表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

第四話 さくらからの依頼 その四




翌日、学校が終わるとすぐにさくらは自宅へは戻らずに【猫又探偵社】の事務所に直接訪れていた。


「あー!ちょっと!ちょっと!昨日の子やんか?!頭は?大丈夫やったか?ドア開けたら白目向いて部屋の前に転がってるから死んでるんかと思ってほんまものすごいびっくりしたんやでー!!」

「あ・・・はい・・・大丈夫です・・・びっくりさせてごめんなさい・・・ごめんなさい」


さくらは昨日この妖怪メリーはんにドアをぶつけられて目を回したことを気を失っていて知らなかったので部屋に入った途端容赦なく機関銃のようにしゃべり始めたメリーはんに驚いて怯えてペコペコ一生懸命頭を下げていた。


「ちょっと~!メリーはん!さくらちゃんが怯えてるやないですか!しばらく黙って大人しくしといてもらえますか?!それでなくても子供に怖がられてる妖怪なんやから気~使ってもらわんと出入り禁止にしますよ!」

「ごめん!ごめん!ゴローちゃ~ん!そんな冷たいこと言わんといてよ~・・・うち大人しくしてるから!なっ?出入り禁止なんて言わんといて~~!それにうち・・・これでも東におる妖怪よりかは人間に好意的に接してるつもりやねんで~!(笑)」


さくらをかばいながらニャンゴローがメリーはんにキツ~イ言葉を投げつけるとメリーはんはごめんごめんと謝りながら持っていたバックの中から飴ちゃんを取り出してさくらに手渡してニヤッと笑ってウインクしていた。


挿絵(By みてみん)


「よ・・・妖怪さんなんですか?・・・メリーはん?えっと・・・もしもしー私メリーよ?って電話してくるメリーはんですか?」

「そやで!いきなり電話して人間のとこに押しかけて行くんや!知ってるか?」


ニャンゴローに聞かれてさくらは何度も頷いてランドセルの中から一冊の本を取り出して見せていた。


「なんや?【妖怪大百科】?さくらちゃん妖怪に興味あるんかいな?へへへ♪」

「今日のお昼休みに図書室で借りたんです(笑)猫又さんとかものってるんですよ!フフフ♪」


さくらはニャンゴローにはスッカリ気を許したようでソファーに座って本を広げてニャンゴローに猫又の事が書いてある頁を見せて笑っていた。


「本物の猫又さんってこんなに怖い顔してないのにねー(笑)」

「ほんまやで!妖怪やからっていつもいつもこんなに怖い顔してへんでー!」


ニャンゴローとさくらが【妖怪大百科】を見ながら笑っていると松じいから連絡が入ったようで虎吉が立ち上がった。


「そろそろ来るらしいから天神橋のじいさんとこに行こか?どうもじいさんとさくらの母親は顔見知りみたいでなぁー!そやから向こうの家で会わせるってじいさんが言うて張り切ってるから荷物も持って行くんやで!」

「は・・はい!わかりました。・・・あのおじいちゃんとお母さん知り合いやったんや・・・それですぐに会えるようにしてくれたんですね・・・すごい!」


さくらは嬉しそうに笑ってランドセルを背負うと虎吉とニャンゴローと一緒に松じいの家に向かった。


******


昨日と同じように丸い大きな座卓のある和室に通されてさくらはちょこんとニャンゴローの横に座った。


「ちょっとユリちゃんが来るまでに時間があるからワシとユリちゃんのことを話しておくわな!」

「は・・・はい!」


さくらが返事をすると松じいはさくらの向かい側に座ってこれから来る母親のことでわかっていることを話し始めた。


「ユリちゃんと知り合ったのは半年ほど前でな!知り合いがやってる芸能事務所の30周年の祝賀会に呼ばれて行った時に紹介されて関西弁しゃべってるワシに同郷のユリちゃんは親近感を感じて退屈してるワシの相手をずっとしてくれてなぁー(笑)色々とお互いの話しをしてたんや!そしたら離婚して娘は父親が引き取ったからずっと会ってないって酒に酔ったユリちゃんがひと目で良いから娘に会いたいって寂しそうに話してたんや・・・」

「うう・・・お母さん・・・」


母親も自分に会いたがっていたことを聞かされてさくらはたまらず泣き出してしまった。


「そやからなんとか会わしてやれんやろかと思ってさくらちゃんの父親に会って話もしてみたんやけど・・・これがまた頑固な男でユリちゃんとは絶対に会わさへんの一点張りでな!離婚の原因もユリちゃんの仕事が原因やったからやろなぁー・・・ワシも最終手段はさくらちゃんを連れ出してユリちゃんに会わせるしか方法は無いなぁーって思ってたんや!へへへ♪」

