なぜ魔法が…?
あの思い出したら顔から火が出そうな出会いから、一夜が明けた。
「あーわかったわかった!とりあえず後日、話そう!俺は足が痛いし今日はもうくたくたなんだ!」
「絶対ですよ!嘘だったら見つけしだい追っかけまわします!」
がっ!と思わず肩を掴んで揺さぶってしまい!ぐわあ!
と苦痛の声をあげながら、やめ、やめろ!馬鹿もん!とおじいさんがよろけながら返事した。
「と、とんでもない怪力女ではないか、ハアハア」
「鍛えてますから」「もっと労れ馬鹿もん!」
年は取りたくないだの今日は最悪だの文句をいいながら、おじいさんは書き物をよこせ と私に言った。
私は言われた通り、鞄から紙と筆を取り出しおじいさんはそこに地図を書いた。
「明後日は休みじゃろ?ここにきて話そう。朝9時じゃ」と渡す。ここは知ってる、いつもおじいさん達が駒をうったりしながら、お茶飲んでるたまり場だ。
わかりました!と返事をするとひたすら散々だ、最悪だと繰り返しながらおじいさんは去っていった。
昨日のあまりに無礼というか、本当に恥ずかしい。
自分にあんな熱意があったんだ!などというか、色んな気持ちがぐるぐるぐるぐる回って授業を聞いてはいても、明日はどんなことがあるのか!驚きと発見が溢れて頭がパンクしそうだ。
ひたすら今日はもう早く早く終われと願っていた。
「蓮子さん?大丈夫ですか?」
はっ と我にかえると麗奈さんが、私に心配そうな顔を向けている。
「なんだか、急に険しい表情したり、眉間にしわを寄せたり顔を覆ったり、赤くなったりしてて」
しまった!顔に出すぎたか!と能面を意識すると
「真顔ですね」と言って少しくたびれた顔をしてから麗奈さんは笑った。
「そうだ、明日どこか一緒に遊びにいかないかしら?」
麗奈さんからお誘いか。なんとタイミングが悪い!
「すみません、どーしても今後を左右する事態にいまして」「まあっ!」
また後日!とひたすら謝る いえいえ 麗奈さんは机を離れていく。私は突っ伏した。今はお嬢様を相手している余裕はない!
家に帰る。会話も乏しい父と母に、学校の話をしてご飯を食べ、湯浴びをして夜になった。
少し落ち着かないと。バルコニーに出て、星々を見る。私は可能性を信じたい。自分を試したい。あの月にも届くような力が欲しい。手の中に月をぐっと握りしめた。
朝になり、髪をといて、鏡の自分に対し、ニコッと笑ってから 作り笑いに ふん!と踵を返して家を出た。二輪の魔石にありったけの力をこめ、二輪はとんでもないスピードで走り出した。
先に目的地で今か今かと待ちわびていたら、もう来ていたか と疲れた顔をしたあのおじいさんが来てくれた。
「なにか頼んだか?」と聞いてきたので、首を横にふると奥のテーブルを選んでから、店員にパンケーキ2つとコーヒーを頼んだ。
「さて、なにから話そうか。とまずは自己紹介だな」
「シム・ロッセルナだ」「誇張・蓮子です」嫌でも覚えたわ
と笑いながらきたコーヒーをシムさんはすする。
「全く。熱意のある若者には勝てないな」と言ってからシムさんは、私に向き直りこう言った。
「さてとこの話を聞いたらお前は犯罪者じゃ!」と。




