第4話:天神爛漫な爆弾魔レイメス
第4話:天神爛漫な爆弾魔レイメス
ロスタリアと買い物に行き、ついでに公衆浴場にも行き、汗を流す。久しぶりの熱いお湯は心も身体もスッキリさせてくれた。
そして新品のワンピースを着たロスタリアはとても可愛らしく、優しい瞳をしていた。
「ごめんね……3着しか買えなくて……」
「いえいえ。スリー様から頂いた、この服は宝物です!」
家に帰り、ロスタリアが家計簿を付けてる間に僕は、クロスボウのメンテナンスをしていた。モーターのグリスがベタベタがするのが嫌で、あまり使いたくないのが本音だ。だけどそれを言ったら、ライフルでも拳銃でもそうだと言われてしまう。違う理由はただ1つ、僕が好きかどうかだ。
鼻歌を鳴らしながら、お父さんの遺品のコルトガバメントを分解し、パーツを確認する。
やっぱり傷は付いているが動作には問題は無い。だが細かい所にこそ気を配れ、父の言葉通り、念の為に軽い液体金属で固めておく。
するとスマホが鳴りだす。依頼を色々くれるスタインからだった。
「はい。スリザイアです」
「いや〜スリー君。派手にやったねぇ、爆薬はどこで手に入れたんだい?」
「依頼の情報じゃなきゃ切るぞ」
僕はそう言うと彼は楽しそうに笑いながら、いいのかい?取っておきの情報があるよ。と言い出す。
「それだけ聞かせてもらう」
「隣国アラブドワに高度な爆発物の知識を持つ少女がいる。君、爆弾爆破させるの嫌いだろ?得意ではありそうだけど」
僕は重たいため息をついて、また、奴隷か何か?と聞く。
「無実の罪で逮捕された。いわゆる冤罪だ、そして彼女の爆破テクニックは当国の脅威だ。保釈金の半分出すから君のところに入れてやってくれ。もし、引き受けなかったら僕のお父さんが死んだら、きっと仕事が……」
「分かりましたよ……苦しい家計ですけど出します」
「じゃあ明日までに振り込んでね。その後は3日以内にそっちに来るから」
電話を切ると、ベッドにドスンと倒れ込む。
何か手っ取り早く稼ぎたいなぁ……そんな願望があった。だがロスタリアは家族だ、彼女を飢え死にさせるわけにはいかない。普通の仕事もしてみようかと、相談を持掛けるため、1階に降りる。
するとUSPを分解し、メンテナンスをしていた。
「ロスタリア、それは壊しちゃ……ちゃんと綺麗に分解できてる……」
「実家で学んだ事です。それよりもスリー様、家計が不安なら私もお仕事しましょうか?」
僕は一瞬悩むが、彼女は誘拐され、社長候補云々とか言っていた。あまり外仕事はさせたくない。
「どれくらい分解清掃できる?」
「通常のガスピストン方式とかリングハンマー方式とかなら一通りはできます」
僕は悩んだ末にまた、彼女に選択を委ねる。
「銃の分解清掃はお小遣いになるから、やってもらえる?」
「はい!大好きなので喜んで!」
よかった……これで食事には困らない。
その後、スタインに指示された口座に20万ドルを振り込み、3日間ロスタリアと話し合っていた。
爆発物をあまり使わないと武器庫の金庫を見た時に瞬時に判断したらしく、スリー様が嫌がる仕事なら雇うのはアリかとという結論に至った。相変わらず柔軟な考え方だと感じなが、新しい家族を待ち遠しく、ワクワクする。
そして、3日後、朝からドアベルが鳴り響き、睡魔に取りつかれながらも警戒し、僕がドアを開けると赤い髪のショートヘアで囚人服の女の子がいた。
「君か……名ま……」
「ここを爆破すればいいの?」
僕は内心、ピキっと来たが深呼吸で落ち着く。最早睡魔など撃退してしまった。
「ここが君の家だ。君の名前は?」
「シニア・レイメスよ。あなたは兄様って呼ぶね」
なんだこの天真爛漫で礼儀を知らない子は……
するとロスタリアが既に服を買いにく支度をしていた。
「レイメスさん、彼は我々の主のスリザイア様よ。言葉遣いには気を付けてね」
「はーい!お姉ちゃんは……」
「ロスタリアです」
そして3人で買い物に行くとレイメスは服を遠慮なく、カゴに放り込み、3桁ドルが飛んだ。
帰ってからロスタリアは厳しく、レイメスに家庭内でのルールを教えた上で、スリー様の大切な約束として。故意に罪の無い人を殺さないでという約束を固く守らせる。
新しい家族はとてもとても、教える事が多そうだ。
第4話終
ご拝読ありがとうございます!レイメスちゃん天神爛漫ですが爆弾のことになると本気を出す個性的で明るい子として作者の自分は認知しています。まぁこれから登場する子達が皆個性豊かなので比較的覚えやすいと思います。それではいよいよ、初の2パート編突入です!よろしければ明日の通勤通学の時間帯でもお読み頂ければ嬉しいです!




