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第5話前編:大和皇国のホテル爆破作戦のハイリスク戦法

第5話前編 :大和皇国のホテル爆破作戦のハイリスク戦法

レイメスは爆弾作りに励み、ロスタリアは銃の分解清掃の内職を頑張っている。その間に僕はリビングでニュースを見ていた。

「現在大和皇国では政治的派閥テロが過激化しており……」

ニュースキャスターも他国だが、不安そうな声で報道する中でロスタリアも不安そうに感想を述べてくれる。

「今まで平和だった大和皇国が爆弾テロの温床だなんて……」

「本当だよ……多分僕の依頼もそろそろ……」

スマホが鳴る。連絡元はスタインさんだった。もう嫌な予感しかせず、今度人生初の胃薬デビューを考えた。

「はい、スリザイアです」

「やっほー!元気してる?」

「たった今元気が無くなりました」

「そうか……じゃあ500万ドルの仕事も無理か……」

僕は耳を疑いながらも飛びつく。

「ま、待って!要件だけ聞かせて!」

「うんうん、それでこそ僕の後輩だよ。依頼主は大和皇国の国会議員とだけ伝えておく。かなりハイリスクハイリターンな任務だ。政治派閥のテロが相次いでるのは知ってるね?」

フリーランスの傭兵家業において、依頼主を聞いてしまった時点でお断りは基本的にはできない。つまりこの時点でほぼ大和皇国の政治テロ案件は確定なのだ。僕はどうやら胃薬デビューは確定らしい。

「うん、知ってるよ。まさか……」

「大派閥の1つ芳野家派閥が経営するホテルの無人部屋を爆破して、圧力をかけて欲しいと父上が相談を受けてね。きみに回した」

とんでもない下請けだと後悔するが、爆破と聞いた瞬間レイメスが飛びつく。

「お兄さん!お兄さん!その案件受けます!!ホテルごと吹き飛ばしていい!?」

「ハハハッ!君が例の子か、せめてワンフロアにしてくれよ。それじゃあ、よろしく〜」

僕はもう胃が痛かった。だがレイメスは楽しそうだった。するとロスタリアが家族のまとめ役として叱る。

「あくまでも無人部屋を爆破するだけですよ。無実の人を殺さない!絶対的な約束です!」

「分かってるよーロス姉」

いつの間にそんなあだ名が出来たんだ……兎にも角にも大和皇国には銃器は持ち込めない。さらにはホテルも、後ほど送られたデータを見る限り、荷物検査もある。幸い金属探知がないのは幸いだが……

「レイメス、水筒くらいの大きさで最大2本で150平方メートルを爆破できる爆弾作れそう?」

「問題ないよ〜大和皇国でも作れる爆弾を考えてたら、不当拘束されたもん」

どう考えても打倒拘束にしか、思えなかった。

「じゃあチケットとパスポートもスタインが用意してくれたから、最長4日間居られる。その間にホテルに忍び込む方法を考えよう」

「かしこまりました!」

「わーい!爆破っ〜!」

大和皇国の胃薬はよく効くと評判なので、それをお土産代わりに買うとして、僕たちは次の日には飛行機に乗り、飛び立った。だが僕を含め3人とも飛行機には慣れてるようだった。

「ロスタリアはなんとなく、分かるんだけど。レイメスが驚かないのは意外だ」

「えーとね、過去に色々な国で爆弾制作頼まれてたから慣れてるよ」

「それ、絶対税関で言うなよ」

僕は固く言わせて、空港に着き、偽のパスポートで大和皇国の皇国中央国際空港から出る。

後からスタインさんから聞いたがレイメスは世界十数カ国のブラックリストに載ってるらしい。頭まで痛くなってきた……

とりあえずタクシーに乗り、4日間滞在するホテルに着く。スタインさんがせっかく美少女を連れて行くなら良いホテルがいいだろ?という事で皇国国際ホテルのスイートルームを予約してくれた。大理石や小さな執務室など初めて見た。初めて嗅ぐアロマの香りに胸を躍らせる。そして、テーブルには僕達の言語で『ようこそお越しくださいました、スリザイア様ご一行。未成年ながら長旅でお疲れ様です。ささやかながらフルーツジュースとお菓子を用意しましたのでご賞味ください』と書かれていた。大和皇国のホテルサービスは凄いな……

