだ?てめぇ暇してんだろう?」

嫌そうに男が断ると灰皿に煙草をこすりつけ女は大きなため息をついた

「はぁ。まったくしょうがない。私が行くよ。じゃあ名前だけ聞いておこうか」

「アントニオ=エべタロス=ボブリッチです。」

「あ、君の名前じゃなくて迷子の人の名前だよ」

「ああそうでしたか。エルミ=パルパです」

「エルミ=パルパ君ね。何か特徴とか有…」

「エルミ=パルパ?今エルミ=パルパって言ったか?」

さっきまでの全く乗り気で無い表情から一転し手を伸ばしていた新しい葉巻を置いて口を挟む

「おや、エピンの知り合いかい?」

「エルミ=パルパとなっちゃぁ話は別よ。おらが行くやぁ。クソリッチ。エルミ=パルパはどこにいるんだ?」

「誰がクソリッチ……ごほんごほん。ええーとアマダ山付です」

「アマダ山だな。てことはあっちか」

男は直ぐに飛び出す。「ちょっと」と女が声をかけるがそんなことに耳を貸さず部屋にひとつしかない窓を突き破り男はそのまま外に出た。

窓は粉々に割れ部屋にはガラス片が飛び散り小さな風が吹き抜けた

「あららー。掃除大変になりそう」

「なかなかぁ特異的な人ですなぁ」

「まぁね。ま、貴方も人のこと言えるほどデキタ人には見えないけどね。」

「え?」


「いらっしゃいませー」

少し昔ながらの懐かしさが残る賑わった酒屋。男二人は飛び出してきた声に一礼し近くの席に座った

「ビールを1つ」

お冷を持ってきた女将に人差し指を伸ばし1を示す。すると表情を変えず口調を変えて言い出した

「2人で来てんだから。2つ頼めやカス」

いきなり口調が変わったもんだから男が動揺していてるともう一人が注文する

「え、ええ。あ、じゃじゃあ2つ」

「ビール2つですね。かしこまりました。ビール二丁ー!!いや2兆うぅぅ!!!」

後ろに手を回しどこぞの応援団に匹敵するほど腰をのけぞる。声は店内に響きわたるがこれが普通なのか誰一人として会話、食事を止めようとはしない。数秒発し続けると女将はすぐに厨房へ行ってしまった

「なかなかパンチ効いた店だな」

「そんなことより魔法機器の件どうするよ?結構クレーム来てるぞ?」

「どうしようもねぇだろ。異世界人に色々頼んだけど魔法側の問題なんだと。ったく使えねえ」

「そういや、異世界人と言えば最近また賊が暴れ回ってるらしいぜ?強盗とか殺人とかでよぉ」

「ひぇー怖いなぁ。」

「人身売買的もあるらしい」

「へぇー人身売買……ひぇー怖いなぁ」

「お待たせした。ビーフになります」

振り返るとさっきの女将が両手にどっぷりとしたステーキを持ち立っていた。ステーキは黄金のようにキラキラ輝く純白の湯気が立ち上がっている。添えられたブロッコリー、人参は今にも躍り出しそうなほど新鮮だ。あまりのビジュに今すぐにでも食べたいんだが……さっき俺ビーフじゃなくてビール頼んだような気が

