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シンデレラァァァァー!(マッチョ)

ディズニーに毒された者の末路


 ハッハァー!

 ようこそマッチョ!


 シンデレラァーーーッ!!!!!

 マッチョなガール!!!!!

 フーン!!(バーベル上げ)


 昔ッ、どっかの王国にッ、シンデレラがいたッ!

 筋肉の才能あふれるガールだッ!

 しかぁし、シンデレラは孤児だったッ! プロテインも買えないぞッ!


 ある日、お金持ちのマッチョ紳士に才能を見出されたッ!

 マッチョ紳士はシンデレラをたいそう、「かわいがった!」


「腹筋!」「はい」

「背筋!」「はい」

「スクワットォォォ!」「はい」

「「HAHAHAHAHAHAHAHA」」

「ホエイプロテインだ、飲め」「んぐんぐんぐ」

「よーし、早寝早起きするんだぞ」「はい」


 ある日、マッチョ紳士は寿命で亡くなったッ!

 無念ッ!

 すると……彼の伴侶が本性を表したッ!!


「あたしゃマッチョは嫌いだよ」


 シンデレラの筋トレの邪魔をしたッ! 許せん、許せんぞー!!


 プロテインも買ってもらえない。とんでもないッ!


 だが、しかしッ、シンデレラはマッチョを諦めていなかった!!



◯シンデレラの寝室


 朝日、屋敷の屋上の小さな部屋、

 シンデレラが布団で丸まってるッ。

 窓から時計塔が見えるぞッ!


小鳥:「チュン、チュンチュン」

シンデレラ:「うーん…」

小鳥:「ピヨッピヨッ」げしげし

小鳥:「ピョーーーッ」ドガァ

シンデレラ:「んー、くすぐったいわ。うふふ」


  と、布団でもじもじ、

  のっそり這い出て、


シンデレラ:「ん、おはよう小鳥さん。

 さっきね、夢を見たの。

        ▼

シンデレラ:「ジムで 筋トレする夢よ

 トレッドミルで 走り続けるの」うっとり


  小鳥もうっとりするぞ


シンデレラ:「んー、腹筋ッ! 背筋ッ!

 腕立てふせッ! 懸垂ッ!

 スクワットォォ!!」


  なんということだッ!

  1000回ずつの3セット!!


  忍者のように無音でスススススッ

  人間離れしているぞッ!



  1セット目


シンデレラ:「マッスルはマッソー、

 それはマッチョの素

 フンフン

 たりらりらー、たらったらー♪

 フンフン」


  2セット目


ネズミ:「今日は腕を 痛める日♪」

ネズミ:「チュッチュルルーーーーッ!」


  3セット目


小鳥:「手羽先が切れ〜る♪ ピーヨッピョーロ♪」

小鳥:「バリバリにな〜る、ビーヨー♪」


  4セット目


シンデレラ:「ふーんふふふふーんふんふーんふんふん♪

 マッチョマッチョマッチョマッチョ〜♪」


  5セット目


シンデレラ:「ナ〜イスバルク♪

 胸が〜はち切れ〜る♪ (物理)

 肩カボチャ〜♪」


  終わり。


     カーン(時計塔の鐘の音)


シンデレラ:「ファッ◯! キルジョイ!

 クソみてーな鐘の音め

 あーあーあー 筋トレやめー

        ▼

シンデレラ:「くそが はいはい

 お仕事の時間でーす

 着替えますよ あーあーあー」


  鳥とネズミも一緒になってキレています。


シンデレラ:「筋トレ、し続ければ、いつか、

 いつか、マッチョに、なれる〜の〜♪」


  汗を流して 着替えて 階段を降りて

  家畜のエサやり 朝食準備


娘A:「シンデレラ、ごはん」

娘B:「シンデレラ、おなかすいた」

継母:「シンデレラ、はやくッ!」


3人:「「「シンデレラー!」」」


シンデレラ:「はーいはいはいはい

 今行きますよーっと」ブゥン


  掃除 洗濯 裁縫 買い出し

  庭の手入れ 猫をお風呂に入れる


  時間がもったいないよ、超高速!



   ガシャーン



娘A:「シンデレラァァ!」

娘B:「シンデレラーー!」

継母:「シンッデレラァァァーーーーー!!!!!!!!」


シンデレラ:「やば」


  仕事が増えましたー



▼▼▼▼▼▼▼▼



◯城


 見上げる純白の城壁!

 青と金の輝き!

 今日もおごそかなオーケストラとともに

 優雅な一日が、始まる……?



   ガシャーン (窓ガラス粉砕)



国王:「あんのバカ息子めー!

