表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

8.職人の朝が早いのか、私の方が遅いのか・・・


「・・・おはようございます」


「起きて下さい・・・!」

 うっ。体に一気に重みがのしかかる。

「ルフやめて、まだ夜でしょう」

 窓の外に目を向けると、まだ朝日すらも昇っていない時間だ。この部屋には時計がないので、時間は分からないが朝の4時ぐらいの予感がする。

「もう朝ですよ!」

 乗っかったルフの体を回転して落とし、毛布を再び被る。

 しかしその毛布をルフが引っ張る。そんな攻防が繰り広げられる。

 私が完全に毛布にくるまるとルフは引っ張るのを止めた。

「買い物一緒に行きませんか・・・?」

「えっ・・・。今から?」


 まだ日が昇っていないというのに、買いものに行くの? 

 でも、そういえば日本でも、市場の朝は早いって聞いたことがある。自分には無縁だと思っていたことが、まさかの現実になってしまった。

「果物だったり、お魚も出ますから付いてきませんか」

 興味はあるので、渋々起きることにする。体を上げ、背筋を伸ばす。

「20分後には出ますからね」

 そう言ってルフは部屋を出て行ってしまった。20分後って言われても、この部屋は時計ないからわかんないんだけどね。

 このまま寝ても良いだけど、市場は正直見てみたい。昨日街で見たのは、一部だったし魚を一度も見ることがなかった。なので、今回ばかりは起きることにする。

 

 部屋で着替えを済ませ、リビングに行くと朝食が用意されていた。私が昨日座っていた席だけに料理が置かれているので、恐らくみんな食べてしまったのだろう。

 それに先ほどから、1階でガサゴソとした物音やオーブンの音が聞こえてきている。恐らく仕込みなんだろうけど、この時間からするのは流石である。


 20分ぐらい経っただろうか。2階にルフが戻ってきた。

「準備できましたか」

 ご飯も食べ終えたので、私も頷き席を立つ。


 1階に降りると、レオンさんが待っていた。

「それじゃあ、行くぞ」

 どうやらミフィさんはお留守番のようだ。私も明日はお留守番させてもらおうかな。


 市場はこの街から、離れの方にあるらしい。昨日、ルフが話していた畑などがある所の近くとのことだ。30分ぐらい歩くことになるらしい。

 昨日の歩いた距離と痛み的に、筋肉痛がなっていると思ったが、案外そんなことはなかった。私ってまだ若い(15歳)・・・?


 通りを歩いていると続々と人が集まってくる。最終的に市場に着いた時には、かなりの行列になっていた。


 屋根だけが付いているような建物で、近くには海があるとのことだ。風が強いのは、その潮風によるものだろう。

「それじゃあ、見て行こうか」

 レオンさんが先陣を切って前へ行くので、ルフと一緒に着いて行く。密集度が高いので、迷子になってしまうリスクが高い。なので、ルフと手を繋いで歩いた。


 先に野菜・果物がカゴに入ってずらりと並んでいる場所に着く。

「もし買いたいのがあったら好きに持ってきて良いからな」

 代金は払いますよと伝えたが、断られた。しかし、新しい条件を持ち掛けられた。

「お店用にお菓子を作って欲しいんだけど良いかな」

 どうやら昨日食べたフレンチトーストがよほど気に入ったらしく。お店でも出したいと思ったそうだ。

「だから、果物とか使うものがあったらどんどん行ってくれ」

「ありがとうございます!」

 私としても、お菓子販売は現実世界でも長年してみたかったことの一つなので、依頼を受けることにした。

 売り場にめぼしい物はたくさんあるのだが、今買ったとしても使い切れる気がしない。あまり日持ちしない果物が多いので、作るものを決めた気に買いに行くことになった。

 昨日既に、りんごとチーズを買っているので今日はそれを使って作る予定だ。

 なので、今日は特に何も買ってもらうことはなかった。


 レオンさんが野菜の商材を買いこんでいる間に、待ち合わせ場所を決めてルフと魚を見ることになった。

「お魚さん泳いでる」

 バケツに入ったお魚をルフが興味津々に見ている。

 どうやら、お店では扱っていないらしく。移動距離の都合上鮮度が下がるということで、街にも極々一定数しか出回っていないそうだ。

「ナギちゃんは魚料理できるの」

「ほとんどしたことがないかな」

 そもそも、私は魚全般が苦手なので、料理で滅多にすることがない。焼き魚ならほぼ大丈夫なので、本当にごくわずかの処理の仕方しか知らない。三枚おろしできるのかな。もうかれこれ3年はやってない。

 アジのような魚が並んでいたので、今度買ってさばいてみるのもいいかもしれない。

 ちなみに、お刺身も限られたものしか食べれないのでしたことがなかった。


 時間的にそろそろ集合場所に戻ったほうが良さそうだったので、2人で戻る。

 すると、重そうに袋を両手に持ったレオンさんの姿があった。

「大丈夫ですか・・・?」

「このくらい平気さ・・・」

「どう考えても平気そうじゃないですけど」

 すでにへとへとに息切れをしている。このまま街に戻ると、倒れてしまいそうな状態だ。

 私が袋を一つ受け取る。重いが別に持てなくはない重さだ。むしろ、学校に行くバックの教科書の重い気がする。なので、別に大したことはない。


「なにも買わなくて良かったのか」

 確認で聞かれたので、頷いておく。

「そうか。毎日あるから、気になったのがあれば言いな」

「毎日は行かないですけどね」

 二人から驚かれたが当たり前である。こんな時間はまだ寝ているか、起きていたとしても、徹夜した時くらい。来ても週一が限界だろう。

 そのことを二人に伝える。

「まあ、ルフも毎日来ているわけじゃないからな」

 どうやらルフも朝は多少苦手らしく。今回はレオンさんから起こされて起きたそうだ。そして、私を呼んでくるように指示したらしい。


 レオンさんは毎日行くらしいが、週・月によって全然違った商材が並ぶらしい。帰りながら、これからお店のお菓子で使う材料もあるので、週一ぐらいに来ることを約束した。


 市場からお店まで戻った頃には、空が薄く明るくなってきていた。一体何時は私は起きたのだろう。

ちなみに、私朝にはかなり弱いです。

次回更新予定が1日ズレて、3日後の25日となります。よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