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LEGNA ~竜ゲノム?~  作者: 宮内桃内
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LEGNA 六夜

ロボの話に無表情にうつむくシンジ。

「葬儀は火葬で行われた。」

「両親は息子の墓を暴かれないように、灰にしたかったらしい。」

「そして遺灰はティレニア海に巻かれた。」


チェイニーに擦り寄られて困惑しているシンジ。

「ニャうん。」

「で、何で僕は君たちに監視されてるの?」

にやけるロボ。

「君は『特別な存在』らしいんでね。」

「愛理奈さんもそんなこと言ってたな。」

「君が発現しようがしまいが他の組織に渡すなって、ね。」


邪魔なチェイニーに、犬たちがはしゃいでいるケージを指さすロボ。

「ほら、あっち行ってごらん。」

四足で走りだすチェイニーを気にしているロボ。

「何のゲノムなんだろ?」

「さあ、詳しくは教えてもらっていない。」

「ただ、分かってることは、僕や『ルー・ガルー』が狼になったようにね。」

「人類はヒト以外の何かも持ってるらしいんだよ。」

シンジの問いに答えるロボ。

「じゃあ、君自身も狼のDNAは持っていたってこと?」

「『適合者』だったそうだよ。」


ケージの中に入り込んで犬とじゃれているチェイニーに驚いている飼い主たち。

「でも、狼男じゃなくて、狼になったのって...」

「僕のウルフゲノムが強すぎた。ホントかどうかわからないがね。」

「...」


シンジを振り返るロボ。

「ゲノムを手に入れた連中は十分な検証をせずに被験者に試したんだ。」

「だがゲノムはほとんどの被験者になじまず、機能を停止してしまった。」

ゲノムのイメージ。

「答えはこうだった。このゲノムは、人間の属性、狼(獣)の属性とそれらを連携し、顕現させる...」

「『エンジン』の3つで構成されている事が解明されている。」

「人間の属性と狼の属性はマスターとスレイブの関係にあり、『エンジン』が狼をマスターにすれば、」

「人狼になるらしい。」

人間属性差し替えのイメージ。

「この人間の属性に僕のゲノムを差し替えたらしいんだけど、僕自身の狼の属性が強くて『エンジン』の

「パワーだけでは戻せなくなったらしい。」


ゲージの犬たちを見ているロボ。

「それが、4年、5年前かな。」

「それまではどうしてたの?」

「中学で柔道やってた。小学校の頃から始めていいセン行ってたんだよ。」

体格のいい相手と組みあっているロボ、その頃の名前はロビン・ラストマン。

「将来のオリンピック候補だってね。スポンサーも付いた。」

「大きな相手と稽古できるから、飛び級で高校に編入された。」

顔を歪めながら膝の診察を受けているロビン。

「だけど、それがいけなかったのかな、重たい選手相手に膝を痛めて...リタイア...」

「スポンサーの企業から治療のためって、色々体をいじくられた挙句、こうなった。」

ベッドの上で体毛の濃くなった腕に驚いているロビン。

「病院のベッドで体毛が濃くなってきて、仰向けに寝るのがしんどくなってきた。」

犬のように寝ているロビン。

「手足を投げ出して、横向けに寝るのも苦しくなった。」

「気が付けば、手足を折りたたんでうつ伏せに寝るようになってた。」

眠りながら涙を流しているロビン。

「僕はこう思った、これが罰があたるって言うのかってね。」


戸惑い気味にロボを見るシンジ。

「うちは母子家庭で母さんは必死に働いて僕を育てた。」

うつむくロボ。

「おかげで過労から病を患い、寝たきりになってしまった。」

「...」

「そんな時言われたんだよ、奨学金を出すから本格的に柔道をやらないかってね。」

悔しさから牙をむき出すロボ。

「いま思えば奴らは孤児や恵まれない環境の子供たちを集めていた。」

「それはルー・ガルーゲノムのモルモットだった。」

研究所の警備員にリードにつながれて、うつむきながら散歩するロボ。

「母さんに楽をさせたい、勝つことで有名になって稼ぎたい。」

「そのために卑怯なことをやって、ライバルたちを蹴落としていった。」

「そして、こんなことになってしまった。その罰が当たったんだ。」


医師に手を引かれている小学生高学年くらいのチェイニー。

「その後も体をいじくりまわされた。」

「そんな僕のゲノムを使った人狼が現れた。それがチェイニーだった。」

「まだ、子供だったチェイニーを見て僕は思った。」

「僕のゲノムを使ったってことは、弟みたいなもんじゃないか?」

嬉しそうにチェイニーに話しかけるロボ。

「うれしくて話しかけたよ。『君の名前は?』ってね。」

首をかしげるチェイニー。

「でも、チェイニーはヒトの言葉を理解できなかった。」

『ウニュウ?』

チェイニーの反応に唖然となるロボ。

「奴らはヒトを人狼にするのを諦めた。」

「狼から人狼を作り出そうとして、チェイニーで成功した。」

事実を知り、肩を震わせているロボの頭を撫ぜるチェイニー。

「何てことしてくれたんだ、そんなのありか?僕って何なんだ!」

微笑むチェイニーを弱々しい笑顔で見つめるロボ。

「このままこいつらの言いなりだと、ますます不幸な血が流れる。」


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