 王子としての自覚が、足りーん!」王冠投げ



   ガシャーン



大公爵:「ひゃー」


国王:「あんの脳筋坊主め、

 口を開けば 筋肉 筋肉 筋肉!

 はよう結婚せい!!」ドゴォ


  頭の北半球は、ツルツルにハゲてるぞッ!


大公爵:「陛下、落ち着いてくだされ」


  この人は、頭フサフサだぞッ!


国王:「落ち着いていられるかー!」ドーン


大公爵:「陛下ー」

国王:「はあ、はあ、はあ」


  気づいたら執務室はめちゃくちゃだッ!


国王:「おお、ワシはもうジジイじゃ

 いつポックリ逝くことか…

        ▼

国王:「孫がほしい。だっこしたい。

 あのパタパタする足音を

 もう一度 聞きたいのだよ、おろろ」


大公爵:「オー、マジェスティー

 お気持ちはよーく分かります」


国王:「なんだと貴様、軽々しく言いおって

 この気持ちが…分かってたまるか。見よ」



   デン!(絵画・赤ちゃん)

   デン!(絵画・父と少年)

   デン!(絵画・青年を追う父)

デデェェン!(絵画・グレートマッチョ)



国王:「子は親から離れていく。

 残されていく親の辛さッ! 分かるかーッ!

 はあ、はあ」


大公爵:「は、ははあ、これはこれは

 失礼いたしましたー」平伏


国王:「奴はジムや訓練所に入り浸り

 毎日毎日、野郎の腹筋ばかり見ておる。

 女の魅力を知らんのだ!

        ▼

 恋が芽生えるためには

 男と 女の 本格的な出会いの場が 必要だ

 そうだろう?」


大公爵:「ええ、ええ、おっしゃる通り。

 おっしゃる通りですが、殿下には……」


国王:「そうだ。パーティーを開くぞ」

大公爵:「ファッ??」

国王:「国中の娘を集めろ!

 奴がジムから帰ったら、令嬢どもに挨拶させる

 一人くらい好みのタイプがいるはずだ。

        ▼

 そして一目惚れ 甘ったるい雰囲気

 ロマンティックな、ミュージック!

 ガハハハハハハハー!」


大公爵:「え、ええと……では一ヵ月……」

国王:「今夜だッ!」

大公爵:「今夜!? そんな無茶な」

国王:「黙れ、全力で馬車を飛ばせ!

 ギリギリ間に合う。

 さもなくば首をはねるぞ、いいか!」


大公爵:「ひ、ひええ。かしこまりー」


 大公爵のデスマーチが、決まったァ!



▼▼▼▼▼▼▼▼



◯屋敷・広い部屋


 継母と二人の娘がいるッ!

 ピアノと歌のレッスン中だッ!

 へたすぎて猫が逃げたぞッ!


シンデレラ:「手紙でーす」ガチャ


継母:「シンデレラ、後にしなさい」

娘A:「レッスンの邪魔しないでくれる」

娘B:「そうよそうよ」


シンデレラ:「火急の舞踏会の招集で

 ございまーす。」


娘A:「なんですって!」

娘B:「パーティー!?」


娘A:「ちょっとその手紙よこしなさい」

娘B:「私によ」

娘A:「ちょっとどいて」げしげし

娘B:「アンタこそ」げしげし

娘A:「ぐぬぬ」

娘B:「ぐぬぬ」


  肉食獣が肉片(エサ)を奪い合ってるぞッ!


継母:「静かに、静かに!

 そう、お淑やかに。あなたたちはレディーよ、

 私が読みます……ふーむ」


────────────────

 王子の婚活パーティーをするッ

 今夜馬車に迎えに行かせる

 年頃の娘はぜひとも参加するように。


           国王

────────────────


シンデレラ:「年頃の娘と言ったら、私も…」


娘A:「何言ってるの」

娘B:「着ていくドレスもないくせに」


 ボロいエプロンだぞ!


シンデレラ:「待ってください

 その王子様って、あの、ミスターグレネード

 筋肉の王子様──」


継母:「アンタはダメよ」

シンデレラ:「なんで?」


継母:「ダメったらダメ」

シンデレラ:「えー」


継母:「アンタはここで筋トレでもしときなさいな」

シンデレラ:「わーい……じゃない!

 だまされないよ」


継母:「チッ……」


  めっちゃ目が細くなったぞ!

  しかも緑に光ってる!


