不安
投稿ペース逆算しながら書いてます
昨日は心待ちにしていたシエスタの誕生日でした。日付が変わった瞬間ちょっと泣きそうなりました。来年まで長生きしたいです。
エルミからの呼び方がレオラ。それ以外だとライネンと呼ばれています。
2話でエルミがライネン呼びなのはスミノフの話を聞いて苗字呼びだと母のこと思い出すんじゃないかっていう配慮です。意外とエルミは優しいね
朝日が照らす部屋にピリついた空気が走る。
「だ、誰って。。ライネン。。だよ?」
ライネンが何と言おうとエルミは睨むだけであった
「知らねぇ名前だな。なんで俺の隣で寝てたんだ?」
「それは、エルミが。。一緒に寝ようって言ってくれたから。。。」
ピクリ目を大きくし驚くがそれでも緊張は走り続ける。エルミには生物的防衛本能が流れ続けている
「どうした?喧嘩かぁ??」
大きなあくびをしながら部屋の扉を開ける。おっさん臭いパジャマ姿のボブリッチを見た途端エルミは素早く飛び掛かり蹴りを喰らわせた。腹部からは鈍い音が鳴りそれを見ているライネンは口を開いたままだ
「なんか、悪かったな」
「まったくだぜ。」
腹をこすりながら「イテテ」とつぶやく。あれから追い打ちをかけようとするエルミを何とか食い止め事情を説明するとエルミは素直に説明を聞き入れた
「レオラもごめんな」
小さくうなずくがエルミの顔からは申しけなさが拭い切れていない
「坊主以外と素直なんだな。てっきり人のことそんな信じねぇタイプだと思ってたぜ」
「心外だな。俺の取柄は素直さなんだぞ」
「がハハハ、ガキなこったい」
口を広げ大きく笑った。それと同時に8時を告げる鐘が鳴り響いた
「立派な鐘だな。備え付けか?」
「そんな立派な家に住んでたらベットの二つや三つもってるわ」
「確かにな」
「納得すんじゃねぇよ」
すぐさま着替えなどの身支度を済ませバスに乗り学校へ向かった
走って学校に向かいギリギリで校門にたどり着いた時過去の会話が脳裏によぎる
「本当にただレオラを見守ってるだけでいいのか?」
「あぁ、それ以上は望まねぇよぉ。だから、頼むぞぉ」
レオラを見守るかぁ。。あいつが親バカなのもあるが、、
二人はボブリッチの指示で手をつなぎながら校門をくぐった
授業開始のチャイムまでそんなに時間は残っていないが辺りにはまだ遊具で遊ぶなどして小学生があふれている。ふと握られていた手に力がこもっているのを感じ横を見るとライネンが体を縮め震えていた
何かと思い聞こうとしたとき突然目の前にやってきた3人に話しかけられた
「おいおいこいつまた来やがったよ。」
「。。。」
「先週グラウンドでお前のお葬式ちゃんとやってやったんだぞ。それなのに生きてるとか。。式代返せカス」
「。。。うぅ」
「ぴぃーてぃーえーの大人たちに死んだって広めといたから。もうおめぇの席ねぇから」
「ひっぐ、ひっく、、、」
ライネンは涙をこぼした
「あちゃー泣いちゃったよ。泣いたってなぁ!変わんねぇんだよ。お前が強くなるしかないんだよ!」
涙が止まることはなく泣き声も音を増していった。それを見て3人組はまた笑う。
そして次の標的へとエルミに視線を移す
「なんだおめぇ。ライネンママか?ちっこいなぁ。早すぎる。。。闇が深そうな家庭だぜ」
「なんか言えよ。はよしねーと俺たちのラップバトル終わっちまうぜぇ?yeah。ディベートとでも言おうか」
「コウロギみてぇな顔しやがって。なんや?食われてぇのか?食うぞ?食えー」
アムアムと自分の二の腕を噛む。が、痛すぎたのか瞳から涙がこぼれている。なんて知能指数の低い集団なんだろうか。エルミは茫然と立ちすくんでいた。だがそれが良かったのか3人は向こうへ行ってしまった
「。。。今の友達か?」
「うんん。。。」
これ以上聞くのは流石にダメだと思いそっと視線を外す。その隣でライネンは下を向きながら話し始めた
