表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界ラブコメじゃなかったのか!?~神に召喚されたオレの悪夢の結末~

作者: JING

はじめましての方ははじめまして、見覚えある方はお久しぶりです。

恋愛モノは初めて書くと思います。


それではどうぞよろしくお願いします。

「勇者さま!どうか龍神族の姫たる私と結婚してくださいませ!」


「いいえ勇者、腹黒で有名なドラゴン姫より魔王の直系のアタシをえらぶよねっ!?」


「何好き勝手言ってるのですわ!?誇り高き吸血鬼族のお嬢様のワタクシをお選びいただけますわよね!?」


「いーや違うねッ!勇者お兄ちゃんには王狼フェンリル様の子孫のボクこそふさわしいと思うんだよッ!!」



「「「「「さあ!」」」」」


・・・どうしてこうなった。

この流れを見れば洗練された読者諸兄は『ああ、異世界ハーレム物ねよくあるある。』と、踵を返してしまうところであろう。だがちょっと待って欲しい、俺の悪夢はここから始まったのだ、少しだけお付き合い願おう。



━━━━━━━━━━━━━━━



数時間前オレ、○○○○はとある神を名乗る存在に日本から召喚されてライトノベルの異世界転生モノによくありそうな【一面何もない真っ白な空間】とやらに放りだされていた、なんで召喚されたかわかったって?

それはカンタンだ、会社から疲労困憊で帰路に就いていた俺の足元に真っ赤な炎のような光を放つ魔法陣が現れてそのまま吸い込まれたからだ。身体が燃えるような熱い感覚まで覚えている。


「ようこそ、ようこそいらっしゃいました!!」


そしてそんな場所に来たオレの目の前には・・・女神でも現れるのかと思えば全く違う、海外の映画で見るような神父の姿をした真っ黒な肌を持つ背の高い男が片膝を突き大手を広げていた。

肌の色について言及する気は無いが、黒人種のそれとは違う本当に光の当たらない闇のような顔に恐ろしく整った細い目、スラリと伸びた鼻、肉厚の唇と喋る度に覗く真っ白な歯が際立って見受けられた。


「我が招待に応じて頂き心から感謝を述べます人の子よ。我が名は・・・もし正しい発音をしても雑音にしか聞こえぬことでしょう、どうぞ【ナイ神父】とでもお呼びください。重ね重ねようこそ我が主より任せられた世界へ!!」と神父を名乗る大男は立ち上がり、まるで歌舞伎かオペラ俳優のように謳う。


「ナイ神父、ですか・・・応じたって言いますか、オレは会社から家に帰ってただけなんです。なぜオレは召喚とやらに?」

「それは勿論貴方様の資質が関係して参りますとも。」


神父の言葉によればオレが選ばれたのは学生時代に青春とはこれだとばかりに身を投じたオカルト趣味とその知識量によるものだと言う。

特に【大いなるクトゥルフ】を筆頭としたラブクラフト一門の綴りあげた【クトゥルフ神話】関連の収集には最も心血を注いだと言ってもいい、そんな知識を持つオレをわざわざ日本からヘッドハンティングしてきたらしいのだ・・・もちろん年俸などはわかりやしないが。


「それで・・・オレは何をすればいいんでしょう?オカルトには強いですけど腕っ節はありませんよ?」

「ククク・・・勿論貴方様には戦って頂かなくとも結構、そのような事は現地のものにでも任せればよろしい。私どもが○○様にお願いしたいのは知力をもってゴブ・・・いえ、お猿さんにも近しい我が主の世界を救って頂きたいので御座います!」


・・・だんだん嫌な予感がしてきた。

もしこれを聞いてしまったらその後キャンセルかクーリングオフが聴けばいいのだが・・・こういう手合いはそんなものを用意しているとは思えない。


「えっとナイ神父?」

「はい!!」

「オレに拒否権は?」


そこで神父は初めて目を見開いた。

それはまるで磨き上げた黒曜石の如き双眸。普通の人間なら幾ばくかの充血があるだろうにその白目は白一色で瞳孔の漆黒を際立たせていた。


「ありません。

あいやしかし!勿論タダ働きという訳ではございません、無事に任務を遂行して頂けた暁には様々な褒美と共に元の場所時間にお返し致しましょうとも!」


・・・酷い詐欺だ。

元からこいつはオレに拒否られようと素直に帰してくれるつもりは毛頭無かったようである。


「そうそう、そのままの身姿でポンと送り出す訳にもいきませんでしょう。貴方様には【特別なスキル】と向こうの者と通ず言語野を備わって頂きます。」と言って四個の指輪をポケットから渡してくる。


「そのリングに伏せる力はそれぞれ一つずつ。」


一つ、言語野の開拓。つまりはかの世界の言葉を見聞き書く事ができるように。

一つ、どんなダメージを受けようとすぐさまその事実がなかったかのように再生復活する。そして老化も起きない。

一つ・・・


そんな説明を最後に俺はかの世界、【カダス】へと送り出された。


オレの持つ最後のスキルとは【どんな異種族をも従える能力】。

そして開拓された言語野とは【人間以外のどんな種族とも意思の疎通が可能】というものだったのだ。



さてここで最初のシーンに戻ろう。



オレを慕い取り合うようにアピールをしてくるこの四人の女性たちは全員が人間とはかけはなれた容姿だった。

勿論オレの真の任務とは異種族どもを取り纏め彼らにとっての王、つまりは人間たちの言う【魔王】となって世界を手に入れることになる・・・。

オレは異種族たちにとっての勇者であったわけだ。



━━━━━━━━━━━━━━━



「さてさて、無事に任務をやり遂げましたな〇〇様。さて、最初にお約束いたしました通り貴方様を元の日本へと戻して差し上げましょうぞ。御身は何を持ち帰りたいですかな?」

「いやいい。」

「はい???」

「我はこの数百年で人間への興味など完全に失せてしまった、今更元の世界に戻ったとしても全く面白くないだろうな・・・【ニャルラトホテプ】、拒否権はあるか?」


言うが早いか、漆黒の神父の姿は巨大な獣の如き化身に変わり我を見下ろすように立っている。

顔こそは窺い知れないがそこには燃えるような真っ赤な三つの眼が爛々と輝いていた。


「勿論許可致しますとも!!貴方様には永劫我が主【アザトース】様が創造せし世界、【未知なるカダス】を収めて頂きましょうとも!!!!ンンンンン!!!」



━━━━━━━━━━━━━━━



そうしてオレ、いや我は人間は自分一人しか存在しない一つの世界の王として未来永劫君臨することが確定したのだった。



全く、人間を愛せなくなるなんて【悪夢でしかない】ぜ。

如何でしたでしょうか?


神父のセリフ回しにとあるキャラクターの影響を多分に受けているのはこの夏が悪いと言っても過言では無いと思います。ンンソンン。


またアイディアが思いついたらお会い致しましょう!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