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おぼろ夜

霧がかるぬるい春の夜。日中続いた雨が上がり、温暖前線とやらが街を覆う。でもこの全てがぼんやりと揺れるような夜。僕の若さも際立つ。街全体がそうだから、決して覚めぬ夢のよう。魔法と言ってもいいだろう?

散歩も一旦、ベンチに座って息を吸う。ああ、少し冷たく中で温かい。これは。あれだ。優しい、悲しい涙の感覚。別に何もないけれど、湿気にのぼせていい気持ち。誰かがお酒を混ぜたのか、僕は今宵、酔っている。月もぼやける。そんな夜。

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