「さくらちゃんの方から来てくれて良かったやん!チラシ作って良かったぁー!さくらちゃんえらい!チラシ見てここまでよう来てくれたなぁー!」


ニャンゴローがティッシュでさくらちゃんの涙を拭っていると虎吉が笑いながら


「あんなあやしいチラシ見てここまで来たんやからよっぽど母親に会いたかったんやろ?なっ?」

「ちょっと~!あやしいチラシって・・・あれでも頑張って描いたんですよぉ~!!酷いなぁー!」


怒ったニャンゴローが虎吉に向かってふくれっ面をするとすぐさま虎吉に両方の耳を思いっ切り引っ張られてニャンゴローは悲鳴を上げていた。


そしてそうこうしているうちにさくらの母親の前園ユリが松じいの手配したハイヤーでやって来た。

さくらはユリの姿を見るとすぐに立ち上がって駆け寄ってユリに抱きついて声を上げて泣いていた。


挿絵(By みてみん)


「良かったにゃー!ほんとに良かったにゃー!さすが爺ニャ!凄いにゃー♪」

「これくらい朝飯前や!そやけどええタイミングでゴローはチラシ配ったなぁー!もしかしたらどんどん依頼が殺到するかもな!(笑)虎吉!頑張って働きやぁー!」


ミケに抱きつかれてゴロゴロ頬ずりされながら松じいはニャンゴローの頭を撫でてチラシを配ったことを褒めていた。


「ほんまに・・・ほんまにありがとうございました。まさかほんまに会わしてもらえるなんて・・・」

「おじいちゃん!虎吉さん!ゴローちゃん!ミケちゃん!ありがとう・・・ほんまにありがとう・・・」


しばらく松じいの家で母子で積もる話をしたユリとさくらはまた来月のユリの休みの日にここで会うことを松じいに提案してもらって嬉しそうに何度もお礼を言いながら笑顔でさくらに手を振りながらユリはホテルに帰って行った。


ユリが帰った後ニャンゴローと政宗に家まで送ってもらったさくらは家の二階の自分の部屋の窓から顔を出してニャンゴロー達が見えなくなるまで嬉しそうに手を降って見送っていた。




【猫又探偵社】へ戻ったニャンゴローと政宗は虎吉と一緒に招き猫家でご褒美の美味しいブレンド珈琲をち~ち爺に入れてもらっている間カウンターに座ってのんびりと珈琲の香りに癒やされながらホッと一息ついていた。


招き猫家の店長であるち~ち爺にはこだわりがあって珈琲はすべてサイフォン式で入れている。


招き猫家の珈琲豆はドリップ式で入れても十分深みのある香りやコクを味わえるのだが、やはりサイフォン式の方がドリップ式よりもより深い香りとコクをしっかりと客に味わってもらえることをち~ち爺は短い現世での猫生を共に過ごしたあの人間を見守っている間にしっかりと身に付けて学んでいたのだ。


「今日のブレンドは猫パンチブレンドと言って香り良し、コク良し、喉越し良し、言うことニャしの招き猫家自慢のブレンド珈琲ですよ。お待たせしました。どうぞ召し上がれ」

「待ってましたぁー!!う~~~ん!ええ香りやぁー♪香りだけでほんま癒されるでなぁー!」


虎吉は差し出された珈琲カップに顔を近付けてなんとも言えない幸せそうな顔をして目を瞑って鼻をヒクヒクさせていた。


挿絵(By みてみん)



「ほんまええ香りや!招き猫家の珈琲は最高ですね!ご褒美の珈琲入れてもらってこれでほんまに一件落着ですねー!ほんま良かったわー!依頼料も今回はサービスやなんてさすが虎吉さん!太っ腹ですねー!見直しましたぁー!」

「そらそやろ?今回は松じいが全部段取りしてくれたしな!サービス!サービス!(笑)」


そんなニャンゴローと虎吉の会話を横で聞きながらち~ち爺は政宗と顔を見合わせてそっと頷くと満足そうに優しく微笑んでいた。


こうしてニャンゴローの作ったあやしいチラシを持ってやって来たさくらからの依頼は無事に解決したのである。

挿絵(By みてみん)




おおきに~四話目読了ありがとうございますm(__)m♪


今回も挿絵をマダラ画伯にすごく頑張って頂きました(〃∇〃)ノ

本当にありがとうございます♡感謝感激です。


次回もニャンゴローのあやしいチラシの効果で色々とおかしな依頼が【猫又探偵社】に舞い込んでまいります。お楽しみに(ΦωΦ)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >色々とお互いの話しをしてたんや! 話『し』は要らんですよ。 [一言] 会えてよかったなぁさくらちゃん(´;ω;`)ウッ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