第二話 感じたいもしもの日常2
人生が輝いて見える。隣に好きな人がいるだけでこんなにも違うのだろうか。
朝、行信さんを起こしに行ってみた。昔の私なら侵入した時点でちょっとしたいたずらをしましたが。今日は素直にカメラを仕掛けるだけにしましょう。まぁ、ばれてもきっと笑って許してくれます。
一通りカメラを仕込んだところで、ちょっといけない本を発見。こういうのに興味を持つのはちょっと意外です。いや、当たり前なのでしょうか。とりあえず、腹立たしいので後で捨てさせることにして。登校までの時間はある。台所を仮で朝食でも作って待つことにしましょう。昔と味覚が変わってないといいのですが。
朝食を全部食べていただけました。感激です。腕には自信はあるつもりですが。やはり、八年もあってないと心配でした。ついでに昼食も作ったので、昼は一緒に過ごすように念を押しておきましょう。
登校中。やはり、満ちゃんに会いましたか。直情的な性格でそういうところが行信さんと通じて少しうらやましいです。軽くじゃれましたが動きが見違えるほどきれいになりました。きっと、頑張ったのでしょう。負けず嫌いですし。まぁ、行信さんに当たるのはいけないです。後で軽くしばきます。
学校。行信さんと一緒の授業は楽しいです。といっても授業なんて少しも聞いていませんが。行信さんは開始早々寝ていました。ずっと寝顔の観察です。朝の寝顔とはまた違って可愛いです。絡んでくる人たちはちょっとうざかったです。私と行信さんの時間を邪魔しないでほしいです。後方からずっと殺気立った目でにらまれました。そんなにかわいくにらまれても今だけは行信さんを譲る気は毛頭ありません。
休憩時間中はずっと行信さんにくっついていました。正直ほかの男子からのアプローチもうざかったので私は行信さんのものだと見せつける必要があります。おかげで、男子からのアプローチが少なくなりました。しかし、女子からの殺気立った目が増えました。はて?何故でしょう。
「いきなり転入初日からあの態度どういうこと?」
はて、いきなり私に突っかかってきたこの女子は誰でしょう?見覚えがありませんが。
「ちょっと、南さん。やめなよ」
後ろから声かけてくれる子は少し見覚えのある子です。小学校の時一度だけ同じクラスになったことがあります。加納かなめさんです。遊んだ記憶はありませんが。
「かなめちゃんは黙って。目の前でいちゃつかれ続けるのはうざくないの。しかも、あの北野君によ。別にいいけど満がかわいそうで」
「満ちゃんに聞かれたらきっと怒りますよ。同情なんてあの子が最も嫌うことですから」
「あんたに満の何がわかるのよ」
「南さん。この人数年前まで私と一緒の小学校で、北野君とも新城さんとも仲が良かったのよ」
「まぁ、覚えてくれたんですね。そういえば、顔大丈夫ですか?やけどの傷は残ってないみたいですが。よかったです。顔は女の大事な命ですから。たまたま、あの時やけどの薬を持っていて。気を付けないとだめですよ。家庭科の授業で油がはねてやけどとか」
昔、家庭科の授業で油がはねてやけどしたとき。薬をあげたことがある。もっとも、本人も気づいているだろうが細工をしたのも私ですが。
「うん、あのときはありがとうね。南さん。本当にやめよう。とりあえず、今だけは私の話を聞いて」
目に恐怖が混じっていますからあの時のこと忘れたわけじゃなさそうです。恩は売っておくものです。
教室に戻ると行信さんが呆れたように見ていた。何があったのか察しているのだろう。本当は周囲ともめ事を起こすなとでも言いたいのでしょうが。日頃の自分の行いからいえないか・・・もしくは我慢しているかでしょうね。本当にごめんなさい行信さん。
帰り下駄箱を開けると手紙が何枚も入っていました。我ながら初日にこういうことになるとは自分の美貌が恐ろしいです。まぁ、行信さん以外にはどう見られてもかまわないのですが。
しかし、そんな中にも一通だけ興味がある手紙が混じっていた。こんな可愛らしい手紙を送ってくる人には合わないといけませんね。
「行信さん。今日ちょっと一緒に帰れなくなりました。ごめんなさいです」
「誰も一緒に帰る約束してないだろう」
「あれ?では一緒に帰るのでなければなぜ今まで隣に?」
「うるせぇ」
ちょっとp顔をそむけて拗ねてしまう姿が本当にいとおしい。全く、行信さんとの邪魔をするこの手紙の持ち主には・・・まぁ、こっちも用があったので今回は仕方がありませんが。
「何の用なんだ?」
「ちょっと、ラブレターをもらいまして」
行く手紙とは別の手紙の封筒を見せる。
「気をつけろよ」
ポンっと私の頭に手をのせてこっちも見向きもせず帰っていった。嫉妬もしないとはこれはばれましたかね。
全く帰ってきてから本当に面白いことばかりだ。大好きな人とのたわいないやりとり。寝顔。私の心を弾ませてくれる。そして、今時古風な果たし状なんて送ってくれる友人。
「全く今時時代遅れだと思いませんか?果たし状なんて満ちゃん」
約束の場所に待っていた満ちゃんに声をかけた。
「私は果たし状なんて送ったつもりはないが。話があるから裏路地に来いって言っただけだろう」
「こんな人気のない裏路地。可愛い女子が二人でいたら大変なことになっちゃいますよ」
「私とお前がか。それは笑えるな。次の日の朝刊は男の変死体発見だな」
「朝刊に残るようなことはしませんよ。証拠なんて残しませんから」
「まったく、お前と話してるとこっち調子が狂う」
「そのいかついしゃべり方やめませんか?可愛い女の子なのに。もうちょい可愛らしくですね」
昔はこんなしゃべり方をしていなかったはずなんですけどね。かなり似合ってないんですよね。
「はぁぁぁぁ。うるさいなぁ。昔のしゃべり方なんて忘れた」
「まぁ、いいですけど。あぁ、早々行信さんは譲りませんよ」
「お前のものじゃないだろ。それは別にあいつが決めることだから別にいいんだ」
失礼な私のものです。髪の毛一本に至るまで私のものです。
「後ろであんな殺気立ってみてて」
「あぁ、用事はそのことだ。お前何を企んでる」
まぁ、でしょうね。満ちゃんが話があるとすればそれが一番でしょう。行信さんは優しいから追及してこなかったですが。
「何も聞かないというわけにはいきませんか。友人のよしみとして」
「そっか、じゃあぶんなぐってでも聞かせてもらう。友人のよしみとして」
満ちゃんが構えた。どうやら、ガチのようですね。あんまり気は乗りませんが仕方ありません。ちょっと、病院に入ってもらいましょうか。
すいません。自分の無計画さを呪います。戦闘パートはいりませんでした。ヒロイン視点で書いてるのが少し楽しくなちゃって。次はポロリなし。お色気なしのキャットファイトです