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第五話 次郎からの依頼 その一




さくらの依頼が解決して2日ほど経ったある日のことだった。


【猫又探偵社】にまた・・・あのあやしげなチラシを手にした

小さな依頼人が探偵社のドアを開こうとしていた。


”コンコン”


小さな依頼人は思いつめた様子でドアをノックしていた。


しかし、虎吉達は昼食の後『招き猫家』で食後の珈琲を楽しみながら急な用事や来客があるまではここへは滅多に戻って来ないので中から返事をする者は誰も居なかった。



(あれ?誰もおらんのかなー?)


小さな依頼人はそうっとドアを開けて中を覗いて部屋の中をキョロキョロと見渡していた。


(どうしよう~~~・・・やっぱり誰もおらん・・・)


部屋に誰も居ないことを確認した小さな依頼人は大きな溜め息を吐くと部屋の前でチラシを右手に握りしめたまましゃがみ込んでしまった。


「ちょっと!!ちょっと!あんた!何してんの?こんなとこで座り込んだら邪魔やで!!」

「あ・・・は、はい!すいません!ごめんなさい!」


怖そうなおばさんの声が頭の上からしたので慌てて謝りながら顔を上げた小さな依頼人はその声の主を見て固まってしまった。


「ここに何か用があって来たんか?あれ?そのチラシ・・・ゴローちゃんが配ってたチラシやん!」

「そそそそ・・そうです!お願いがあって来たんです・・・けど・・・・だれもいなくて・・・」


小さな依頼人は目の前の妖怪メリーはんにちびりそうになっていたがグッと我慢して涙目でメリーはんの質問に必死に答えていた。


するとメリーはんはニィっと笑ってバックの中から飴ちゃんを出して小さな依頼人に手渡していた。


「ちょっと待っとき!!すぐに呼んで来たるから!部屋に入って座って待っとき!」

「あ・・・ありがとう・・・わかりました。待ってます・・・ありがとう・・・」


メリーはんに飴ちゃんを手渡されて少し気を取り直した小さな依頼人は部屋の中へ入って背負っていた黒いランドセルを床へ下ろして、貰った飴を口の中へ放り込むと来客用のソファーに座って不安な気持ちを落ち着かせるために胸に手を当てて深呼吸をしていた。



その頃招き猫家では虎吉と政宗とニャンゴローとミケがち~ち爺自慢の期間限定珈琲のハロウィンブレンドを楽しんでいる所だった。


挿絵(By みてみん)



「このハロウィンブレンドってカボチャの種が入ってるんやろ?ほんのり香ばしい香りにコクと風味があるもんなぁー・・・・・スッキリしててまろやかやし優しい味やなぁー・・・さすがち~ち爺やな!」

「フフフ♪皆に喜んで頂けて爺も嬉しい限りです。とても手間暇が掛かるので季節限定なんですがね(笑)」


虎吉達が満足そうに珈琲を飲んでくつろいでいるとカウンターの裏側にある来客を知らせる赤いランプがチカチカと点灯していた。


探偵社に誰かが訪れるとすぐにわかるように招き猫家には仕掛けがしてあるのでち~ち爺が来客を知らせるとニャンゴローは急いで残りの珈琲を全部飲み干していた。


「ゴローにゃん待って~にゃー!ギャー!あっつい~にゃ~!!」

「アホやなぁ~(笑)ミケは超~猫舌なんやからゆっくり飲んでからおいで!!」


ミケもニャンゴローと一緒に戻ろうと思って残っていた珈琲を飲み干そうとして舌をやけどしてなんとも情けない悲鳴を上げていた。


ニャンゴローは横目でミケを見ながら笑うとごちそうさま~っと立ち上がり

ち~ち爺に頭を下げてドアを開けて店を出た。


「またまた小さなご依頼人のようですよ~(笑)頑張って下さいね。虎吉さん!」

「あちゃー・・・また子供か?!まぁー頑張るわ!爺!ごちそうさんでした~」


看板娘のチョコに言われて少し渋い顔をした虎吉だったが気を取り直して珈琲を飲み干すと立ち上がって政宗と一緒に店を出た。


店を出た所でちょうどニャンゴローが迎えに来たメリーはんに捕まって連れて行かれる所だった。


「早く!ゴローちゃん!お客さんやから!早く!早く!」

「そんなこと言うたかてメリーはん!これ以上はムリムリー!!」


ニャンゴローの声はメリーはんに聞こえていないようでニャンゴローを勢い良く引きずりながらメリーはんは階段を降りて行った。


メリーはんに引きずられながらニャンゴローが部屋へ戻ると来客用のソファーに前回の依頼人のさくらとあまり変わらない歳頃の人間の男の子が緊張した様子でもじもじしながら顔を強張らせて座って待っていた。


「お待たせ~!連れて来たで~!後はゴローちゃん頼んだで!うちはこれから用事があるからな!」

「アイタタタ~!はいはい!メリーはん!あんまりやりすぎんようにして下さいよ!」


ニャンゴローはあちこちぶつけた腰や足をさすりながらメリーはんを見送ってから小さな依頼人にオレンジジュースを入れてその横に座った。


「チラシを見て来てくれたんやねー!おおきに~ありがとう!俺は助手のニャンゴローです。」

「あ・・・あの・・・ぼ・・・僕は内山次郎って言います。南小学校の五年生です・・・」


小さな依頼人は名前と学年を告げるとニャンゴローをジーっと見つめて固まっていた。


「あー!びっくりした?そうそう!ここは人間の探偵社やないねん!でも大丈夫やで!猫又やけど取り憑いたりせえへんし!食ったりもせえへんから安心して!」

「ほんとに?!猫又って?妖怪さんですか?さっきのメリーはんも?良かったー!それなら僕の話を信じてもらえるかも!」


次郎はここが猫又の探偵社だとニャンゴローに知らされてがっかりするどころか嬉しそうに飛び上がって笑顔を見せてニャンゴローの前足をしっかりと両手で握りしめていた。


そして虎吉と政宗とミケが良いタイミングで部屋へ戻って来たので依頼人の次郎の話を詳しく聞く事になった。








おおきに~五話目読了ありがとうございますm(__)m♪


もちろん今回の挿絵もマダラ画伯様にご協力頂いております。


そして今回の招き猫家さんの珈琲は期間限定『ハロウィンブレンド』です。


とってもこれが美味しいのですよ♡


2014・10・22 一部内容を修正しました。

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― 新着の感想 ―
[一言] も、もしや怪異関連の事件かな!?(゜Д゜;)
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