継母:「そうね、手紙には

『国中の娘』を集めるように 書かれている

 シンデレラ、アンタも例外ではない」


シンデレラ:「むは?」


継母:「だけどパーティーには

 最低限の準備というものが必要だね。

 分かるかい?」

シンデレラ:「えーっと、タオルと飲み物」


継母:「はぁー、バカねえ。

 本格的なドレス、お化粧、靴、髪飾り

 シルクの手袋もあったほうがいいね」


シンデレラ:「ぐぬ、ぐぬぬ???」


継母:「そして」スッ


  今朝、シンデレラが割った皿を見せつける


継母:「万一、王宮のモノを壊したら

 弁償できるのかい?」

シンデレラ:「あら、あららららー?」


  大変だ、シンデレラの目が渦巻きだぞ!


継母:「あーそうそう今日のお仕事

 まだ残ってるじゃない」チラッ

娘A:「あーら大変大変、

 ネックレスがバラバラになっちゃった」

娘B:「リボンが千切れちゃったー

 裁縫お願いね」


シンデレラ:「むむむー、仕事がたくさん…

 えーい気合じゃー」


 おおっと、そんなに慌てたらダメだぞッ!


   ドンガラガッシャーン!!


シンデレラ:「ぎゃー」



▼▼▼▼▼▼▼▼



◯夜・家の庭



シンデレラ:「えーん」( i _ i )


 シンデレラはパーティーに間に合わなかったのだッ!


シンデレラ:「うわーん、お城では

 今ごろマッチョパーティー」バンバン


  それはちょっと違うぞッ!


シンデレラ:「王子様、見たかったな

 ああ ゴリゴリの グレネード腹筋に〜

 会いたいな〜」しわっ


   するとマッチョが走って来たぞ!!


魔女:「ワハハハハハァ〜!

 おお、かわいそうな シンデレラ」ハグ

シンデレラ:「ああ、何かしら

 大胸筋の香り 素敵だわ」


  マッチョ魔女は、身長250㎝!!

  圧倒的な筋肉量だぞッ!!!


魔女:「おお、シンデレラ、

 貧相な食事と睡眠不足、そして肉離れで

 筋肉が付かなかった かわいそうな娘よ

        ▼

魔女:「魔法のプロテインを 飲め!」

シンデレラ:「わーい!」ごくごく



   ムキムキ モリモリ!



シンデレラ:「ああ、素晴らしい気分だわ、

 胸がはち切れそう」


魔女:「これはすごい!

 背中にドラゴンが宿っているよー!」


シンデレラ:「これで王子様はイチコロね!」


魔女:「そうよ、ダンベルがあれば完璧ね!」ひょい


シンデレラ:「わーい、ありがとー」


魔女:「さ、行っておいで!!」


シンデレラ:「いえーい」


 こうして身長3メートルのマッチョシンデレラは、風とともに走る、走る、走るッ!


 森を駆け、川辺の橋を渡って、

 住宅街を抜けて、城門へ!



◯王城・パーティー会場


 金キラの会場に、貴族令嬢やお金持ちの娘がワラワラと集まっているぞッ!


司会:「えー、次、ナンチャラ公爵令嬢〜」

  王子、そっけない挨拶だぞ!


司会:「次ー、ナントカ騎士令嬢〜」

  王子、こっそりあくびをしたぞ!


国王:「えーい、どうなっておる

 少女たちにまるで興味を示さんぞ

 どこを見ておる バカ息子め!」


大公爵:「ようやくお気づきになられましたか。

 王子殿下は重度の【筋肉フェチ】

 特殊性癖の持ち主ですぞ」


国王:「特殊性癖だとッ!?」


大公爵:「ええ。殿下の脳はマッチョの花畑

 顔だけ美女の筋肉ダルマが 100人、

 くるくる舞い踊っているのでーす」

 

国王:「そんなバカな」


大公爵:「そして現実へ、少女たちは

 揃いも揃って細い腕ばかり、

 筋肉とは無縁、仕草にパワーが足りなーい」

国王:「なんてこった、そりゃダメだ」


  ここで娘A,Bがだらしない挨拶をするぞ!


大公爵:「ふと顔を上げると、筋肉のドレス!

 顔だけ絶世の美女!!

 どこの家、いや、そんな事はどうでもいい」(熱演)


  娘A,Bの肩の向こうに、シンデレラ!!

  王子がスタスタ歩いていくぞッ!!


国王:「おお、おおお! ついに来た!

 ボウズが恋に目覚めた!」

大公爵:「ヘイそこのマッチョな御令嬢

 僕と筋肉を見せつけ合おうじゃないか

 はい喜んで〜」(裏声)


  令嬢たちがオブジェクトのように固まっているぞ! 完全なる想定外だッ!


