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第14話 後編:大音量より有効な音

第14話 後編:大音量より有効な音

全く……流石スリザイア君だな……あのラーヴェルトちゃんもかなりの手練。油断したらこのMP5では太刀打ちできない……人数も向こうが有利……か。

俺はポーチから特殊音響閃光弾を取りだして、先に来た方に投げて、弾切れまで撃ち尽くし、拳銃に切りかえて、状況を打破する計画を立てる。

僕達は綿密に歩く速度と室内の構図で同時突入できるように歩く速度を調整する。

そして、ボタン式のモールス信号機で止まれと指示する。

そのまま僕が特殊音響閃光弾を投げたら突入と伝えるとラーヴェルトも了解と返してくれる。

鏡で社長候補の様子を見るとだいぶ焦ってはいるが計画はあるように見える。

これは下手に起爆の時間を考えない方がいいな。

僕は大声を出す。

「不審者確認!!」

「そこかっ!」

特殊音響閃光弾が投げられる前に、反対側からラーヴェルトが社長候補に照準を定め、決着が着く。

CQB戦終了後に社長候補の方から声をかけられる。

「君、なんで特殊音響閃光弾を使わなかったんだい?」

「即効性と男性という点から大声で不審者確認!と言えば男性ならそっちに一気に気を向けれると思って」

「ははは……君の頭の良さには感心させられるよ。じゃあ僕達も準備があるから失礼」

その後の人質奪還作戦の演習では、衛星図を元に停車中の車を襲撃し、護衛を排除。その後人質を安全地帯まで運ぶタイムが競われるというものだった。

僕たちは最後の番で、公平性を保つため、訓練が見えない部屋の中で、経口補水液を飲んでいた。

部屋の中は丁度いい温度で、静かで、時折、液体を飲むごくんという音や銃の作動確認のガチャという音、観葉植物を眺め、心を落ち着かせていた。

するとドアがノックされ、出番です。と言われる。

そこから人質まで5キロメートル地点に着き、ここが回収ポイントだ。

「作戦開始まで5、4、3、2、1……スタート」

僕達は早歩き程度で、現場へ向かう。ロスタリアはなるべくゆっくりといけと伝えてある。彼女は狙撃手である以上、心拍数の増大は致命的に弾道がズレる。無論レーザーの為まっすぐ飛ぶが、それでも手先のブレなどの補正はない。

ラーヴェルトが先行し、エミレーナが整備してくれた無線から、社長確認という合図と護衛は12名と報告を受ける。

「ロスタリア、バレッドのセミオートで後方車両の連中を可能な限り排除してくれ、僕はパッケージの回収及び中央の護衛の排除、ラーヴェルトは前衛を排除。作戦開始!」

その瞬間、ズドン!と重たい銃声が何発も響く中で砂煙が舞い、ゴーグルを持ってくるべきだったと後悔する。だが予想以上に砂嵐が強く、ある程度影を隠せそうだった。

「総員サーマルビジョン(赤外線)メガネ用意」

僕の指示にみんなが付ける。すると敵は混乱してるがこちらは、相手の位置は丸見えだ。素早く射撃し、本当にあっという間に制圧し、プロらしさを感じた。そのまま、人質のセダンのドアを開けるとイベントの最初の挨拶の派手な服装の自称社長と小太りの僕が怪しんでいた男性がいた。

2人とも私が社長だ!と言い張る。

「元デルタの女性社員の名前を言えた方を連れていく」

僕がそう言うと、派手な服装の男性が我先にと「アイリンだ!」と言う。

すると小太りの男性は「社員に関する個人情報、特に特殊部隊関連はノーコメントだ……」と言う。人狼がバレたようだな。小太りの男性を救出し、派手な男性は戦死をさせて置いて、5キロメートルを再び走るが、最初とは違う不安はやはりあった。ここで間違えれば全種目優勝は無くなる、ハワイ旅行は確定だが、僕達はプロである以上ミスはしたくない。

そして回収ポイントに連れていき、ジャッジが下る。

「今回無事に社長を連れて来れたのは……1チームのみ!スリザイア傭兵の皆様です!」

周りのチームが反論する。あいつが社長だと言ってただろや、インチキだというが、社長は一言。パッケージが自分の知ってる人の名前を無闇に口にしたり、嘘を見抜けない、君達はまだまだだな。と言うと他のチームメンバーは文句を言いながら各自帰宅する。

そして、社長とアイリンさん、レイさんに僕と家族で応接室に招かれ、話し合いをした。

「まずは優勝おめでとう。君達は本当に優秀で運も味方に付けれる。今後も予備社員としてよろしく頼むよ」

「はい、願ってもないお言葉です。ですが1つお願いが……」

社長はなんだね?と聞いてくる。

「僕は働き手の無い女の子達を教育したいんです。男の子は僕みたいに少年兵の道はありますが、女の子は未来がありません。だからいずれ、傭兵会社を立ち上げようと思ってます。もちろん予備社員として経営的パートナーシップとして」

社長は、すぐに答えを出した。

「いいだろう。優秀な人材が確保できるのはありがたい。このままハワイに向かうかね?」

そして僕は冗談半分で空気を和ませる。

「えぇ。ぜひ、もちろんスイートルームですよね?」

「ハッハッハ!抜け目ないね。その通りだ、アイリンとレイも行くか?」

「いいの?」

「いいんすか?」

家族達の表情を僕が見ると特に嫌な顔はしてない。ならば、まるで運命のように出会えた2人にはお礼をしないと。

「お2人がよろしければ構いませんよ」

「じゃあ、ハワイ旅行2週間楽しんじゃいますか!」

「おう!スリーは優しいな」

こうして、空港まで高級車で送ってもらい、ハワイ旅行を楽しむことにした。この2週間の為に頑張ったのだ。家族と戦友で楽しくやろう!

第14話後編終

こんばんは!黒井冥斗です!いつもご拝読ありがとうございます!そして温かいお言葉感謝します!

さて、ネット小説大賞が少しずつ足を忍ばせてる中で自分はどこまで結果を残せるか気になりますね。でもそれと同じくらいこの、「この少女、僕が買います」を大事にしたいです。

ちなみにですがネット小説大賞に出すのは転生物ですが王道を進みつつもジャンルや設定が特異的って感じだと自分は思ってます。それでは皆様良い三連休を!

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