1話 憑依させる洞窟
この物語はフィクションである…。
一話 憑依させる洞窟
この世界にはある決まりがある。
一 妖怪、怪物は人間を襲ってはならない。
二 人間に憑依して初めて人間を攻撃する。
三 人間を攻撃する事はあるスポーツでのみ。
そしてそのスポーツ。
怪人妖武道会。
戦うためには妖怪を憑依、契約しなければならない…。
そう、契約はある場所で行われる。
~洞窟~
ハス「あー…なんか緊張する。」
シルミ ハス (女)
ゲーム好きの高校生、白い前開けパーカーに
黒のライン、青い目と茶髪のポニーテールが特徴だ。
グール「まぁな…こっから付き合ってく妖怪だ…俺は…可愛いチャン姉が良いなぁ!」
ヤンセン グール (男)
ガタイが良くでかい、赤い半袖のベストジャケットから見える腕の筋肉と、何と言っても金髪のリーゼントが特徴的だ。
ライフン「…なに言ってんだ、お前にはそうだな…
子泣き爺がお似合いだ」
フウ ライフン (男)
黒髪に少しの天然パーマ、そしてネイビーの襟立
ロングコートを着ているのが特徴的。
グール「子泣き爺ねぇ…筋トレに使えるかもな!」
ライフン「…カッパ」
グール「実家がきゅうり育ててるからちょうど良い」
ライフン「ろくろ首」
グール「それこそ可愛いチャン姉だろ」
ライフン「お前とは距離を置くことにする」
グールは何もピンときておらず。
グール「なんでだよ!」
ハス「ライフン…何も妖怪に限ったもんじゃないんだから…」
ライフン「あとはなんだ?俺詳しくないぞ?別に…」
ハスは顎に手を当てて上を向いて考える。
ハス「そうねぇ…赤鬼とか?」
ライフンはそれを聞いて少し笑い。
ライフン「赤鬼ねぇ…確かにな…赤鬼つったら…
貪欲、欲望、渇望…ま…鬼にも種類あるしややこしいな…」
グールはそれを聞いてすぐさま割り込んでくる。
グール「確か黄鬼、青鬼はもう地上に出てるし競技に出てるぞ!」
グールはテレビで見れる試合の怪人妖武道会の話題には目がなくすぐに被りついてくる。
ライフン「はいはい…」
ライフンは軽く笑い…三人はろうそくで照らされた
洞窟をどんどんと進んでいく。
しばらくして太鼓の音と鳴子、鈴の音が響きながら
薄暗い洞窟の奥から霧が迫ってくる。
ライフン「な…なぁ…あれ演出だと思うか?」
ハス「なにライフン…怖いの?」
ハスは少し笑いながら近づいて肩に手を置いてくる。
ライフン「もう言う…怖い…」
ライフンの衝撃すぎるカミングアウトのその時だった、声が響き渡る、低いが…良い声が。
「今から試練を与える、そこの女…氷鬼…」
ハス「え?私?」
シュバッ!ハスがライフンの背後から消える。
ライフン「き…消えた!」
ライフンが驚いてる間もなく次…。
「今から試練を与える、そこのいかにもチャラついたアホ丸出しの男。」
シュ!
ライフン「俺かよっ!」
バ!
ライフンの身体は瞬時にテレポートさせられる。
そうして宙に浮いた状態で着地した先…そこは。
太鼓と三味線の音が鳴り一気に青い火のろうそくがついていく!
ボァボァボァ!
青い火のろうそくがひとつ、またひとつと灯り始めた。
ろうそくの置き方には法則があった…
迷路?のようだ。
ダークウッドの和風な木の床と壁、そこに迷路のように金属の柵、そしてその柵の上に青いろうそくが
道なりにそって置いてある…。
ライフンは周りを見渡すと柵だけでない、いかにも
チェイス系ゲームで見たことがある撒ける場所…
四角い柵に囲まれた真ん中に柱がある…。
ライフン「鬼ごっこ…とか?」
「汝が油断した直後やつはやってくる、それは汝の精神が関係し、汝によっては鬼が出ず平穏に終わる事もある」
そして聞こえてくる声は最後に言い残す。
「鬼に見つかるな、汝はヒントを見つけろ。」
ボァ…カセットテープが落ちてくる。
ライフン「なんだ…これ」
カセットテープを見るとこう書いてある。
"今のもう一回聞きたかったら使ってね!"
ライフン「…良心設計…」
バコーン!
近くで大きい音が聞こえる。
「鬼が来た」
ライフン「今の油断判定かよ!」
ライフンはカセットテープをポケットにしまい近くの隙間のない柵の影に隠れる。
ドス…ドス…ドス!ドス!!
足音が大きくなってきている、近付いてる証拠だ…
ライフンは柵から少し顔を出し姿を見る。
鬼は天井より少し低く3m…身体がとにかくでかく
筋肉質…紙は白く長く、角が生えている…
身体は水色に光っていてズボン代わりに白い布を
巻いている。
ライフン「くそっ…カーフまでしっかり鍛えてやがる…」
ライフンは考える。
ライフン「…(試練のクリア条件はなんだ…ヒントってなんだよ…)」
ドス!!!ドス!!!!
ライフン「…っ…」
明らかに隠れている柵のその奥にいる…。
状況はこうだ…鬼がそのまま道なりに進めば…
見つかる…。
タッタッタッタッ!
ライフンはそう思った瞬間迷路のような道を走っていく…!
しかし鬼は気付かないわけがない…
鬼はライフンを見つけた瞬間鳴くのではなかった…。
が激しく大きい人魂の揺れる音が聞こえる。
ドス!!ドス!!ドス!!
