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春前にて、吹雪

(健やかとばかり思っていたら、どうやらそれもまた酔狂の類のようでした。恋にも春にも、甘い感覚にはよくあることです。)


今夜の街は雪がサアァっと横降り、屋根も空気も全く白に覆われています。ずっと前から決意していたことの前夜がこんなでは、どうしても運命とか神様というものを想ってしまいます。興奮からくる白い息が夜景に混じっていきました。僕の熱情は冷めるどころかより顕著になったようです。

街を眺めていると、静かな空気に子供の声がひとつ響きました。その姿は見えずじまいでしたが、僕も内心同じ気持ちでした。いつもより少し暗い空を見上げると、どんどん雪は降ってきます。静まり返って、それは横をかすめます。積もってく白さは僕を純粋に戻してゆく気がします。

今はまさにスノードームの中にいました。冷たい雪は僕にふれて柔らかく溶けてゆくようでした。僕はいつか遠くの方から、この球体を眺めるだろうと予感しました。ある意味、幸せである(しるし)です。雪は早すぎるほどに落ちていきます。涙が熱くうずきました。なんとも心地よく、甘い夜なのでした……


春吹雪 夜霧のごときに 隠されし 子供の声も 響く静けさ

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