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キャバ嬢に遊ばれた男たち

作者: むさしこば1

 思い起せば・・・

お正月も過ぎ去り、仕事に戻ったのはいいけれれど、休みボケからの脱出はまだまだで、ボーっとする毎日が続いていたある日、携帯電話が鳴った。男の名は、入江ムサシ。

音色から、実家の母ときずく。(ムサシ)「なんか用か?」

ぶっきらぼうな返事だが、これが日常会話なのだ。

(ムサシ母)「おい、今日医者に行ってきてなー」

そういえば、母は正月4日にPET検査を受けていたのである、(PET検査とは、体のどこかに癌細胞があった場合に色でわかる検査なのです)もちろん、ムサシも車で母を送り迎えしていて、検査結果は気になっていたのであった。

1年半前、母は腹が痛い、腹が痛いと毎日のように痛がっていた、お盆に長野に帰省していたムサシも、あまり痛がるので、医者にいったのか聞いてみると。

「診療所の先生が腸に炎症がある、薬飲んでれば大丈夫って言ってたぞ」

と言う。

「全然治ってないんだろ」とムサシが聞くと

「治らない」と母は言う。

「思い切って医者変えてみたらどうよ。」

「・・・・・」母の返事がない

そんな会話があって一週間後に市内では一番大きな病院に行った。

検査の結果、病名は大腸癌だった。

先生がいうには、すぐに手術。幸いどこにも転移がないので、大腸を摘出すれば治るとのこと。

すぐに入院することになった。

ムサシと母は、親一人、子一人の家族二人。父親とは、ムサシが生まれてすぐ、父の暴力により別居、離婚もせず30年別居生活が続き、父が亡くなってから戸籍を戻した。父もまた肺癌であった。

母は言う「死ぬかもしんねーなー、おらが死んだら、おめーは一人ぼっちになるんだぞ」

ムサシ「大丈夫だ。転移してねーし、撮っちゃえば大丈夫だって先生が言ってた」

「そんなのわからねーや、マサは何してるかなー。」(マサとは、正宗ミニュチュアダックス犬である)

「マサは、母ちゃんが帰ってくるの待ってるぞ」

母はいつも言っていた、孫が見たいと。ムサシは43歳になる独身である、結婚のあてもなく、彼女もいない。なので正宗をかわいがっていたのである。ムサシもある思いはあった。母に結婚式を見せてあげ、孫も見せてあげたいと常に思っていたのである。よく見かける幸せな家族にあこがれていた。しかし現実は厳しいものである。おひとよしのムサシはキャバクラ女にあやつられては捨てられての繰り返しであった。

「いっぱいお見舞いもらったから、退院したらみんなに返さなくちゃなー、診療所の先生にもお見舞い返さなきゃなー」と母は言う。

ムサシに言わせれば、診療所の先生の診断ミスがこんなに癌を進めたのに、なんでそんな先生にお見舞い返すのかと腹立たしい気分であった。

ムサシには、母の姉の娘の子で、ゆうきというハトコがいた。26歳になるが、仕事はしていない。プータローである。東京から長野の病院へ車での往復を週1回、一人では、運転しながら寝てしまうが、二人なら、会話がある分、眠気も吹っ飛んだ。ゆうきがプータローで感謝する瞬間でもあった。

大腸癌の手術は7時間にも及んだ、ムサシは気を紛らわすために、ゆうきとモンスターハンター2NDGをやりながら、手術の成功を祈っていた。

そして、手術終了。「無事に終わりました。」医者は言う。「二週間入院したら退院できるでしょう」

ムサシは感謝した。「ありがとうございます」

母は地獄から帰ってきたのである。手術後、抗がん剤を3カ月ぐらい投与したほうがいいのではとムサシは思った。インターネットで大腸癌を調べてみると、再発が一番恐ろしいからである。

医者は言う「まあ、抗がん剤はやってもやらなくても、どちらでもいいよ」と「たぶん転移しないでしょう」というのである。ムサシも先生がいうならたぶん大丈夫だと、抗がん剤は諦めた。

手術から1年たった10月のある日、毎月病院にCT検査に行っていた母が、肺に影があると先生に言われた。

ムサシは思った。癌が肺に転移したのではと。ただ医者は、「まだ影が小さいので、癌ではないかもしれない。1か月様子をみましょう」と言う。ムサシは思った、というよりも祈った。癌でなければいいと。

ゆうきの母でもある、エツコが言う。ハワイに旅行に行こうと。もし母の影が癌だったなら、命は永くない。思い出を作ろうと。ムサシも賛成した。

ムサシと母と、ゆうき、ゆうきの母エツコ、ゆうきの姉リエの5人でハワイに行くことになった。

母は飛行機にも乗ったことがない、もちろん海外旅行など行ったこともない。結構楽しみであった。

村の人たちに、「おら、ハワイに行って来る」と自慢していたぐらいだ。

ハワイに着いて、10月なのにポカポカで驚いた。

「ハワイは暖ったけーなー」と言う母に、来てよかったと思うムサシであった。

ホテルに着き、ベランダから見るワイキキビーチは最高である。ベランダの椅子に座りながら、昔のことを思い出した。男たちをもてあそんだキャバ嬢達が何故か思い出された。

 中野マコ

ムサシが会社の独身寮にすんでいるころ、会社の先輩が「キャバクラ行こうぜ」と誘ってきた。ムサシはキャバクラなんて行ったこともなく、どんな場所かも分からなかった。「可愛いし、きれいな女の子が沢山いる所で、酒を飲む所だ」と先輩はいう。「いくらかかるんですか?」とムサシ。

