プロローグ:天地分け目の戦い2
ここまでの非道を強いられて尚、人類には魔法使いに対抗しうる術はなかった。
圧倒的な力を持つ魔法使いによってあらゆる兵器は尽く無効化され、謀反に関わった者の屍が天高く積み上がっていった。
こうした正に、この世の地獄とも言える時代が今後約15年にも渡って繰り広げられることになる。
戦いが終わった直後、生き残った人類は数百万はいたと言われるが、15年経った現在その数は数十万程。魔法使いによる興味本位の人体実験や二分化された人類間での殺しあい、そして奪わなくては食料すら得られない環境下の中、病弱な人間や女、子供から死んでいった。
生き残った人類は死んでいった人間を次々と貪った。生きるために仕方ないことだと涙ながらに叫び実の兄弟や家族までも倫理の壊れる様を間近に見ながらただひたすらに口に運んだ。
生きなければ、生きて次に繋げなくては、全ては憎き魔法使いを殺すために―――――――――――――――
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炎の魔法使いが退屈しのぎに人間の心臓は一人に何個まで移植出来るのかを実験していたときのことである。
天から、突如として閃光が降り注いだ。
いや、性格には閃光ではない。大人一人分は優に越えるであろう巨大な氷柱である。
16年振りの雪辱を晴らすために、天から舞い降りた氷の魔法使いによるものであった。