第3話:新しい家族ロスタリア
第3話:新しい家族ロスタリア
俺はこの仕事は退屈過ぎて嫌だった。勉強もできない、射撃も下手くそな俺は、この政府系PMCの小規模拠点の見回り役という名の盾だった。隣の同期も退屈そうにタバコを吸っている。この煙が気を紛らわせてくれる。
「なぁ、二人でこの仕事辞めないか?」
俺の提案にこいつはいつも通り答える。
「俺はタバコが吸えて、食い物が食えるんだったら職は選ばないよ」
なんとも夢が無いやつだ。そう思った時だった、刹那の隙に風を切る音が聞こえると、同期の頭に綺麗に棒が刺さっていた。
「なんだよこれぇ!?」
その次には俺の意識は途絶えた。
僕の作戦は思い通りに行き、交代要員を排除した後に鉄の玉入りの高性能爆薬を部隊舎に仕掛ける。静かにクロスボウを当てたため、いびきだったり、寝言が聞こえてくる。
安全のために軽機動装甲車の裏に隠れて、さようなら、皆さん。と呟いて依頼主にとっては厄介者の極み達を吹き飛ばす。耳が痛くなるほどの爆発音と軽機動装甲車に大量の鉄の破片がぶつかる音が聞こえる。本当は持って帰ってオークションに出して生活の足しにしたいがそれで足がつくと困る。
多分肉体は見たくないくらいめちゃくちゃだと思うので無視して、収監所へ向かう。途中硝煙臭く、気味の悪い焼ける臭いがしたが慣れていた。念の為に木製の小屋の見張り小屋を警戒していたが先程の破片で、大出血サービスになっていた。
「これだから破片爆弾は嫌いなんだ……」
そう思いながら、収監所の階段をおりていくと糞便の臭いや腐った臭いがして、嫌気が差す。そのまま進むと、牢屋に奴隷商人と見られる人間と一人の少女がいた。
「こ、殺さないでくれ!奴隷ならいくらでも……」
「黙れ。依頼を受けて助けに来た」
僕はそう言うとお気に入りのショットガンで鍵を壊す。
「そこの少女は僕が買う。3000ドルならこの辺ならしばらく逃げ切れるはずだ。予備の食料と水も渡す」
僕はそう言って、それらを奴隷商人の前に置くと奴隷商人ならぬ発言が帰ってくる。
「……ありがとう……君みたいな礼儀正しく優しい少年もいるのだな……これは個人の約束だ。私は奴隷商人をおりるよ」
僕はもう、捕まるなよ。とだけ言って、少女の目隠しと手錠を外す。
牢屋内の悪臭でこの場を離れたいが、この子も解放したいのが僕の本音だ。
そして顔を覆ってる袋を外すと、思わずドキッとするくらい可愛い子だった。紫色の髪に、少しオシャレな髪飾り。眼は少し俯いてるが蒼くて綺麗な瞳だ。
「君?歩ける?」
「……助けてくれてありがとう……でもあなたも次期社長候補目当てなんでしょ……」
なんの事か分からなかったが、僕は彼女の手を優しく包み込む。昔泣いた時はお母さんがいつもこうしてくれた。
この子を信頼する価値はあるか……一瞬悩んだが彼女に判断を委ねる事にする。
「君を家族にしたい。奴隷でも道具でもなく、一人の人間として。社長に関することは本当に分からないけど、話したくなったら教えて欲しい」
すると彼女はふらつきながらも、立ち上がり、一言。
「お腹が空いた……」
僕は仕方なく、自分用の軍用糧食のチョコレートをあげると彼女は一瞬で食べ切ると笑顔になる。やはり女の子は笑顔が一番似合う。だがゆっくりはしていれられない。
「ありがとう、お兄さんはなんて言う名前なの?」
「スリザイアだ、スリーと呼んでくれて構わない」
「スリー様、よろしくお願いします。あなたの家族になれたことが光栄です」
複数の傷跡が少女にはあったため、僕の家までは歩けないと思い、手間がかかる家族だとも思いながら、そのまま、増援が来る前に彼女を担ぎ、20キロメートルを早足で駆け抜け、自宅に帰る。彼女は不気味なほど軽く、ろくに食べれなかったのだろう。
もちろん翌朝は筋肉痛で動くのも嫌だった。このまま寝てようかと思って、エアコンも無い残暑の厳しい秋を過ごしていると、少女が起こしに来てくれる。
「スリー様……朝食が出来ました。部屋も……私がお掃除して構わないでしょうか?」
僕は痛む足を無理やりベッドから投げ出しで起き上がる。
「イタタ……ありがとう。えーと……君の名前は?」
少女はボロボロのドレスを広げ、頭を下げる。
「スリー様がお決め下さい。私はもう名乗るのが危険ですから……」
彼女の見た目を一言で表すなら、紫色の綺麗な薔薇。それが僕の感想だった。
「ロスタリアとかどう?」
「はい!ご拝命致します!」
早速僕はロスタリアにお願いをする。
「肩を貸してもらえる?1階のリビングまで降りれない……」
ロスタリアは笑顔で喜んで!と言ってくれて、二人で机を囲み、目玉焼きとソーセージ、硬いパンを食べる。もちろん冷蔵庫はあるが節約モードのためあまり長期間は保存はできない。なので牛乳も早めに飲みきる。
何年ぶりだろうか……2人以上で食卓を囲むのは……
「ねぇ、ロスタリア。今日新しい服と食材買いに行こうか」
「はい!お供します!」
僕はそのまま立ちがあり、大人くらいの大きさの金庫に番号を入れて、開けると拳銃を取り出す。
「この国だと拳銃がないと簡単に誘拐されたり、殺されるからあげるよ」
「USP拳銃ですか……9mm弾だと過貫通で被害が出たりしたら……」
驚いた、9mm弾の特性を理解している。
「この国の警察の仕事は電話番とドーナツ食べるくらいだから気にしなくていいよ。でもこれだけは約束して、故意に罪の無い人を殺さないで」
ロスタリアは、はい!スリー様!と答え、その後も朝食を食べて、皿洗いをしてくれる。
「ロスタリア。1つお願いなんだけど……」
「はい?」
「僕の部屋の掃除手伝って……書類と弾薬が散らばってどうしようも無いんだ……」
ロスタリアは笑顔で応える。
「もちろんです!スリー様!」
その後彼女に僕が隠していた漫画を見つけられ、生活費は大変なんですから、娯楽はほどほどに。と家族になって1日目で言われてしまった。
第3話 終
どうも、3話目もご拝読ありがとうございます!お疲れ様です!ついにメインヒロインの1人ロスタリアちゃんです!作中で社長候補と言っていたましたが何を意味するのか今後の展開にご期待ください!それでは今夜も続きをどうぞ!




