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第7話後編:実は幸せな家庭を夢見るラーヴェルト

疑いの目を晴らさないラーヴェルト特務少尉は、明らかに怒りながらも衰弱していた。

「エナジーバー食べる?」

「睡眠薬か……それとも毒入り?」

「カフェインなら入ってるよ」

僕はそう言うとチョコレートのエナジーバーを1口かじった後に彼女の口に入れる。

「おまっ……」

モグモグ……すると彼女の表情は明るくなり始める。ほろ苦くも、優しくて甘く、元気の出る味に彼女の目には疑いはなかった。

「美味しい……懐かしい味……軍でもお世話になった味だわ……ところであなた達が敵ではないと信じるわ。我が国の部隊はどこ?」

僕は事情を話す。僕たちの国の外交官と巨大軍事企業が絡んでおり、推測と付け加えた上でどこかのカルテルに売りとばす予定だったか、情報を聞き出す予定だったと思うと答える。

彼女は落胆の表情を見せ、涙する。

「私はっ!私は国に尽くした!その仕打ちがこれか!もう……死にたい……」

彼女は重たい言葉で伝えてきたので、僕は僕なりの本音を伝える。

「その、君は本当に死にたいのかい?君の作戦技量は知ってるつもりだ。僕達の家族になるなら大いに活かせる。むしろ活かさせてほしい」

「……明日中に退職届けを出すわ。今晩は解放させて……」

「わかった、待ってるよ。ラーヴェルト」

彼女の鎖を破壊した後に彼女をアラブドワの街まで送り、その後は素早く移動し、僕達は昼頃まで寝ていた。

先に起きたのはやはりというかロスタリアだった。遅めの昼食作りに励み、徐々に皆が起きては歯を磨いたり、コーヒーを飲んだりと昨日の作戦が嘘のように思える。徐々に寒さが目立つようになり、暖かいコーヒーもすぐに冷めてしまう。僕的にはアイスコーヒーが好きだから少し嬉しかったが。

するとノックがされ、珍しくドアベルじゃないな。と思いながらも、ドア鏡には銀髪の少女が写っていた。

「いらっしゃ……」

突如拳銃を向けられ、即座に素早く片手で銃をたたき落とす。一瞬の手の痛みと同時に軍隊式格闘術で体を左に半回転させながら顔面に肘を強打させようとするが、かわされ、彼女はその隙にナイフを僕の首に刺す。

死んだと思ったが、痛くなく、ダミーナイフのようだった。

「これだけ出来ればいいでしょう。改めまして、ラーヴェルト・アリーチェ特務少尉です。元ですが。驚かせてしまい、すみませんでした」

「びっくりしたよ。拳銃もクラッカー銃?」

「実銃です」

本気で殺しに来たのか……

「早朝に退職届けを出して、5万ドルの退職金と共に参りました。あの……その……本当に家族にしてもらえるんですか?」

「もちろんだ。さぁ、入って」

彼女は緊張しながら、震えて、家へとはいる。任務以外の家に入ることに慣れてない。もしかして……

「ラーヴェルト。君って、孤児院出身?」

彼女は俯きながら、はい。と答える。

「辛い事を聞いて悪かった。もうすぐ昼食が出来るから食べながら話そう」

ローストビーフとツナサラダ、コーンスープを見たラーヴェルトの表情は太陽のように明るく、美味しそうなバジルソースの香りに、ツナサラダのごまドレッシングの旨みのある香り、景色が晴渡るような表情のラーヴェルトは、危うく僕の分が無くなりそうなくらいよく食べた。

すると彼女は今度は涙を流し始める。

「私……私……こんなに明るい家庭は夢だった……嬉しいです……皆様のためにご尽力させてもらいます!ラーヴェルト・アリーチェ、本日よりスリザイア傭兵の隊員です!」

その後は彼女による戦場での一次救命処置を皆で学び、新居の設計案に庭にCQB訓練所を作る提案もしてくれた。新しい家族の心情が芽生え始め、元特殊部隊員が仲間になった!これは大きな成果であり、家族を守る家族が増えたのだ。


こんにちは!黒井冥斗です!ご拝読ありがとうございます!ラーヴェルトちゃんは素直にデレるのが得意ではありませんが実はスリザイア大好きっ子です。これから共に任務をする時は特殊部隊級の任務を補佐する役割を担います。さて!夜には閑話休題として新しいスリザイア家の皆の部屋の部屋紹介と普段の依頼について紹介したいと思うのでよろしくお願いいたします!

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