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『死にたい。それが……あなた達の願いだというのですね?』


 1×1TVの司会、イエスノは4人のゲストに問う。

 4人は静かにうなずいた。

『なるほど。別に私はあなた達が死にたいというのなら構いません。むしろ勝手に死んでくれって感じですが、この番組に出てから死ぬということは最後になにかしたいのか、それとも死ぬと決めたがやっぱり怖くて他人の力を借りようとそういうことでしょうか?』

 イエスノの高圧的な問いに金髪の引きこもり、ユイは答える。

「ええ。私は死ぬ前に他人と喋りたかった。ただそれだけ」

『ほう。引きこもりの君がなぜ最後に他人と喋りたいと?』

「別に。理由なんてないわ。ただ、なんとなくよ」

 理由を聞かれたユイは目をそらした。

『岡崎優衣。地元の進学校で上位の成績、教師からの信頼も高く、多くの友人に恵まれとても充実した生活を送っているように見えたが、一部の女生徒から陰口やいじめにあっていた』

「ちょ、ちょっと! なんでそれを!? 私そんなコト話してないわよ!」

『この番組は願いを叶えるため、多くの情報を得ることに努力を怠らないんです。でも、優衣さん。あなたも可哀想ですね。確かにそれだけ可愛くて、頭もよければバカな女に狙われても仕方がありません。けれど、同情はしません。“そんなこと”に負けたアナタに同情なんてしてやりません』


 スタジオは静まり返る。他のゲストは静かに2人を見つめる。

「あ、あの……」

 声をかけ、場の緊張感を解いたのはゲストの1人、アキラだった。

「とりあえず、進行しませんか? 4人で喋るんですよね?」

『おっと、すいません。司会の私が少し興奮して、進行を忘れてしまいました。そうですね、でもやっぱり4人で話すなんてつまらない絵になりそうなことやめましょう』

 司会のイエスノは突然、番組の進行を変えようと言い出した。それに対し、番組を見ているディレクターらしき人たちは何も言わず、ただそのままやれと合図する。


「で、では今から何を?」

 震えた声でミヤコが質問をする。

『はい。そうですね、私も交えてトークタイムとしましょう。4人とも死ぬのが理由でもそれぞれ理由が違うでしょうし』

「なら、俺から理由を言おうか」

 突然言い出したのは、4人の中でも見た目が派手で死にたがっているような人間には見えない男、アキラだった。


『楠木明。大学ではかなりの有名人。裕福な金持ちの息子で昔から生活に困ったことがない。さらに、多くの才能をもち、昔からあらゆる分野で力を発揮する天才』

「なんだか照れるな。少し、大げさだよ。確かに俺は今まであまり、困ったことはないかな。で、俺が死にたいっていう理由なんだけど、もう満足しちゃったんだよね、生きることに」

『は?』

 イエスノの低い声がさらに低くなった。

「俺はまぁ、なんというかなんでも簡単にできちゃうんですよ。で、もうこの先もずっと変わらないって思ったらもういいかなって」


 ドンと鈍い音がした。あまりに大きな音に誰もが驚いた。そして、そこにいるゲストは固まっていた。イエスノの持つ拳銃を見て。

『もういいですよ。はい、死んで』

「えっ?」

 明の胸は小さな穴ができていた。そこから、じわじわと赤い液体が広がっている。

「キャー―――――!!」

 優衣とミヤコは大声を上げ、座り込んだ。


「な、なんだよこれ。おい、いきなり撃つ奴があるかよ。ゴフッ。オ、おい!」

『なんだ。死にたいんだろ。だから、殺してやったんだ』

「まってくれ。やっぱり、死にたくない! 助けてくれ、人殺しになりたくないだろ!」

『正直、私はオマエが嫌いだ。ですがこれはオマエの願いだ。しっかり、願いを叶えないといけない。そのための手伝いはしなければいけない。あと数秒もすれば永遠の眠りにつける。よかったな、つまらない人生を終わらせられるんだ。これでオマエの願いは叶えた。オメデトウ』


 3人のゲストは固まり、震えていた。そして、一目散に逃げようとしたのはもう1人の男、リューヘイだった。リューヘイはスタジオの出入り口まで走り出した。

「助けてくれ! 僕は本当は死にたくない。なんですか、アレ! 銃で撃たれるなんて聞いてない。僕はただ、この番組がどこまで願いを叶えられるか、調べたかっただけなんだ!」

