第15話後編:パラミリとの共闘
第15話後編:パラミリとの共闘
ロスタリアの兄であるセレストン・アーリクスの暗殺任務を、リビングでみんなの前でロスタリア自身が伝えた。僕は静かに見守るだけだで口出しはしない。
まずはラーヴェルトが声を上げた。
「ロス姉の出自には驚きましたが、私は参加します。ロス姉に酷い目を会わせたのならやり返すのが基本です」
「私も賛成〜」
レイメスも同意する。
「私も旦那様の最初の家族をひどい目に遭わせたい奴は許せないわ」
ソーサーさんも同意してくれた。
「私もやられっぱなしは気に食わないなぁ……報復攻撃のサイバーなら任せな」
意外な本性を知れたレイノーツもパソコン片手に何かを調べてるようだった。
他の家族も同意してくれて、1週間後にドイツ郊外にあるセレストン・アーリクスの邸宅の襲撃及び暗殺が決まった。
作戦手順も確認しながら僕とラーヴェルトは、重点的にラペリング降下の練習とワイヤーライフルによる屋根への登り方を確認していた。
「ラーヴェルト、今回は辛いかもしれないけどロスタリアから、なるべく苦しめさせて欲しいと言われてる。これが家族からの依頼である以上非致死部位に弾丸を当てて、失血で苦しんでるうちに、僕が彼の息子にアメリカと対等な軍事兵器提供を約束させる。残酷かもしれないけどいい?」
ラーヴェルトは即答した。
「無論です。本当なら私も祖国に仕返しをしたいですが、規模がデカく、孤児院のシスターさん達にご迷惑がかかります。なのでここで少し鬱憤をはらいます」
「よし、その意気だ!」
その頃CIA本部では……
ミルド情報工作担当官の執務室ではパラミリの子供に知識のある、いわゆる青少年心理学を学んだ隊員6名と会議していた。
「すごい子供達だな。だが……可哀想だ」
「俺も同意だ。ビルの爆破、しかも死傷者ゼロに加えて、無人ホテルを的確に爆破したり、内戦に関与し、民間人の救出と保護も行う。ただの少年テロリストグループじゃない。知性と理性を有する獣と言うべきか」
他の隊員も思い思いの事を言っていたが、ほとんど同じだった。
「そういうわけだ、諸君らにはスリザイア家と協力して、我がステイツに反するセレストン・アーリクスを抹殺し、彼の息子が第一後継者になるが、そこをスリザイア君が脅してくれるらしい」
「では、工作官殿。ヨーロッパにリストにあるこれだけの銃器と爆発物をドイツ国内に持ち込ませるには、利益が必要なはずです。何か提案が?」
「簡単さ、ドイツ外務省と大使館に無関係者は巻き込まないから安心しろと。従わなければ我々の握ってる貴殿らの不祥事をばら撒くぞと脅したら、二つ返事で許可してくれたよ」
やはりミルド情報工作担当官は恐ろしい方だ。中学校の教師のフリをしながら、麻薬カルテルの情報を不良生徒から集めただけはある。
「期間は残り1週間。いきなり共に行動するが君達なら問題ないだろう。星条旗の名の下に」
「「「星条旗の名の下に!!」」」
1週間の間にスリザイア家は常に情報収集しながら初めて、オンラインでパラミリの方々と声を交わした。
「君がスリザイア君かい?」
「はい、あなたがジョニー隊長ですね?」
「そうだ。一応児童心理学は学んでる。だが君達には下手な大人よりも理性があると確信もしている。だから聞きたいもう、働かなくてもいいお金はあるはずだ。何故任務をこなす?」
僕は黙った。もちろん周りの皆も黙るが、全員と目を合わせて決める。
「それが僕達の価値であり、まだ救わなきゃいけない人達がいるからです」
「なるほど、私的な話だが君達が1万ドルを国連難民高等弁務官事務所に寄付したのは知っている。とても誇らしいことだ。とても私には真似出来ない」
「だからこそ、僕達が必要なのです」
ジョニー隊長は、しばらく息を飲む音を出してから答える。
「君達のような少年兵が増えれば大人も文句を言わなくなるかもしれないな。1人紹介させてくれ、ワイバーン来てくれ」
すると画面越しから駆け寄る音と共に、男性の声が聞こえる。
「あー初めまして。ワイバーンです」
「スリザイアです。今回はお世話になります。なにかご要件でも?」
ワイバーンさんは顔が見えなくても、言おうか悩む声が聞こえる。
「実は娘がいるんだ。12歳でな……射撃技能も勉強も得意。体育の成績も上々で1年飛び級している。だが私がどんなに幸せな家庭を築いて、平和に暮らして欲しいと言っても、お父さんみたいな強くてカッコイイ人になりたいと聞かないんだ。米軍では最近内部治安が悪化している。だから今回の任務次第では娘を教育して欲しい。可能なら平和な家庭に憧れさせて欲しい」
その時ラーヴェルトが声を上げた。
「ここにいる皆がきっとこう思ってるはずです。娘さんが望めば断らないと」
「……ありがとう!君がラーヴェルトさんだね。声でわかるよ、とても優秀だと聞いてる。もし、娘がお世話になる時はよろしく頼む!」
「えぇ、こちらこそ。ただし厳しいですよ」
「それで娘が戦闘を捨ててくれたら嬉しいよ」
そしてジョニー隊長に戻る音が聞こえる。
「では、明日。手筈の通りの飛行機で、ドイツに着いたらポイントアルファで会おう」
僕達は全員でよろしくお願いします!と言い、通話が終わる。
「じゃあ皆、今日はゆっくり休もう。食事もデリバリーで好きな物を注文して構わないよ」
やったー!という声が響き、この無邪気さの中に人への殺意があるとは普通の人には思わないだろう。だけど僕達は価値を示して、救いたい人達がいる
第15話後編終
こんばんは!黒井冥斗です!いつもご拝読やリアクション感謝します!ブックページも気軽にしていただけると励みになります!もうすぐこの「この少女、僕が買います」も一旦終わり、ネット小説大賞にエネルギーを注ぐために投稿しない日が続くと思いますが、ご容赦願います…終わってからはまた何かしら投稿するのでお楽しみにしてください!そしてネット小説大賞での作品もお楽しみいただけたら幸いです!それでは、いい夜を!




