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 私たちの国カタレニアは、ミルヴァル公家に連なる家系とはいえど末端の小国だった。それでも、ミルヴァルが領地を直轄支配しようとし、代々のカタレニア王がそれを拒んで自立できていたのは、豊かな鉱石資源と、カタレニアの家系で濃くなった特殊な能力のためだった。

 闊達(かったつ)な父と過ごしたミルヴァルでの暮らしは、民や自然とともにあったカタレニアのそれとは全く違う、堅苦しい宮廷生活だった。母は私たちの後楯(うしろだて)のために、とある貴族と再婚したが、その夫の女性問題に悩み、病に倒れ3年後に亡くなった。

 頼れるのは、もう姉妹お互いだけだった。姉は美しく成長したけれど、数ある求婚をすべて断り、帝国一の武人を目指した。

 一方、大した取り柄もない妹の私は、婚約者がいたにも関わらず和睦の決定したイムハンへ嫁ぐことが決まった。ミルヴァルの女帝ドロシノーアの政略の道具、人質として。

 イムハン・・・それはかつて叔母をさらった敵国だった。



 イムハンへ行くまでの間、私は文字通り泣き暮らした。父も失い母も失って、今またただ一人の姉と引き離される運命を呪った。

 寡黙な姉はあまり言葉をかけてはくれなかったけれど、会いに来ると必ず押し黙ったまま私を固く抱きしめた。

 ミルヴァルで過ごす最後の夜、姉は私に髪飾りをくれた。


「これは?」

「母さまと叔母さまが持っていた姉妹の証らしい。 これで、叔母さまを探しなさい。それがお前の生きる目的になる」

「お姉様はどうするの?」

「私は、ここに残ってすることがあるから」


 姉は、最後まで何をするのか教えてくれなかった。


 出発の日。婚約者だった貴族の息子は、小さな花束をくれた。幼い私たちに、それ以上できることはなかった。

 馬を引く下男の他に従者はただ一人。

 広い大陸を渡り河を越えて、見知らぬ異国に来るまでの一ヶ月間で、とうに私の心は凍っていた。

もう少し膨らまそうと思ったのですがいつまで経っても進まないので載せてしまいます。

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