『坂下竜平。真面目な会社員だが、休みの日はネットで上司の悪口などを書いて、適当なことを掲示板に書き込んでは楽しんでいるという何も考えてていないアホ。あなたも大概ですね。しかも、この番組を前回最後まで見て、なんとなく応募したらあたってしまった。そして、今回のこともネットに書いていますね。“あの司会はナイ笑”成程。私はナイですか。確かに司会としては自分勝手かもしれませんね』

 イエスノはドアの前に座り込む竜平に歩み寄り、口の中に銃口を突っ込む。

『ですが、これはオマエが望んだことだ。私はオマエの願いの手伝いをしているに過ぎない。自分勝手だと思うのは勝手ですがこの番組はね、私のモノなんです。私の自由にできるのです。ダレにも文句は言わせません。残念でしたね。ただの面白動画じゃなくて。来世はもっと、考えて、安易に行動しないように生きられるようになることを願うとイイ』


 竜平はその場に倒れた。イエスノは竜平の死を確認し、スタジオの中央にいる優衣とミヤコの元へ戻ってきた。さっきまで好戦的だった優衣も完全に黙り、震えている。

『最後の1人、藤原美弥子。オマエもたいした理由なく、死にたがっていますね。大学ではひそかに人気となっており、高校でもモテていた。付き合った数、10や20は軽く超えている。つまり、自己紹介の時点でウソをついていたということですか』

「いや、その違くて、私はただバカ正直に言うのもおかしいかなって思っただけで」

『では、適当な願いを思いつき、こんな願い叶えられないだろうと高をくくっていたということですか。まさか、番組で死ぬようなこと、放送事故なんて起きないだろうと!』

 美弥子は震えながら、イエスノにしがみつく。涙も流れ、化粧は落ちてしまっていた。そして、強く肩を掴んだ。

「嘘をついたのは謝ります! だから、殺さないでください。お願いします!」

 大声を出し、懇願するさまはあまりに無様で醜かった。とても、異性に人気があるようには思えない。

『残念ですが、さっきまでの彼らを見たでしょう。願いの変更はできません。さようなら』


「こんなの願いを叶えたなんて言えないわ!」

 美弥子までもが死んでしまい、1人になった優衣は叫んでいる。

「私は確かに死にたいとは言ったけど、殺されたいとは言っていないわ!」

『ふむ。確かにそれは一理ありますね』

「じゃあ、なんで殺したの? 死にたくないって言っていたじゃない。こんなのおかしいわ!」

 優衣の頬には涙が流れている。足も震え、今にも倒れそうだ。

『では、聞くがお前たちは本当に自ら命を捨てることができたか?』

「そんなの……で、できたに決まってる。勿論、本当に死ぬつもりならできるわ」

『無理でしょう。勿論、アナタもだ。死にたかったら誰にも見つからないように勝手に死ぬはずでしょう? ですがわざわざこんな番組にしかも、どれくらい見ているかもわからないようなインタ―ネットの動画サイトに応募しているのだ。最初から死ぬ勇気など持ってはいなかった。まあ、そんな勇気いらないんですがね』

 イエスノは優衣の額に銃口を向ける。


『4人の中であなただけが本当に死にたがっていた気もしなくはないです。ですが、さっきも言った通り、こんなところに来て死ぬような人いないんですよ。ほら、足が震えているし、涙は止まらない。やはりオマエも死にたがっていたわけじゃない。何となく、目立ちたかっただけだ』

「……そうかもしれない。うん、そうね。私は目立ちたかった。誰かに見てもらいたかった。勿論、死にたかったのは本当だけど、目の前で殺されていく姿を見たらやっぱり死にたくなかった」

『銃口向けられて、それだけ喋れたら、あなたはきっとこんなところ来なくても大丈夫だったはずです。だからこそ残念です。私はあなたの願いを叶えなければいけません』

「ええ、いいわ。どうせ死ぬつもりだったんだもの。これは私が選んだ選択。……さようなら」


『今回も全員の願いを叶えることに成功しました。みなさんはこの結末をどうとらえますか? 安易な行動やつまらない思考は己を滅ぼします。この番組を見ているあなたは今、何を思いますか? どうかなんとなくで行動しないでいただきたい。それではまた、新たな願いを持つ者が集まった時にこの番組で』


話を巻きました。内容が薄くなってしまいました。次はもっと考えます。よろしくお願いします。

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