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3.食パン1斤まるまるフレンチトーストを作ります

お料理回です

 

 キッチンに入ると、調理台の上に食パンが置かれているのが目に入った。袋に入って、包装されてるから売り物かな。

 一応、動かすためにも確認してみよう。

「この食パンは、どうしたんですか」

「ああ、それは昨日の売れ残りでね」

「それでここにあるんですね」

 パッと見た感じ、2斤サイズぐらいかな。詳しい1斤のサイズは、覚えてないけど確かこのくらいのはず。


 もしかして、売れ残りってことはこれどうするんだろう。ご飯で食べるとか。

 でも、さっき頂いたパンは違うパンだったから捨てるのかな。

「質問なんですけど、このパンってどうする予定ですか?」

「うちで食べることもあるが、基本的に捨てているな」

「なら、これを使ってお菓子を作りましょうか」

「そんなことが出来るのか」

 頷くと、不思議そうにレオンさんは私を見つめる。その反応的に、フレンチトーストはやっぱり知らないのかな。なら、決まり。

「でしたら、このパン使っても良いですか」

「勿論使っていいぞ」

 許可も得たので、私はフレンチトーストに使う材料を冷蔵庫から取り出す。


 卵3個に、牛乳、砂糖を準備した。牛乳と砂糖は重さを測りたい所だけど、どうやらはかりがないようだ。正確には、すぐに数値化するものがなくて、「天秤ならある」と言われたが、面倒なので丁重にお断りしておいた。目分量で入れるしかない。


 早速、パンをスライスするために包丁の場所を聞いて取り出す。

 流石に、2斤全てを調理したら量が多いだろうから、とりあえず半分かな。

 大体1斤サイズの食パンにして、この後どう切るかに悩む。


 普通にスライスしても良いけど、何だか見栄えが映えない気がする。それに、パンの耳の部分が入ると、液に浸かり切らなくて固くなる部分が稀に出てくる。対処として、レンジに裏表1分ずつぐらいするという、裏技もあるが、この部屋を見渡す限りレンジらしきものはない。あるのは、オーブンだけだ。

 オーブンでは、液を浸み込ませるのに向いていない。


 そうなると、パンの耳を避けた方が良いかな。


 そうだ。良いこと思いついた。

 私は、半分された食パンの中をくり抜くように包丁を入れる。

 4方をカットしてから、下に切れ込みを入れ、中身を取り出す。そうすると、パンの耳の部分でボックスが完成する。これは、後でトーストして食べれる容器として活用する。


 そして、次に卵液の用意をしなければならない。

「ナギちゃん何か手伝うことない?」

 ルフがキッチン側にやってくる。

「なら、卵液っていうのを作って欲しいんだけど、お願いしていい?」

 ルフは、頷くとすぐに私が用意した道具の前に来る。


 卵良く割っているそうなので、殻が入る心配はないようだ。先に牛乳を目分量だけど20mlぐらい入れてあげる。

 あとは、私は取り出した中身の生地を正方形の形になるようにカットする。


 私がカットし終えた頃には、とっくにルフはかき混ぜ終えていた。ルフに感謝を伝え、卵液を預かる。そこに、甘さをプラスするために砂糖を入れる。これも目分量。大さじ3ぐらいかな。分量も計れなればレシピすら見れないから、曖昧だけど。


 パンを浸して、5分くらい寝かせておく。

 レオンさんから、パンで言うとこに醗酵かと言われたけど、これに違う。漬物のようにつけているだけである。この例えも、変な気がするが他に例えが思い浮かばなかった。


 生地を浸み込ませる理由を説明しているうちに10分ぐらいは経過した。予定より時間が経ったけど、浸かれば浸かるほど美味しい。・・・気がする。

 様子を見てみると、うまく全体まで馴染んでいる。


 後は、天板に乗せてまとめて焼こうと思ってるんだけど、このオーブンはどう使えばいいのかな。

「このオーブンって、どう使えばいいんですか」

「なんだ、知らないのか」

 まあ、お菓子作りしている人がオーブンの使い方が分からないって言えば、矛盾ではあるよね。使わないお菓子もあるけど、基本は焼くものが全般である。

「私が持っているものと仕様が違うんですよね」

 これは事実だよ。私が知っているのは、オーブンレンジであってこんな本格的なオーブンではない。

 レオンさんに、使い方を教わる。基本的についているダイヤルで、温度を調節して焼くそう。もう一つのダイヤルで、時間も計ることが出来るらしいが、1時間までが測れる限度らしい。

 まぁ、滅多に1時間以上焼くことはないので問題はないかな。


 天板に、卵液に浸した生地を取り出して並べる。ぎりぎり詰めれば置くことが出来た。

「これでお願いします」

 今回はどのぐらいオーブン内の火力が強いか分からないので、レオンさんに焦げ目が付く程度で焼いてもらうことにした。

 レオンさんは天板を受け取り、オーブンを開ける。すると熱風が走る。どうやら、すでに予熱を始めていたみたいだ。

「これぐらいなら、15分でいいだろう」

 ダイヤルを回して、タイマーをセットしている。これなら自分でもできるかもしれない。後は火力位を覚えるないとかな。これからこのオーブンを使うか分からないけどね。


 私たちは一度、テーブルに戻って焼きあがるのを待つ。次第に甘い匂いが広がってくる。10分ぐらい経って、様子を見に行くとパンの耳の方が色濃く焼き目が付いていた。

 焦げてしまっては困るので、先に耳の方だけ取り出して、残りを焼いていく。


『チーン』と、聞きなじみのある電子音が鳴り響く。レンジというより、この音はトースターの音の印象が強い。心なしか、違和感があるのは、長年日本で過ごしてきた影響だろう。

 焼き色を見る限り問題なさそうだ。オーブンのドアを開けて、近くにあったタオルをミトン替わりに活用し、天板を取り出した。


 最後に盛り付けである。実はこれが大の苦手な作業だ。思うように綺麗に盛り付けることが出来ない。本当に現代のパティシエさんの盛り付けセンスには尊敬する。私もいつかそうなりたい。

 ひとまず、高く盛るようにすることで見ごたえがあるというのを聞いたことがあるので、実際にそうしてみると、思っていたより綺麗になった。そこに、ブルーベリーを6個ぐらい乗せて、上から粉糖を振るう。どちらも、冷蔵庫の中に入っていたので、レオンさんに許可を貰っている。どうやらこれもお店で使っているのもらしい。ブルーベリーパンで使っているそう。他にはどんなパンを作っているのか気になるから、後で見せてもらおうかな。

 そして、完成したものを熱々のうちにレオンさんとルフの元へ持っていく。

https://www.youtube.com/watch?v=p3vLXZ_V3iI&t=17s

料理手順はこちらの動画で再現しているので参考にしていただけると嬉しいです。

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