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救世チュートリアル  作者: 紫吹
第一章:高校生にだって世界くらい救える!
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暴かれる隠し事

  猫を五十嵐に引き渡し、まず洗面所を使わせてもらった。もちろん鈴音を連れるのも忘れない。

  無表情で傷を水で流していると鈴音が心配そうに言う。

「それ痛くないの?」

「痛くないこともないけど、それほどじゃない。もう少し分厚い服を着てくるべきだったな……反省」

  鈴音は少し黙った。

「……かえで、それも大事だと思う。けどさ、もう少し可愛い服とか着たら良いのに」

「えぇ、いいよそんなの。彼氏が出来たら考える」

  服なんて利便性が一番大事だ。特に鈴音と行動するときは非常にそう思う。全く、何度危なっかしい鈴音をすんでのところで助けてきたか……。

「逆に鈴はもうちょっと安全を考えて? せめて肌は隠して」

  鈴音はぷっと頬を膨らませた。

「やだよー。こんなことになるなんて思わなかったし。まさか猫と――」

「そんなことで世界を救えるのか?」

  唐突の声に2人とも凍りつく。

  いつの間にかドアが開いていて、廊下に立った五十嵐がふてぶてしく笑っていた。

「いつからいたんですか?! 猫は? 私達の話、聞いてたんですか?」

  私の続けざまの質問に彼はあからさまに嫌な顔をする。

「大分前からいたよ。猫は向こうで保護してるし、聞きたかった訳じゃないけどまぁ聞こうとしたのは事実だな。」

  相変わらず不機嫌そうに、それでも全ての質問に答えてくれたことに驚いた。この人……冷たいように見えて、もしかしたらその顔が通常なのかもしれない? それなら、単純に見た目で判断するのは失礼な話だ。私もよく「怒ってる?」なんて言われることがあって心外なように、表情の微妙な変化に私が気づけていないのかも。

  そう考え五十嵐をじっくり観察していると、不意に彼が私を見たのでバッチリ目があってしまった。なんて鋭い目付きなんだろう。ところが彼は衝撃なことを口にした。

「なんでそんなに、反抗的な目をするかな……」

  そして何を思ったか徐に右手を持ち上げこちらに伸ばしかける。

  ほとんど反射的に片足を引き、軽く腰を落として構えた。彼の手がぴたりと止まる。

「近づかないでください。……それと誤解があるようなので言っときますけど、別に反抗してる訳じゃありませんから。これが普通です。でも反抗的に見えて、それで不快な思いをしたのでしたらそれは謝ります。」

  軽く首をかしげた五十嵐はやがてふっと笑った。

「お前は、()()のボディガードってわけか?なぁ、()()?」

  ……うわぁ。バレてんじゃんか。私は長い長いため息をついた。

「……なんでわかったんですか?」

  目を丸くした鈴音が無邪気に尋ねる。

「……とりあえず戻るぞ。」

 薄笑いで五十嵐は音もなく廊下を歩いていった。

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