「1人5千円ぐらいだから、平気平気」と先輩は言う。ムサシは彼女もいなく、会社と独身寮の往復ばかりだったので、まあいいかって感じでキャバクラに行った。

店に入ると、なんと可愛い女の子ばかり、「ご指名の女の子は?」と店員が聞く「ミライちゃん」と先輩は言う。「ええ???」ムサシはビックリ、先輩は常連だった。「ムサシ、お前も指名しろや」と先輩は言う。「誰でもいいんですか?」とムサシ。「誰でもええねん」と先輩。ムサシは店の奥にいる目のパッチリしたマコを見つけ指名した。「こんばんは、マコでーーーす」、「こんばんわ。ムサシです」「あなた目大きいいね、あたしも大きいけど」とマコ。女の子と喋りながらお酒を飲むと結構楽しいものである。みるみる時間は過ぎ1時間が過ぎた。「お客様、ご延長はいかがなされますか?」と店員。すると「延長や、延長1時間な、そしたら帰るわ」と先輩。先輩は関西出身なのだは、普段は関西弁を喋らない、お酒が入り、ご機嫌になると関西弁がでてくるのだ。

延長の時間も楽しかった。「あたしね、ムサシみたいなのがタイプ、また来てね」とマコ。「うん、また来る、ねえ、外でご飯とかデートできないの?」とムサシは聞いてみた。「それは、もう少し仲良くなってからだよ」とマコ。今思えば、これがこの業界の恐ろしい言葉なのであった。

1時間の延長が過ぎ、再延長はせずにムサシと先輩は帰ることにした。すると店員が紙切れを持ってきた。先輩が確認し、ムサシに「ムサシ、二人で5万だからムサシは2万でええよ。」と言う。「ええ?二万ですか?」とムサシ。「安かったなー」と先輩。ムサシは思った。5千円て聞いてきたのに2万は高いと。二人は5万を支払い帰宅した。「先輩、なんで5千円が5万なんですか?」とムサシ。「5千円はセット料金ていって最初の1時間の基本料金や、延長料金は1時間1万やし、女の子のドリンク代金も別や」と先輩。ムサシは夜の街のシステムをいろいろ教えてもらった、なぜならその先輩は学生時代からアルバイトで夜の店の店長まで上り詰めていたのであった。

次の日、15時半電話が鳴った「もしもし、覚えてる?わたしマコ」「ああ、覚えてるよ」「ムサシ君が気になっちゃって、電話しちゃった」この言葉に男は勘違いをしてしまうのである。「明日って夕方暇?ご飯たべに行かない?」とマコ。「ええ?いいの?暇だよ、暇」とムサシ。「じゃあ、明日、中野駅の改札で待ってるね。着いたら電話して、早く会いたいね」「わかった。僕も楽しみだよ」ムサシはのこのこと約束をしてしまった。デートだと思ってたのである。

次の日、寮に帰って風呂に入りバッチリ決めて中野駅に向かった。「むさしくーーーん」「マコちゃん」「何食べる?私イタリアンが食べたい、ピザとかパスタとか」「いいね、いこいこ」二人でピザにパスタを食べ、ワインを飲みながら楽しい時間は過ぎてゆく、20時40分になったとき「ムサシ君、あたしお店行かなきゃ。一緒にきてくれたらまだ長く一緒にいられるよ」とマコは言う。「じゃあ一緒に行ってあげるよ」とむさし。まんまと彼女にやられてしまったのである。店に行くと「ごめんね、来てくれてありがとう」とマコ。5分もすると「ちょっと待ってて、すぐ戻ってくるから」と言い残し、左奥のテーブルに行ってしまった。「こんばんわーー、あゆみです、よろしくね」とこれまた可愛い女の子。「マコちゃんは今違うテーブルについてるから、あたしがお酒つぐね」とあゆみはいう。「マコちゃんって人気ものなの?」とむさし。「そりゃーそうよ。この店1番人気だからね」とあゆみ。マコは1時間してやっと戻ってきた。「ごめんね。今日なんだか忙しいの」とマコ。「お客様お時間です。ご延長はいかがいたしましょうか?」と店員。マコと5分しか店で飲んでいないムサシは思わず延長してしまう。すると10分ほど過ぎると「ちょっと待ってて、すぐ戻るから」と言い残し、マコはまた別のテーブルに。ムサシはまた別の女の子と酒を飲むしかないのであった。「お客様、お時間です、ご延長は?」と店員。ムサシは「帰ります」と帰ることにした。お金を払っているとマコが来た。「帰っちゃうの?寂しいなー、又ご飯行こうね」とマコ「そうだね」とムサシ。この日は同伴代金と合わせて4万円であった。この日からマコのムサシへの誘いがますます激しくなるのであった。












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