いじめられるきっかけとなったのは些細なことだった。たまたま肩がぶつかってしまったとかその程度のことだった。だが相手は怒り今のような顔を合わせる度罵詈雑言を浴びせられるようになってしまったのだと。それから不登校になるまでそう時間はかからなかった。どおりであいつがあんな過保護にするわけだ
「。。帰るか?」
そう聞くも返事は帰ってこない。だが首は縦にも横にも振らない。ただ冷や汗を流し立っているだけだ。次の手を考えるまでは俺も隣で立っていた
短かったのか長かったのか体感時間ではわからないがボブリッチから借りた腕時計は立ってから5分経過し現在8時55分。あいつは9時までに着席と言っていたからそろそろ動かなくてはいけない。それでも彼女は汗をたらし立ち続ける。
「。。。教室。。。いこ。。。」
8時58分
遂に彼女は動いた
騒がしく周りの人達がしゃべりにぎわう教室。その扉の裏に俺たちはいた
「入らねぇのか?」
「は、入るよ。」
勇気を振り絞り教室に入る。一歩、また一歩。歩みを進める。うるさかった周囲の音はひそひそとした噂話ばかりになりただライネンだけを見つめていた。だが不登校明けのライネンが無言でスルー出来るはずもなくとりあえず目の前にいた目が合った少女に挨拶した
「。。えっ。あ。おはよう。。ございます」
ありえないほど長い体感時間が過ぎ近くにいた小柄な少女がしゃべった
「おはよ!!」
少女はそれだけ言って他の友達の元にしゃべりに行った
途端に辺りから元気なしゃべり声が聞こえてくる。ものの数秒でもとの賑わいに戻りほっとしたのかライネンは静かに席に着いた
「はいでは次はこの問題をお隣さんと解いてみましょー」
算数の問題が黒板に書かれ皆一斉に解き始める
先生の配慮でライネンの隣に座っているエルミもちゃんと問題を解いていた
「なぁ」
説いていた問題から手を離し俺の方を見る
「どうしたの?」
「お前友達いたんだな」
「。。友達。。なのかな」
確かに言われてみれば「おはよ」と返しただけだが、まぁ無視されるよりも全然いいだろう
「てかさっきのあいつらは同じクラスじゃないのか?」
「うん。。確か一個上のクラスだった気がする。あっそうだ。この問題わかる?」
一生懸命考えながら描いている鉛筆で問題を指す。もちろんを俺もわからないので困りそれを見て二人で笑う。レオラが元気になってくれてよかったぜ。これであとは元凶をつぶすうだけだな
俺はひとまず問題を解いた
「なんやぁぁこれぇ」
昼休み。机の中には例の3人組宛に一つ手紙が入っていた
放課後校舎裏に来い。もちろん来るよなチキンども
コウロギみてぇな顔より
「これぇあいつだぁぁぁ。水道管の横にいた早すぎるママ。」
「あれじゃね?果たし状。。いやワンチャンラブレター」
三人は顔を赤くし自分の体にハグもどきをする。正直キモイ
「お、おまえらタキシードもってるか?多分いるよな」
「俺は今のうち悟り開いとくぜ」
三人のなかで一番太った男はその場で座禅を組み祈りを始めた
「ちっちっち。お前ら全く分かってねえな。こういうのは気持ち。そう「気」なんだよ。俺金おろしてくるわ」
三人それぞれ硬い意思を刻んだ
昼休みが終わり5時間目がやってくる。これまた難しい問題を次々に出され頭を悩ませる。そのせいか時間の流れが速く感じ気が付くと帰りのホームが始まっていた
「はい。それじゃあみんな今日も一日お疲れさまでした。では明日の予定ですがもう皆さんわかってもすよね。そう、待ちに待った遠足です。明日一日楽しめるように今日はたーぷり寝るんですよー。あ、あとおやつは300ロアポまでですよ」
先生の話を聞きクラスは皆は大きく喜んだ
「何もってくー?」
「おかしー」
「それはしってるよ」
教室は和気あいあいと盛り上がりそれぞれが喜びを見せるだが一人だけ違う表情を浮かべるものがいた
「時間だな」
エルミは不敵な笑みを浮かべた
「エルミちゃん?なんか怖いよ」