国王:「ワシには分からん世界だが……

 素晴らしくいい雰囲気だぞ!」

大公爵:「そして二人は幸せに包まれて〜

 ……というのが殿下の夢です。

 あるわけないですけどねハハハ〜」


国王:「何を言っておる!!(ベシベシ)

 見ろ、現実だ!

 マッチョ令嬢は実在するぞー!」

大公爵:「ファッ!? そんなバカな」


 シンデレラと王子様はくるくる踊り出したぞッ!


国王:「こうしちゃおれん

 おーい、ワルツを鳴らせー」



  ジャーン ジャーン ジャーン♪



国王:「いやっふー! これで安心して寝れるぞー! っらったった〜♪」


 マッチョ警備員の手を取ってくるくる回して、寝室へスキップして行った。



◯城・美しい庭園


 デカい噴水の水面に満点の星空と月がゆれる。

 幻想的だぞッ!


王子様:「ああ、これが筋肉〜♪」

シンデレラ:「なんて素敵な〜♪」

王子様:「普通とはまるで違う♪」

シンデレラ:「肉肌の、感触〜♪」

王子様:「あはははは〜♪」

シンデレラ:「うふふ〜♪」城まで戻って



   カーン!(12時の鐘だッ)



シンデレラ:「いけない!」

王子様:「どうしたんだい?」

シンデレラ:「帰らなきゃ」

王子様:「待って、もう少しだけ」

シンデレラ:「ごめんなさい、私、えっと」


   カーン!(2回目)


シンデレラ:「ああ、本当にごめんなさい」

王子様:「待って、名前だけでも」


   カーン!(3回目)


シンデレラ:「てい」(腹パン)

王子様:「ぐほ、いいパンチ」がくっ


   カーン!(4回目)


シンデレラ:「サヨナラ!」

王子様:「ま、まがはっ」ヨロヨロ「待って」


   カーン!(5回目)


令嬢:「あの肉ダルマはどなたですの」

令嬢:「どこの家の……」

令嬢:「なんて名前の……」

王子様:「失礼、後にしてくれ」


   カーン!(6回目)


シンデレラ:「失礼しました」

大公爵:「およ、どうなされました」

王子様:「彼女を止めてくれー」

大公爵:「なんてこった! 待ちなさーい」


   カーン!(7回目)


大公爵:「マドモアゼール! セニョリータ!」

 と、階段を駆け降りるが、

 シンデレラ、疾風のごとしッ! ドゴ


大公爵:「これはガラスのダンベル……重ッ!」


   カーン!(8回目)


大公爵:「衛兵ー、衛兵ー、門を閉めろ!」

 ギギギギギーー……ヒュン

衛兵:「逃げられましたー」


   カーン!(9回目)


大公爵:「馬を出せー、門を開けろー」

 パカラッ パカラッ パカラッ


   カーン!(10回目)


 ドドドドドーーー

 街中を駆け抜けて川辺へーーー


   カーン!(11回目)


 ドドドドドーーー

 橋を渡って森へーーー


   カーン!(12回目)



 魔法が解けるぞッ!

 シンデレラ、木のウロに転がり込むッ!




 トゥルッ……トゥルッ……トゥルルッ!

 クルクルクル〜、ぱたり。


 デェェェェン!


 シンデレラ、元の姿に戻ったッ!!



 パカラッ パカラッ パカラッ

 (馬脚、カボチャ粉砕)



シンデレラ:「はあ、はあ、はあ、あはは

 アハハハハ、、はは、は、は、ああ…」


  と、大の字で寝そべる。


シンデレラ:「あぁ、いい夢見れたわ。

 はぁ〜…………」


  しばらくぼんやりして、


シンデレラ:「もっと夢に浸っていたい。

 でも帰らなきゃ」


  フラフラと帰った。


◯王城・執務室


国王:「ぬぁぁんだとぉぉぉ!!!!!

 逃げられたッ!?

 この、バカモーン!」剣ブンブン

大公爵:「ひょえー、お助けー」


国王:「首を真っ二つにしてやる!

 覚悟ー!!」机スパーン

大公爵:「ぎゃー!」


 ベッドで跳ねるッ!