ライフン「っ…(案外速いぞ!)」
ライフンはとにかく走る、和風なこの部屋の中を走りまくる…。
すると二階への階段を見つける、それと同時に駆け上がる。
ライフンは足を止めずに二階へ上がりきると石で
作られた棺のような物を見つける。
ライフン「これだ!」
火事場の馬鹿力で石の棺を開けては中に入り
すぐに閉める。
石の棺中でも鬼の足音の振動は響き、音も聞こえて
くる。
ドス!!ドス!!ドス!ドス!ドス…ドス…
音が離れていく、鬼はライフンを見失ったようだ。
ライフン「なんだ…やはり…知能は鬼…」
ライフンは石の棺から出るためにゆっくり開けては外の様子を見る。
ライフンは目を疑ったと同時に考えた。
まず出てすぐ見えた景色はこうだ。
鬼がいた。
でこっちを見ていた。
そしてライフンは鬼がどういう行動を取ったのかを
考えた。
ライフンの考えた結果はこうだ…。
一回足音を出しながら離れていき…そこからあの
巨体の鬼がつま先立ちになり抜き足差し足で棺の前で体育館座りで待機。
ライフン「ぷっ…」
ライフンは自分なりに考えた鬼の行動に少し笑う。
…
とまぁ鬼は勿論見逃すわけでもなく拳を振り落としてくる。
ライフン「ひっ!やべぇ!」
ライフンは間一髪で避けては漫画並みに足を
クルクル回転させて逃げていく。
鬼は体勢をすぐさま持ち直してはすぐに追いかけてくる。
ライフン「っ…(ってか大体なんだよこの妖怪!
聞いたことねぇ!)」
ライフンはとにかく迷路を道なりに進んで行く。
しかし気づいた。
ドス!!ドス!!ドス!!
ドス!!ドス!!ドス!!
足音が二つ重なっている。
ライフンはそれに気付き立ち止まる…。
立ち止まった場所は柵に囲まれた四角い広い場所。
で予想通りもう一人、もう一匹…もう…一体
もう一体が向かい側から来たのだ。
ライフン「…挟まれた…」
二体の鬼はゆっくりとライフンを追い詰めるように両側から詰め寄ってくる。
ライフン「…ちょ…まじで…
(ヒントも何もなかったろうーが!)」
ライフンには勝ち目がない…。
が…しかし!
ライフン「これは…試練…ならば…!」
ライフンは脚をビクビク震わせながら
ファイティングポーズを取る。
ライフン「ここここここ…こいよ!」
その時だった…ピンポーン!
クイズ番組で良く使われる正解音が鳴り響く。
二体の鬼は二歩後ろに下がっては先ほどとは違う
表情を浮かべる。
そう、笑っているのだ。
ライフン「おぉ…えぇ?」
ライフンは戸惑いながらもなんとなく理解する。
ライフン「よ…よくありがちな弱くても立ち向かうってのが…クリア条件?」
ピンポーンピンポーン!
ライフン「やかましいわ!」
鬼は大きな手で拍手をしながら光を放ち少しずつ
小さくなっていく。
ライフン「な…なんだ?」
ライフンはその光景に驚きながらも鬼から目を離さない。
片方は緑色に、もう片方は白色に…。
緑の方は大きいタオルのような物を持っている。
風袋だ。
白色の方は小さな太鼓が円を囲むようについている物を背負っている。
どちらも共通するのは帯のようなものが
履いている短パンから伸びており風もないのに
ヒラヒラと舞っているのだ。
???「正解だぜ」
緑の方が話す。
ライフン「お…おおぅ…」
ライフンはまだ正直戸惑っていた、しかし緑の方は
話を続ける。
風神「俺は風神…なの通り…風の神だ。」
風神
インド神話、ヴァーユが起源の風を司る神。
悪を懲らしめ善を好む。
ライフン「あ…あぁ!」
ライフンはやっとピンと来た。
ライフン「…(やっぱ実物はちげぇな!逆マッチングアプリじゃねぇか!)」
雷神「そして…俺は雷神…。」
雷神
インド神話のヴァルナが起源の雷を司る神。
風神の対になる神だ。
ライフン「おぉ!で!俺につく妖怪は!?」
風神「え?あぁ…俺達だ」
ライフン「達…?」
風神「俺達二人は常に一緒だ…だから俺達がお前の
守護霊だ」
ライフンはそれを聞いて整理する。
ライフン「…」
ライフン「滅茶苦茶当たりじゃねぇか!きた!
シャア!オラァ!」
ライフンはガッツポーズを取る。
雷神「ふ…ガハハ!よいぞ!よいぞ!気に入った…
陽気な男じゃないか」
ライフン「そうだろそうだろ!っし!」
ライフンは喜びを抑えきれなかった。
自分が知る限りでは守護霊二人はないからだ。
風神「よーし…さて…主を元の場所に戻すとしよう
あ…そぉれぇ!!!」
風神は低く逞しい声をあげてはライフンを光で包み始める。
ライフン「うぉっ…お!」
ライフンは身体が浮いてはハッとする。
気付いたら洞窟に入る前の場所に突っ立っていた。
ライフン「…」
グール「お…ライフンが戻ってきたぜ!」
グールが嬉しそうに駆け寄ってくる。
その後ろからパーカーのポケットに手をいれながら微笑みながらゆっくりと歩いてくるハス。
ハス「おかえり」
グールの背後にはグールより大きい赤いお面をつけ藁の鎧をつけた守護霊…。
ハスの背後には165cmのハスよりも少し大きい
着物を着た狼が座っていた。
続く。
最後の二体の妖怪は当ててみてね。