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解剖:ちょこっとのこと

作者: gleaner

「なあ!お前って点数いくつだった?」


「え?な、七十六点……」


「えっ!あんな簡単なテストでその点数?俺なんて九十五点!へへへ!」


本当は嘘だ。


俺の点数は四十五点。恥ずかしくて誰にも言えない点数だった。


元気活発に自分の点数を周りに知らしめて歩く男の子はいつもみんなの中心で、俺の敵だ。


人が嫌がることを気にしない。自分が良ければそれでいいのだ。


こんなにも俺の心は痛いのに……。


嘘をつく自分も……。


「お前の点数は?……ぎゃはは!十五点て!これからどうやって生きてくんだよ!おもしれー!」


あ、俺よりも点数低いんだ……。


元気な男の子はいつも寡黙で可愛げのない女の子に酷いことを言う。


「……は?だから何?」


「だから、何って?いやいや!そんなしょぼい点数取って「それは何かの役に立つの?私の人生に支障をきたすの?貴方はそれだけの事で盛り上がれて頭の中がお花畑ね」」


「な、なんだと!力では俺の方が上なんだぞ!?」


「何?点数とった、いい高校へ出た。いい就職口が出来た?何?満足した?周りを卑下して見下して自分が優越感に浸れて満足?そんなちっちゃい事で全部に勝った気でいるなんてやっぱり脳みそはその程度なのね」


「てめぇ!まだ言うか!」


胸ぐらを掴んで今にも手が出そうな男の子。


女の子は冷静に淡白に言葉を発する。


「私は自分の好きなことをやっていた方がいい人生だって思う。別にやりたくないことをやりたいとは思はない。安定した人生がいいなんて思わない。人の価値観押し付けて勝手に怒って何様なの?」


「そろそろその口閉じろっ!」


「キャッ!」


女の子は手が出る男の子に動揺して甲高い声をあげる。


手を出した男の子はハッとして周りを見る。


何か嫌なものを見る目だ。汚物でも見るかのような目だ。


「な、俺は悪くないぞっ!こいつが口を閉じないからっ!」


周りに頑張って説明するも虚しく誰も聞いてはくれない。


「貴方がどう思おうが勝手だけど、周りもどう思おうが勝手なのよ。貴方は怒りに任せて私を殴った。周りの目はどうなの?やっと周りを見て気づけた?貴方のやってる事は正しい、間違ってる、なんて分からないわ。そんなちっぽけなこと。でもね……、周りは判断するのよ。善し悪しを……。周りの目はどう?貴方は最低と認識してるみたいね……。小さい勝ち負けを気にした結果、貴方は地に落ちた。ねえ、本当に大切なことなの?それが?」


「て、てめぇ!」


また殴ろうとする男の子に大して俺は……。


「い、いい加減にしろっ!」


そう言葉を発してしまった。


キョトンとする顔の周りを気にせずに俺は言った。


「お!俺だって点数四十五点だ!」


「はあ?」


「ぷ、あははは!」


女の子は声を出して笑った。


こんなことで嘘をついてた自分が恥ずかしくなって思わず言ってしまった。


点数が低いからなんだ。出来ないからなんだ。


嘘にしがみついて生きている方が余っ程惨めで恥ずかしくて、馬鹿らしい。


自分の心を傷つけてまでする嘘。本当にその価値があるのかな?


嘘を言った後の言葉を皆は真に受ける。


真に受けた言葉の責任を俺は追わなくちゃいけない。


ずっと嘘を押し通していかなきゃいけない。


そんなの心が痛すぎる……。


この女の子は凄い……。いや、自分の全てを出してるんだ。


自分の生きている道に自信を持って。


「何だ!雑魚がいきがんじゃねえーよ!」


拳は俺の顔面へと進路を変える。


まずい、俺は喧嘩なんてしたことない。


顔面ペシャンコになるっ!




「おいっ!何をやっている!」




そんな覚悟をした刹那、教師の何人かが教室へと駆けつけた。


「げっ!先生!」


尻すぼみをしていく男の子は拳をしまい、先生に笑顔を振りまく。


「これはどういうことだ?」


先生の隣には幾人かの生徒がいた。


多分、知らせに言ってくれたのだろう。


「こ、こいつが俺を唆して!」


「殴ったのか!?」


「は、……はい……」


「何を言われたって殴るのはどうなんだ!!ちょっとこい!」


「は、はいぃ……」


燃え盛った感情が消火活動をされ、静かに生徒指導室へと連れていかれた。


「ありがと」


そんな様子を見ていると女の子からそう言葉を貰った。


「え?」


「助けてくれたんでしょ?私にはそう見えたよ。だから、ありがとう」


「ど、どういたしまして……」


「にしても、あのカミングアウトはナイスだね!私より点数高いじゃん?隠すことないじゃん?」


「嘘をついた自分が嫌になっただけだよ……。そんな張り合おうなんて」


「くだらないよね!あはは」


「あはは」


「はあ……。面白い。本当に学校って面倒くさい場所だね。嫌な人間はいるし、したくないことまでしなきゃいけないしねー」


「じゃあなんで高校入ったの?」


「社会勉強だよ。結局生きているのは社会なんだ。生きている分、それは嫌でも私の世界に入ってくる。社会を基盤にどう自由に生きるかが重要なんだよね。人とのコミュニケーションも、人が持ってる感情も、価値観も、全部知っておかなきゃ、人が不快になる理由も分からないし、社会では何が良くて悪いか、ってことが分からないでしょ?だから、ここにいるんだよ。もっと生きやすい世の中になってくれないかなぁー」


女の子は背伸びをしながらそんなことを言った。


俺の頭では到底理解が出来なかったけど、ここが今生きてる世界なんだな、って事を実感した。



自分の書いた文章を何度も読み直すんですが誤字が直りません。

病気かもしれない。

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