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第三話 さくらからの依頼 その三




ニャンゴローが虎吉に内緒で近所に配っていたチラシを持って訪れたさくらからの依頼の内容は両親が離婚をしてさくらが父親に引き取られた為に会えなくなってしまった母親に会いたいと言うとても子供らしい内容だった。


そしてさくらが虎吉に向かって差し出した写真に写っていた母親というのがつい半年ほど前から良くテレビで見かけるようになった売れっ子の料理研究家の前園ユリだった事に料理好きでテレビっ子のニャンゴローが声を上げて驚いてソファーから転げ落ちてしまったところだ。


「お母さん・・・そんなに有名なんですか?」

「有名なんてもんじゃないで!!毎日どこかの局のバラエティー番組に出てるやん!」


しかしさくらはあまりテレビを見ない子供のようでニャンゴローの反応に戸惑っているようだ。


「うち・・・テレビはほとんど見ないので知りませんでした。お母さん有名人なんですね・・・」

「子供がテレビ見んといつも何してるんや?アニメとか普通は見るやろ?」


テレビを見ないと言うさくらにニャンゴローが信じられないといった様子で尻尾をパタパタと床に叩きつけながら起き上がるとすぐ側にあったテレビをさくらにつけて見せた。


「ほら見てみ?ちょうどこの時間はこの番組のお料理コーナーに出てるんや!」

「すごい!ほんまや!うちのお母さんやーーー!」


さくらはテレビの中の母親を嬉しそうに声を上げて見ながら目に涙をいっぱい溜めていた。


「よっしゃー!これは大家に頼むしか無いな!天神橋の爺さんに頼んだらすぐに会えるように手配してくれるやろ?ゴロー!ミケを呼んで来い!爺さんに頼み事するならミケからの方がええからな!」

「へーーーい!喜んで~~~!」


虎吉に言われてニャンゴローは急いでミケを呼びに向かった。


隣の敷地の大家の屋敷にミケが居なかったのでニャンゴローはアパートへ戻りミケのお気に入りの場所がある三階の奥の突き当りにある許されたものだけにしか開けることの出来ない分厚い扉を開いた。


”カランコロン”


扉の向こう側に入ると香ばしい珈琲の香りが漂っていてなんだかホッとする。


ここはこの世とあの世の狭間にある『招き猫家』というモダンな喫茶店でち~ち爺様と呼ばれる2つに分かれた尻尾を持つ猫又がひっそりと営んでいる。


「あら~ゴローちゃん♪いらっしゃいませ~」


挿絵(By みてみん)



ニャンゴローを見て笑顔で出迎えてくれたのは『招き猫家』の看板娘の雉虎猫のチョコだった。


「チョコちゃんおこんにちわ~♪あ!おったおった!ミケ!虎吉さんが呼んでるで!」

「はいにゃ!ゴローちゃん♪虎吉さんがぼくをよんでるにゃ?わかったにゃん!」


店の奥に一つだけあるボックス席でゆるゆるとくつろいでいたミケは虎吉に呼ばれていると聞くと急いで残っていた珈琲を飲み干すとあっという間に出て行ってしまった。


「ミケは虎吉に呼ばれると嬉しそうだね~(笑)ゴロー、今日は何か依頼があったんだね?(笑)早く解決出来るように祈ってますよ!フフフ♪」

「おおきに~ありがとう!ち~ち爺♪この依頼が片付いたらゆっくり寄らせてもらうわ!」


ち~ち爺にペコリと頭を下げるとニャンゴローは扉を開けてアパートへ戻った。


ニャンゴローが部屋へ戻るともうすでに虎吉たちの姿は無くどうやら大家の所へお願いに出かけたようだった。


特に後から来いという書き置きも無かったのでニャンゴローはとりあえず部屋の片付けをしながら虎吉たちが戻ってくるのを待つことにした。


*****


その頃の虎吉たちは大家の家の中の丸い大きな座卓のある和室に通されていた。


「かしこまってどないしたんや?なんか困ったことでもあったんか?」

「じいにゃ・・・実はにゃ~この子のお母にゃんがテレビに出てる人らしいにゃ!会わせてやって欲しいにゃ!お願いにゃ~!」


なんとなくミケの言っていることで察した松じいはさくらの方を見て口を開いた。


「お母ちゃんに会いたいんか?なんか事情があるんやな?・・・で?誰なんや?虎吉!」

「最近売り出し中の料理研究家の前園ユリっていう人らしいわ!なんとかしてもらえるやろか?」


すると松じいはニィっと笑ってスカジャンのポケットからスマホを取り出して誰かに連絡を入れていた。


「今日はちょっと東の方で仕事してるらしいから無理やけど明日やったらなんとか会わせてやれそうやで!明日また学校終わってからここへ来たらええわ!ユリちゃん明日は休みらしいから(笑)」

「ほっ・・・ほんまに?ほんまに会えるん?わかった!明日また来ます!ありがとう~おじいちゃん!」


どうも連絡を入れた相手は前園ユリの事務所の社長だったようで二つ返事で明日は松じいの所まで前園ユリが来ることになったようだ。


「さすが松じいやな!助かったわー!ありがとう~!良かったなぁーさくら!」

「うん!ありがとう~虎吉さん!ミケちゃん!おじいちゃん!」


さくらはお礼を言うと日も暮れてきたので桜色のランドセルを背負って元気よく手を振りながら満面の笑顔で帰っていった。





おおきに~3話目読了ありがとうございますm(__)m♪


今回の挿絵もマダラ画伯にご協力を頂いております。感謝です(〃∇〃)ノ

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― 新着の感想 ―
[一言] 人脈……いや、猫脈? なんにせよすげぇですねさすがは探偵!
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