「いや、さっきビール頼んだと思うんですけど…」

「おい、この肉見た目はくそうまそうのに中完全に生だぞ。レアとかそんなんじゃねぇレベルで」

隣で既にステーキにナイフを入れていた同僚が肉の断面を見せてくる。……完壁真っ赤だ

「だぁーまれぇ!!!。男はだまって肉食っときゃいいんだよ。あとこれはレアじゃなくてパーフェクトレアな。勘違いすんなタコが!!」

パーフェクトレア(完全な生)。やっぱ生じゃねえか」

「うっせえな。それ以上生、生言ったらセクハラで訴えるぞ」

怒涛の勢いに押され黙ると女は1万ロアポと書かれた伝票を置き隣の席のオーダーを聞きに行った。新手の詐欺だろうか……

「最近の女ってこんな野蛮なやつばっかなのか...」

「ビール飲みたかったな」とか心に思いつつレアステーキ(?)にナイフを入れたその時


「手上げろぉ」

定番のフレーズに体を振り向け見てみると男たちが扉を破りぞろぞろと店の中に入ってきていた

「おい!賊のゴミども。あたいの店なんしてくれてんだい 」

厨房から声が聞こえてきた思うと急いで両手に料理包丁を身につけた女将が飛び出してきた

「うるせぇな。撃ち殺すぞ」

「やってみろぉ。返り討ちにしてやんよ」

賊の先頭に立っていた男が銃を構えるとそれに負けじと女将よ構える。正しく一触即発だ

「今のうちだ回り込んで金を奪え」

後ろにいた男たちが指示を受けすかさず左右両方からレジへと急ぐ。女将は目の前の男から神経を外すわけに行かずどうしようも出来なかった

「ボス。20万ロアポありました」

男が札を束にした袋を持ち店を出ると場違いそうな小さな子供が立っていた

「よくやった。よし2軒目行くぞ」

「そんな飲み屋ハシゴするみたいに言わないでくださいよ」

そして店を後にしようとしたその時……

「止まりなぁてめぇら」

どこかから声がする。だが周りを見渡しても誰もいない。とりあえず銃を構えた途端「ヴァン」という音と共に後ろにいた男が倒れた。さらに1人2人次々に倒れていく。

銃声の鳴る屋根の上に誰か立っていた……

「誰だテメェ」

「おらの名前はラルク=オボタス=V=エピン。よろしくどうも」

「撃ち殺せぇ」

一斉に皆で銃撃するもエピンをスラスラよけ誰一人として当たらない

「お。たまたま駆け寄ったら居んじゃん。エルミ=パルパ」

エピンは懐から銃を取り出し銃口を子供に向けた

「なんで俺の名を知っているんだ?」

「そりゃあんな有名人だったら流石の俺でも知ってるよォ」

「悪いが邪魔すんなら容赦しねぇぞ」

エルミはナイフを持ち睨む。

「ここで決闘かぁ!面白くなってきたァ」

すぐさまエルミは地面を蹴り体を宙に飛ばしてエピンへと近づいた。殺意を込めナイフを振るうがエピンはそれを綺麗に交わす。そしてポケットから小さな瓶を取り出すと店の屋根に投げつけた。

瓶は割れ破片は飛び散る。中に入っていた液体もこぼれた。………そして屋根は燃えだした

「お前、正気か」

「いいだろう火炎瓶。おらは勝つためならなんだってするぜぇ」

エピンは落ちていた木材に火をつけエルミ目掛けて投げた。

加速度的に速さを上げ近づいていき触れる直前、素早くエルミは切り刻みバラバラと砕けた

「なかなかぁやるなぁ。が、ちょいと隙が多ないかぁ?」

いつの間にかエルミの背後をとっていたエピンは瞬時にエルミの体を蹴り飛ばした。エルミは正確な受身を取れず地面へと叩きつけたれた

「ちょいとおらを舐めすぎだぁ。油断敵敵」

「お前もな」

砂埃が舞う地上からエピンを見上げるとエピンの右足から血が吹き出した。

「血かぁ。久しぶりだな」

あの瞬時に切ったのかァ。さすがエルミ=パルパだなぁぁ

膝に手を当て付着した血を見つめると、それを口に運んだ

「意外と血も悪くねぇな。てかうめぇ」

「ならもっと味あわせてやるよ」

「おめぇのを飲むとするやぁ」

屋根から飛び降りたエピンは銃を構えエルミに向ける。引き金に触れ引く寸前……

「パルパ!!!」

2人が同時に振り向くとそこにはライネンが立っていた

「誰だ?」

「私。私だよレオラ=ライネン」

「嬢ちゃん下がってな。あんま前出られるとぉ守れねえ」

再び二人は見つめ合い戦いが始まろうとするとライネンはこっちに走り出した。

弾丸は回転しながら飛び出す。時間の経過事に速さを加速させエルミに近づく。エルミは平然とそれをかわす。すると突然ライネンの元に走った。右手には内部がしっかりと握られていて殺意が見て取れる。