「ん?あぁ、わりぃ。っあ。そういえばちょっと用事あるから先帰ってくれるか?」
「え、うん。わかった」
「お、お前ら。もう気合は入ったか」
「当たり前だぜ」
「ちょいと悟ってきたわぁ」
人っ子一人いない校舎裏。約束通りあの三人はそれぞれ独自の準備を済ませてきた
片手にバラを持ちながら腕を組むタキシード。家に帰り服など売れるもんすべて質に入れ5000アポロを用意した短パンYシャツ。そしてわずか数時間で悟りを開き出家してきた坊主頭
彼らの心は出来上がっていた。
そんな彼らに一人の少女が近づいてきた
「っしゃあ。じゃあはじめっか」
ポキポキ手を鳴らしエルミは近づく
それに合わせ3人も近づいた
「お、お疲れ様です」
タキシードをきた少年は頭を下げ挨拶をする。その行動を見てエルミは少し驚いている
「あなたをぜったい幸せにします。」
そう言い1本バラを差し出す
ただそれを見てエルミは力を籠めみぞおちを殴った
タキシード少年はよろよろ後ろに倒れ尻もちをつく
「振られたな」
「そのようだな、だがあいつは我ら3人衆のなかで格下、ただの実力不足よ」
残りの二人は顔を合わせ頷きあう。そしてすぐさま短パンYシャツ少年が仕掛けた
「あなたにすべてをささげます。Ti amo」
これまた何も言うまでもなく腹パンをきめた
さて最後の番だ。坊主少年はエルミの向かって歩き出す
「私はあなたの。。。。」
坊主の少年がしゃべりしゃべりきるより早くみぞおちを二発決めた
「なんで俺だけ二発。。。」
ふらふら後退し壁に寄りかりお腹をさする。ボロボロの3人の前に立ちエルミは
「さっ。これから二度といじめたりしねぇよう。教育しねぇとな」
ぐるぐる腕を回しとびかかる。悲鳴が聞こえ始めるまでそう時間はかからなかった
「も、申し訳ありませんでしたー」
太陽も沈み始め辺りはすっかり赤色に染まる。その美しい景色の中異様な光景が家の前にあった
「はい。もういっかーい」
「申し訳ありませんでした」
エルミの言葉に合わせ3人一斉に謝る。それを見ているボブリッチとライネンはぽかんと口を開ける
「お、おい。坊主こいつらどしたんだ」
ボブリッチが動揺しながら訪ねるとエルミは平然と答えた
「いや、なんかこいつらがライネンにただ謝りたいっていうから。な?そうだよな?」
振り向き尋ねると三人は震えながら「エルミさんのおっしゃる通りです」と答える
「というわけでなんでこいつらのこと許してくれるか?」
ライネンはコクリと小さくうなずき三人が「ありがとうございます」と言い土下座で礼をする
6時を知らせる鐘が響くがそれに負けないほど三人は何度も謝りまくった
「うわぁ。疲れた疲れた」
ライネンがお風呂に入っているのでエルミは一人ベットで横になり体を伸ばしていた
「にしても意外と手痛ぇなぁ。ちょいと殴りすぎたかな」
何度も膝を崩れ落としながら帰って行った3人を思い出しながらつぶやく。もちろん罪悪感などこれっぽちも感じていないんだがな
大きなあくびをしながら仰向けになっていた体を横にして時部屋の扉が開いた
タオルを首にかけながら小さく可愛いイチゴのパジャマを着た少女。ライネンだ
「ねぇ、エルミ」
すっと俺の横の布団に入りちょっこり頭を出しながら話しかける
「どした」
「ありがと」
「え?」
「私のためにやってくれたんでしょ?。朝あったとき嫌なこと言ってきたから」
うれしかったのか恥ずかしかったのか小さい声でライネンは喋る
「ちげえよ。アイツら俺にも言ってきたからやり返しただけだぞ」
「エ」
レオラは自分が勘違いだったことに気づき徐々に顔が赤くなり出していた頭を布団に引っ込めた
「恥ずかしい」
「はははは。お前面白いなぁ」
「うるさい」と小さく言いさらに体をぐっと縮める。ったくそんなことしてもどうせ隣にいんだから変わんねぇのに。
「でもありがと」
「はいよ」
俺もゆっくり瞼を閉じ明かりを消した