プロローグ 始まりの鼓動
「うあぁぁぁぁ」
雨の中。今この瞬間に廃墟となった部屋で一つの叫びがこだまする。それは怒りで悲しみで後悔で・様々な初めての感情だった。感情が爆発して頭が割れそうだった。どうにもできないから絵の前の少女に助けを求めようとする。しかし、彼女は動かない。動かない。だって、彼が殺したんだから。何の偽りもなくこの手で。
「ハッハハハハハ」
次に起きたのは笑いだった。どうしようもなくて、そんな甘えた自分が許せなくて。だから笑う。誰が怒りを許そうか。後悔も悲しむことも決して許さない。
「そうだ」
彼女の死体をゆっくりつかむ。悲しみも怒りもすべて心の奥に閉じ込め。ただ、笑いながら誓おう。この愛だけは本物だったと。動かない彼女に深い口づけを交わす。そして、自分の唇をかみ切り。彼女の口へ流し込む。これは誓いだった。たとえこの先何を犠牲にしようと彼女のために生きると。
遠い遠いその場所でこのとき一つの異変が起きていた。
「お嬢様。宝物庫が」
「草薙が共鳴している!?」
もはや、それは形骸化した宝だった。古よりたった一人を除いてだれにも扱えず。しかし、決してぞんざいにも扱えなかった日本最強の剣。草薙の剣のオリジナル。
(何かに共鳴している?)
こんな異例中の事態にまだ年端もいかない名ばかりの当主である彼女に対処できるわけもなかった。
「お嬢様」
「うるさい。とりあえず、どうしようも・・・・」
「いえ、例の子が」
「あぁ、そういえば今日だったわね」
思い返したように振り返る。そこには自分よりもまだ子供のきれいな顔立ちの少女が立っていた。
「これは、あなたに関係があるのかしら?」
「さぁ?私にはわかりかねます。おそらく、どっかの鬼が悲しみに泣いているのではないでしょうか?」
子供らしくない事情を知る言い回しに彼女はため息をつく。
「貴方が使えないとわかったら死ぬことになるけど大丈夫?」
「それはもう、私はこんなところで死ぬわけにはいかないので。とりあえず、お互い利用しあいましょう。わたしは生きるため。あなたはお家のために」
(くえないわね)
命を盾にしても平然と笑っていられる態度。まだ10歳の子供にはとても思えない。確固たる自信か。それとも強靭な精神力か。いずれにしても・・・・
(問題が山積みだ)
昔から書いていた作品です。二度ほど完成したのですが。PC壊れなどデータ消失により何度も書き直しています。そして、ヒロインすらも初期とは変わり果てて収集つかなくなりお蔵入りした作品でもあります。今度こそはこの物語に終止符を・・・・打てるかな