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秋風と風鈴

作者: ブルータスの屁

詩・短編を書いてみました。

気に入っていただけるか分かりませんが

一生懸命に書いてみました(^_^)

1000文字ぐらいで書いてあります。

物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら

暇なときにでも読んで

楽しんで頂けると幸いです(^_^)

窓を開けると

秋の乾いた風が部屋の中を吹き通る。

その風は

部屋の天井に付けられた多くの風鈴を揺らし

それらは驚いたかのように鳴いていた。


素敵な音色…。


そう思える理由は

どの音色も同じ音ではないからなのだろう。

どれかが「レ」ならば

どれかは「ソ」なのだ。

だから邪魔しているようで邪魔をしていないし

その音色を聞いていると寂しい心に勇気が湧いてくる。


ただそう思っても正直に言えば

ずっと鳴いているとさすがにこう思う。


うるさい…。


だから毎回

この風鈴を片付けようと思っているのだけど

毎回

思い止まってしまう。


だってお父さんとの約束があるから…。


父はテレビの取材が来るほどの実力のある風鈴職人だった。

時代に合わせた機能的な風鈴だったり

時には

現代アートを取り入れた風鈴らしい風鈴を作ったりと

時代を意識がモノを作っていた。


当然

その姿を見ていた一人娘の私が

その父の跡を継ぐものだと思っていた。

でも

そう思っていた私に

お父さんは時々こう言っていた。


「無理に風鈴職人にはならなくていい。風鈴の良さだけを知っていてくれれば」と…


父がそう言ったのは

きっと

この時代の流れを認識していたからなのだろうと思う。


数年後の未来など分からないのだから…。


私は風鈴職人にならなかった。

でもその代わり

父の作った風鈴を多くの人に知ってほしくて

風鈴などを紹介する「音ライター」になった。

私はテレビやSNSや雑誌などで紹介し

そして

部屋に風鈴を飾ることもしている。


綺麗な音だけでも届けたらと思ったからだ。


父が死んでからは環境が変わり

風鈴を広めるペースを落としているが

部屋に風鈴を付けることは続けている。


そういえば

もうすぐお父さんの4回忌で七夕の日だ。


風で揺れる風鈴の音色は

色褪せることなく鳴いていて。

この音色が父に届けばいいなと思った


また風が吹く。

その風に風鈴が揺れて音が鳴った。

今度は穏やかで爽やかな音色。

父のような優しい音色だ………。

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