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青 春 !

光が中へ

作者: 家紋 武範

※これは東野雪華さま主催、「光」企画、並びに銘尾 友朗さま主催、夏の光企画 参加作品です。

今まで、胸にため込んでいた思いがあった。

言えなかった言葉。


ようやく冗談交じりに彼女を誘うことが出来た。

二人きりの休日。


馬鹿に仕合い、冗談を言い合うショッピングモール。

二人で並ぶフードコート。


昼食の後は木々が並ぶ公園。

噴水の見えるベンチに二人で腰を降ろす。


頭上を小鳥の声が飛ぶ。

穏やかな日の光。


こんな雰囲気、少し違うと彼女は言う。


だが僕には最高だった。

こんな休日をしたかったのだ。

二人だけの休日を。


少し会話が止まる。

噴水の音だけが聞こえる。


二人の関係は と問われる。


トモダチ と答えた。


また静寂。

早鐘のような鼓動。

聞かれたくない心のリズム。

赤い頬。


素直じゃない気持ちをいつまで続けるつもりだろう?

強がるのが格好いいと思う下らないプライド。


もう行こうと彼女が立ち上がる。

精一杯、虚勢を張ってその背中をゆっくりと追う。


帰りの電車。

離れて座る二人。

トモダチの二人。


彼女の方に少しだけ目をやる。

一つだけ光る雫。


改札を抜けて、彼女の震える肩を追う。

バカな自分。

何も言えない自分。


二人で目一杯したオシャレは誰のため?

誰に見せるため?

昨日なかなか眠れなかったのは今日まぶたを腫らすため?


「あの」


二人でお互いの顔を見つめ合う街灯の下。

たった一言。

今まで言えなかった一言。

その一言がお互いの胸の中に光となって溶けてゆく。


好きです。あなただけを

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― 新着の感想 ―
[良い点] 年間ランキングに入ってましたのでまた読んでしまいましたぞ! くっそーリア充め! 許さでおけぬ! 頼む……みんな! みんなで弾圧の輪を広げてくれ……
[良い点] 甘酸っぱさが甘いに変わる瞬間。 [気になる点] こんな青春、見たことも聞いたこともにゃいわっ。 リア充めっ((((;゜Д゜))) [一言] 光がいっぱいあるっ この欲張りさんめっ(///∇…
[良い点] 「夏の光企画」から参りました。 なんて初々しい。青春ですね。短い中にドラマがありました。 素敵な作品、ありがとうございました。
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