 シャンデリアに掴まって、ガチャガチャ


大公爵:「ダンベル、

 ダンベルがあるのです」

国王:「なんだって?」髪の毛ズバッ


大公爵:「事情があったのです、

 そしてダンベルを

 二人は上手く……」

国王:「ダンベルがなんだ、意味が分からんぞ」


  シャンデリア落下! ガシャン


  まぁ色々あったが

  どうにかこうにか説得したぞ。


国王:「ハハハー、そうか、希望はあるのか

 探し出せ! 見つからなかったら

 今度こそ」首チョンパのジェスチャー

大公爵:「ひえ、イエッサー!」



◯翌日・シンデレラ宅



─────────────

 ガラスのダンベルで

 ダンベルカールを10回3セットできた

 娘を王子と結婚させる

─────────────


継母:「シンデレラー、

 今日はとっても機嫌がいいの。

 特別にお休みよー」


シンデレラ:「わーい」筋トレ開始


継母:「フッ、バカめ、

 一生に一度のチャンス、逃すがいいさ

 さあ娘たち おいで」


 なんと、目を細くして、緑に光らせて、

 注射針を構えたぞッ!



◯玄関


大公爵:「失礼する。国中の娘全員に

 ダンベルを持たせるようにとの勅命である」


継母:「よくぞおいでくださいました。

 さあさあ お上がりください」


大公爵:「では」

騎士:「失礼する」


 ガラスのダンベル、実に重いッ!

 マッチョな騎士が2人がかりでヨロヨロしているぞッ!


   ドゴォン!


大公爵:「これを片手で持ち上げて、

 ダンベルカールをするのです」


継母:「ふふふ、

 ウチの娘たちは一味違いますよ」


娘A:「まずは私からね!」


 なぜかマッチョになってる!

 実はマジカルステロイド過剰摂取によるドーピングだぞ!!


娘A:「ふんぬぬぬー!」


 ダンベルが、床から離れたッ!

 ……1ミリだけ


娘A:「グガ、ガーー!!!」ドゴ「ぜえ、ぜえ、ぜえ、こんなの持てるわけないじゃない!!」


  残念だったな、

  マッチョは一日にして成らずッ!


娘B:「私も、フーン!」


 ぐぐぐぐぐ……


娘B:「やった!」プルプル

継母:「やったわ!」


大公爵:「おお、持ち上げたのは初めてですぞ

 では、ダンベルカール合計30回、はじめ」


娘B:「いーち」ぎぎぎ

   「にーぃぃぃ…」ドコ

   「あ゛ー腕がしびれる〜」

継母:「オーマイガッ!」


大公爵:「回数を重ねると

 マッチョの真偽が分かる

 王子殿下の言う通りでしたな

        ▼

大公爵:「では、私はこれで失礼──



  ドスドスドス



大公爵:「おや、まだ誰かいらっしゃる様子…」

継母:「これは、飼い猫の足音でして」



  《マッチョになったー》



大公爵:「ハッ、この声はッ!!」

継母:「あーあーあー

 インコの鳴き真似ですね、紛らわしい」



   バキバキバキ!


   ひゅーん


  シンデレラのグレートプリケツだッ!!



   ドガァァァァァン!(屋敷倒壊)



シンデレラ:「やった!

 筋肉が突然変異したよ!」ムキムキ


  今までの努力が爆発したのだッ!


大公爵:「そのお姿は、あの時のッ!

 さあさあ こちらを」


シンデレラ:「あ、これ落とした奴だ

 どうもありがとうございました」スッ



  ダンベル二刀流!


  ブン ブンブン ブゥゥゥゥゥゥン!




◯王城・結婚会場



 カーン カーン カーン


 おめでたい鐘の音だぞッ!



 シンデレラと王子様が、階段を降りる。

 どっちもマッチョ!


 わざとダンベルを落とす


 国王が拾……重すぎて持てない!


 シンデレラ、ハゲ頭に、チュ


 国王、デレデレ


 白と金の馬車に乗って


 二人は幸せなキスをして、終了!



 絵本を閉じておしまいだッ!


 ハッハァー! ではさらば


 シンデレラァァァァーーーーー!

 マッチョ!!


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― 新着の感想 ―
[一言] 童話のランキングで、目を惹く題名とギャラクシーさんのお名前から、こちらの作品へ参りました。 拝読し、もう、ツボど真ん中でっ!(笑) ずっと、ずっと、震えながら読んでいたのです。 (そしてう…
2021/04/11 22:45 退会済み
管理
[気になる点]  美しい庭園での♪だけの単調なミュージカルはよくないと思いました。()をつけて説明するのを良しとしているのなら、♪の後に()をつけて補足した方が単調さが薄れ説得力が増します。ただしこの…
[良い点] 7,084文字、す、すごい!! [一言] 活動報告でディズニーの話をしていたので、いつかはやるのかな?とは思っていましたが……まさか実際にやってのけてしまうとは 筋肉×ディズニーは混ぜた…
2021/04/09 20:53 退会済み
管理
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