始まりの魔法少女
女の子なら誰しも心の中で密かに思った事がある。フリルのついたふわふわのスカート。綺麗な宝石のついたアクセサリー。ハートや星などのモチーフの絵柄の装飾。可愛いリボンの髪飾り。そんな可愛い女の子。そして愛する誰かを守る。ステキな魔法が使える女の子に……
「なれたらなぁ」
そんな思いを持つ少女がここにも一人。鈴川高校通称"りんこう"に通う二年生、山桜桃 桃。彼女の日常生活はとても平凡なものだったが、そんな彼女の夢は魔法少女になる事だった。勿論そんなものは夢の中でしかなれないものだという事も理解はしているが、それでも憧れを止めることは出来ない。
「桃、将来どうするの?」
休み時間に友人達と話している時にそう言われた友人であるるかの言葉で桃はついそんな夢物語を繰り広げていたが、そろそろ自分も答えを出さなければ。と頭を捻らせた。
「ぅーん。そうだね。やっぱり可愛いお嫁さんとか?」
今すぐには浮かばなかったので冗談交じりにそう告げると、どこからかやって同じクラスの来た男子が、
「桃ちゃん充分可愛いよ!!」
と言った。それを聞いた桃はにこっと笑顔をみせた。
「ありがとう」
その言葉を聞いた男子は顔を赤らめて、これまたどこかへと走り去って行った
「本当にももちゃんはモテモテだね!ももちゃんなら可愛いお嫁さんにすぐなれるよ!」
桃はその言葉に対してもありがとうと笑顔で返した。
ーーーーーーー
「じゃあまた明日!」
授業も終わり、帰路に一緒に着いていた友達とも別れて桃は一人で歩いていた。暫く歩いていると道端に何かが落ちていた。見るからに動物の類の形をしておらず、ゲームなどで出てきそうな形をしたキャラクターもののぬいぐるみであった。
「可愛い〜!誰かが落としちゃったのかな?」
そのぬいぐるみへを拾いあげようと触れた途端、桃は不思議な感覚に包まれた。それと同時にぬいぐるみは桃が触れるまでは確かにぬいぐるみであったのに今は生命体として動き出し始めた
「え.....ええーー?!」
「キュー.......」
謎の生命体は玩具のような鳴き声を出すと桃をじっと見始めた。桃も見つめ返すが暫くするといつの間にかとある映像が流れていた。内容はこの生命体に触れたことにより 桃が魔法少女の力を手に入れた。自分は魔法少女に仕える使者で、自分が住む魔法の世界から地球へと迎えくる悪を倒す。と言ったものだ。あまりにも突然の事に桃は目を回していた。
「な、何これ頭の中が急に、どどういうことなの...?訳わかんないないよぉ」
「キャーーー!!!」
「え、この声.......まさかるか!?」
突然聞こえてきた叫び声に桃は声が聞こえてきた方へと走り出した。すると先程まで帰路が同じだったるかが近くの道で倒れていた。駆け寄ろうとするが、目の前には人間や動物とは思えない不気味な何かがいた。
「な、何これ...どうして...」
「キューキュー!」
どうやら謎の生き物は目の前にいる不気味な物を魔法少女になって倒せと言ってきているようだ。
(逃げたい。るかを助けない。怖い。戦わなくちゃ。このままだと被害が大きくなる。魔法少女になれる。嘘かもしれない。やるしかない!!)
「魔法少女変身!!」
そして今日私は初めて魔法少女へと変身を遂げた。
それがまさか理想とは程遠いものになるとは思いもしなかったのです!