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救世チュートリアル  作者: 紫吹
第一章:高校生にだって世界くらい救える!
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猫を捕まえて

「鍵、閉めた方がいいと思いますよ」

  簡単な面接を行うと言う五十嵐にそう提案した。どうして施錠しないのか不思議でしかない。

「ん? じゃあかけてきてくれ」

  何故そうなる? 彼がいなくなったら少し部屋の中を物色してやろうと思ったのに。

  仕方なく私は鈴音を連れ玄関に戻った。鍵をかけ、ついでに鈴音に言う。

「名前、(りん)って言って」

「そこまでしなくても大丈夫でしょ」

  私は首をふる。

「そうかもしれないけど、気を付けるに越したことないでしょ?」

  鈴音は一応納得してくれた。

  部屋に戻ると五十嵐はノートサイズの薄いパッドでなにやら操作をしていた。

「かえで、だったな? お前は?」

  くいっと顎で鈴音をさす。彼女はその態度に少しムッとしたようだ。

「……鈴です」

「お前たちの関係は」

  こちらを見る鈴音に頷き、答える。

「親友です」

「学校は?」

「行っています。学校名を言う必要はありますか?」

 私の答えを打ち込んでいるのだろう、画面を触りながら彼は軽く首を傾げた。

「まぁいいか。今日は学校帰りに来たのか? わざわざ着替えたんだな」

  彼の言うとおり、すぐに向かいたがった鈴音を説得して1度家に帰っていた。だって、制服じゃどこの高校か丸分かりだし、万一にでも変な気を起こされてはたまったもんじゃない。

「意外と用心深いな」

  そうだろうか? 本当に用心するならそもそもこんなところに女子高生2人で乗り込んだりはしない。

「どうしてここに来た?」

  この質問にはまず鈴音が答えた。

「興味があったから。どうやって世界を救う気なのか気になったからです」

  五十嵐は小さく頷き、次に私を見る。

「私は鈴の付き添いで来ただけです」

「あぁ。だから」

  五十嵐は私の答えに妙に納得して頷いた。

「何かだからなんです?」

「いや、やけに突っかかってくると思ったんだよ」

  ……そんなつもりはないのだが。

「よし。君たちを会員にしてやる。ついてきな」

  五十嵐は立ちあがり、右側の壁のドアを開けた。どうしてこの人はいちいち偉そうなんだろうか。

  後ろ姿を見ながら一体いくつなんだろうと考えていた。20代と言われればそう思えるが、同時に40代位なんじゃないかとも思えてしまう不思議な人だ。

  隣の部屋は、15、いや20畳はあるんじゃないかという広い部屋で、ところ狭しと何らかの機械が置かれていた。SFの世界にでも入り込んだようだ。壁一面に広がる巨大なモニターに、至るところで点滅するカラフルなライト。先ほどの部屋とは打って変わって随分と近未来な部屋だった。

「すご……」

  私達は入り口で目を見張る。壁にも床にもケーブルが張り巡らされていて迂闊には入れない。

「早くしろ。踏まなきゃ大丈夫だ」

  急かされつつ恐る恐る彼の元へ辿り着いた。目の前の巨大モニターを見上げる。表示されているのはここ周辺の地図らしい。

「とにかく時間がないからよく聞けよ。早速お前たちにやって欲しいことがあってな、もうすぐこの辺りを猫が通るから、こいつを捕まえて欲しい」

  モニターに1匹の猫が映し出された。横の説明によると種類はマンチカン、毛は短めで全体的に薄茶色。お腹と尻尾が白色だ。

「猫ですか? なんで?」

  鈴音がもっともな疑問を口にする。

「それは……」

  五十嵐は意地の悪い笑みを浮かべた。

「捕まえられたら教えてやるよ」

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