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第9話後編:航空攻撃の専門家エミレーナ

第9話後編:航空攻撃の専門家エミレーナ

家に帰るとまだ、皆寝ている中で、僅かながらレイノーツの部屋のドアから明かりが漏れていた。

ノックし、入るとエナジードリンクを3本飲んだ痕跡と薄暗い部屋でパソコンと向き合っていた。

「おかえり兄、あー良い人物見つかったよ」

「本当か!?」

すぐにプリンターに駆け寄り、書類を一瞥する。

「元アメリカ青少年少女特殊部隊計画の候補者……これ、絶対公の情報じゃないだろ?」

彼女はうん。と答えて、次にとんでもないのことを口にする。

「ペンタゴン(アメリカ国防総省)にある喫茶店の偽の割引券アプリをインストールさせて、引っかかった職員からバックドアを作って、そこから企業秘密をしてから中枢ネットワークに侵入した」

この子は優秀だけどなんて事をしてくれたんだ……

「今はどこにいるの?」

「うちの前」

「は?」

ドアベルからインターホンに変わり、ピンポーンと軽快な音が鳴るが、個人的には大和皇国の胃薬が欲しくなってきた。

すぐに応答し、顔を見ると、武装はしておらず通信機材やノートなどが少し見えた。

僕はオートロックを解除し、中に招き入れ、このとんでもない家族という名の責任者と共に話を進める。

「それで君が……」

「はい、エミレーナ・エルカロイツです。国に捨てられたところ、月給5万ドルの仕事で君にしか頼めない仕事があるよと言われ、来ました」

「おい、レイノーツ。僕は5万ドルの給料を出すとは言っていないぞ」

レイノーツは汗をかきながら、ま、まぁ、皆の命が助かるならいいじゃん。と誤魔化す。まぁ、実際問題JTACクラスの兵士の給料を考えれば……ん?待てよ。やはり多すぎないか?

「ねぇ、エミレーナさん。月給いくら貰ってた?」

「6000ドルです」

そりゃあ5万ドルに飛びつくよなぁ……だからと言ってせっかくの人材も手離したくないし……

「エミレーナさんの米軍でのASVAB(米軍資質テスト)のスコアは?」

「全科目平均96です。なので米軍でもトップクラスです」

最高得点が99のASVABでこの人材ならギリギリ、出せるかな……

「なにか証明出来る書類はある?」

「はい、こちらを見ていただければ」

そこには輝かしいくらいの米軍での体力テストの結果や空挺降下課程の習得、ASVABの完璧に近い成績。

「なるほど。国防総省からリクルートはどうしたの?絶対にCIAとかからも誘われるでしょ?」

「航空攻撃誘導しながら銃を撃つのが好きなので……」

どんでもないジャンキーを連れてきたな。まぁ、レイノーツのお小遣いを減らしてと。

「よろしく頼む。エミレーナ。僕のことはスリーで構わない。僕達は基本的には家族スタイルだ。そして守って欲しい約束が1つある。絶対に罪の無い民間人を殺さないでくれ」

「承知いたしました。これからよろしくお願いします!経理とかも任せてもらえればと……」

なんで?自ら仕事を増やすんだ?

「理由を聞いてもいい?」

「私……その……細かい仕事が好きで……その精密さと集中力とかでJTACの誘導も高レベルで実現できたので、仕事が無い時は任せて欲しいのです」

「分かった。能力を維持するためなら認める。一応監査は付けるからね。それじゃあ何か食べる?」

「はい!ピザが食べたいです」

僕は冷凍ピザをオーブンで焼き、応接室へ持ってくる。途中焼けたチーズの匂いに僕までお腹が空いてくる。

「あまり調理は得意じゃないけど……」

彼女は元気よく食べていた。コーラもガブガブ飲む。

そして、部屋に案内し、翌朝から全員で自己紹介が続いた。

そのまま、迫撃砲陣地防衛演習を、荒野で行い、各自の練度の確認もした。それぞれが役割をこなせており、トラブルで無線機が壊れても、流石と言うべきかエミレーナがすぐに無線機をレイノーツの操作するドローンで輸送するように指示し、強い連携がここの強みでもある。そして2日後の作戦に向けて僕達は家族の絆とそれぞれの技量が試される事となった。

第9話後編終


こんばんは!黒井冥斗です!いつもご拝読感謝致します!最近は執筆に疲れた時はプラモデルを組み立ててます。かなりイレギュラーな組み立て方や改造法らしく、万人受けはしないみたいです。

さて、エミレーナちゃんは軽いネタバレにはなりますが航空攻撃誘導をほとんどしません…執筆途中では必要になるだろうと考えていましたが皆の協力と優秀さでただのライフルと通信要員に…

そんなエミレーナちゃんも可愛がってくれると嬉しいです!それではお疲れ様でした!

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