「ちっ不味ぇ」

距離が縮まりナイフを振りかぶる。刹那の時が流れ辺りに()()()血液が飛び出した……

「はよォにげろぉ」

斬撃を庇ったエピンは反撃を仕掛けるべく振り返るとその光景が視界に入った。

ライネンはエルミに向け飛び込み二人は地面に倒れた

「ごめん。ごめんね…。」

涙を流しながらエルミの体に抱きつく

「なんで謝るんだ?」

「ぐすん……ぐっす……一緒にお家帰ろう?」

「……この感覚昔感じたことあるような」

「……もう…会えないかと思って……」

疑問に満ちた表情のエルミはただ暖かい胸を感じていた

今にも泣けてきそうなこの展開、エピンはそっと歩き出した

「ぽるぽるぽる。しゃーねぇ。今回は見逃してやっかぁ」

「おい、お前見てたぞ」

服を引っ張られ動きが止まる。ちょっとずーつ後ろに視界を入れていくとあの女将がプンプンな顔で怒っていた

「へ?」

「お前あたいの店に火つけたよなぁ!」

「あ、」

「どう責任取ってくれんだい?」

「逃げるかぁい」

悲鳴が鳴り響くまでそう時間はかからなかった…


「本当に信じていいんだな?」

俺はいろんな感情に左右されつつもライネンの話を聞き家に帰った

「ったく坊主はいつも心配かけすぎだ」

「すまない」

「はぁ、じゃ、ゆっくり寝ろよォ」

電気を消しボブリッチが部屋を出ると直ぐにライネンはエルミに抱きついた

「ほんとにごめんな。」

「心配だったけど結局戻ってきてくれたから大丈夫」

静かな空間が過ぎライネンが眠り始める。俺はそっと願った


記憶が無くならなきゃいいのにな


「ふぁぁ。眠い」

朝の光に目覚め伸びーすると隣で寝ていたエルミも起き始めた

「あっごめん。起こしちゃった」

「いや、ちょうど起きたところだ」

眠そうにゴルゴルと目を擦るエルミを眠い私はぼーっと見ていた

「もうそろそろお父さん来るよ」

「なんで来るんだ?」

「寝起きのパルパが暴れないようにするためだめよ」

「物騒だな」

「パルパが暴れなきゃいいのに」

「それ言ったらレオラだって夜ちょこっとイビキかいてるだろ」

「えっそうなの?」

「何回か起こされたんだからな」

「ごめんごめん。気をつける」

私イビキかいてたんだ。悲しい。もしかして学校で居眠りしてる時もイビキかいちゃってるのかな。うわー恥ずかしい。男子とかから変なこと言われてないかな、まぁこれからパルパに起こしてもらえばいいっか。パルパにって…え?あれ?


「なんで私の名前知ってるの?」

その時タイミング良く駆けつけたボブリッチが扉を開ける


「おはよぉレオラ。チェーン持って来たぞぉってもう坊主起きてんじゃねぇか。今日は暴れねぇんだ」

「お、おはようボブリッチ」

「えぇええぇええええぇぇえぇぇぇ!?!?!?」

誰の何かも分からないような叫が少し先の家まで響いた


これが俺の始まりの物語だった


それから何十回と季節は変わり世界は前進する。植えられた木はすくすくとのび木の実を生やし美しい景色となる。俺たちも時間の流れにのり気づけば10年が経過した

「パルパちゃん起きてー朝だよー」

くっそ寒い冬であろうとライネンは変わらず元気に起きる。俺は布団の中で体を丸めた

「もうちょっと寝かせて」

「ハイハイ起きるよー」

そう言い布団をバサッとめくる。丸まっている体を見てライネンはつんつんとお腹を触る

「ん。つめたぃ」

「おはよ。自分で服脱げる?」

「うーん。やって」

「まったくーしょうがないんだから。あれちょっと背伸びた?」

「どうせ変わんねえよ。この10年背が伸びるのはお前ばっかで俺はこれっぽっちも。こんなでかくしやがって」

「キャ!。どこ触ってんの!」

「別に減らねえし良いだろ」

「そういう問題じゃないの」

「ハイハイ。分かった分かった」

ぷりぷりとほっぺを膨らませ俺を睨む。まったく、平和だな……。俺は静かにライネンに抱きついた






やっーと始まりが終わった。疲れたよ。ホンマ


書くことないので豆知識!

酒屋の客の男二人は護衛隊に関係する意外とえらい人!

(もう出ることはないけどな。)

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