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ときひとつ
人生は、物語だって、誰かは言う。
間違いじゃないと思うよ、僕だって。自分の人生も一つの物語だと思えば、なかなか面白いものだし。
でもさ。その物語が人によって変わるってのがなんだか、やるせない。
もし行動できていたら、とか、もしもっと努力できていたら、とか、もしもっと誠実だったら、とか、色々思うんだよ。
でも、もう戻れない。
あんなに楽しかったことも、今ではもう触れるのが怖くなっちゃった。
弱いのは僕なのかな?
それとも、みんな同じ?
ああ、ごめんね。答えなくていいよ。
君がもし答えたとしても、僕には何も届かないし。
そりゃあ、僕にも聞いたり読んだりすることくらいはできるよ。バカにしないで。
でも、そうじゃない。僕はきっと、そう。何かを、落としてしまった。それだけだよ。
まあ、もし君がそれを拾ってくれるのなら……
あるいは、新しいものをくれるのなら、悪い気はしないけどね。