だか、レイメスは執務室の上で図形を遠慮なく広げて、僕にメモを渡す。

「え?魔法瓶水筒とかガス缶とか?料理はしないよ?」

「爆弾作りに必要なの!私は合法なツールキットで作るから最低でも2日かかるから早めにね」

口調が突然変わり、驚きながらも、貨物室で預けたシースナイフをロスタリアと僕で持ち、街へと足を運ぶ。

当然外国人なので視線が鋭く、気を紛らわせるためにスマホを見ながら歩く(真似してはいけません)と肩がドンッとぶつかり、僕はすぐに前を見る。

「す、すみません!私、前を見るのが苦手で……」

そこには大和人とは思えない青い綺麗な髪の毛に青い瞳をしており、とても美人ながらも魔法の国の人みたいというのが、僕の感想だった。

「僕こそ、ごめん。スマホを見ながら歩くのは良くなかったよ。あとその瞳と髪、凄く綺麗だね。大切にしてあげて」

そのまま通り過ぎようとしたら、袖を掴まれる。

「あの……あなたが国際ホテルから来るのが実はたまたま見えて……これ、私の名刺です!この髪と瞳を褒めてくれたのはあなただけですから……」

「あー……うん、ありがとう。何かあったら連絡するよ」

そう言い、胃薬も含めて、爆弾の材料を買って帰る。

レイメスは既に信管や起爆プログラムの開発をしていた。

「レイメス、買ってきたよ。爆弾作りはいいけど誤爆だけは避けてね」

「有り得ない、それよりもコーヒー淹れて」

普段とは違う無骨さだが、彼女無しでは任務はできない。久しぶりに僕がコーヒーを置くと礼も言わず、仕事に夢中だ。これでもコーヒー淹れるのは得意なんだぞ。

問題はホテルにどう仕掛けるか……キングサイズのベッドにダイブすると名刺がポケットから落ちる。そして家系を見て驚く。

「芳野家従兄弟家の水田家長女……」

とんでもない偶然に驚き、まずはロスタリアに話すがリスクが大きいと拒否され、まずは僕が目的のホテルに行ってみるが、外国人立ち入り禁止の看板が立っており、全ての裏口に防犯カメラと動体センサーがあり、これ以上は怪しまれると判断し、撤退する。

「付近には高いビルもなかった。内部侵入しかないけど、下水道も厳しいかな……」

そのままロスタリアと2日かけて会議したが手は見当たらず、水田さんに頼むしかなかった。500万ドルの為に自分の人生を棒に振るような依頼を引き受けたことに後悔しながら、電話をかける。

「はい、もしかしてこの前のお方ですか!?」

「うん。そうだよ、髪の手入れはしっかりしてる?」

「はい!もちろんです!それでご要件は……」

僕は彼女の虐められてきた過去があるとぶつかった時のセリフから推測し、信頼されるように話せることは話す。

「芳野家は恨みの家系です。汚い金のやり取りに加えて、私の父も母も、私を家族と見ていません。この任務引き受けさせてもらいます」

第5話前編終

ここまで読んでいただきありがとうございます!さて、見た目の問題だけで周りから避けられ、傷つけられた水田希ちゃんは近接戦闘、特に刃物を得意とする子で、これからの任務で素早く動き、素早く始末する優秀なステルスアタッカーとしてスリザイアの家族と共に動きます!大和皇国の名前の元ネタは推測できると思いますがこんな風にはなって欲しくないのが黒井の本音です…平和が続くといいですね

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