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第八話 愛の終わりと逃避行

今日中に完結までアップします。ブックマークよろしく!

「ああ、一時の感情で私は、とんでもない事を…」


 ルイーゼの前で、アーサー王子は頭を抱えていた。

 そんなにエレインを想っているなら、こんなところに来なければいいのに。

 男の心理は分からない。


「アーサー王子、そんな女の事は忘れてしまいなさい。王子の器量なら、いくらでも素敵な姫と再婚出来ます。幸いな事に、エレインとの子供は全て姫。彼女は、男が産めない運命に違いありません。男子が産める姫に乗り換えるべきです」


 私は、アーサー様に諭す。


「そんな簡単に言わないでくれ、私は彼女を愛していたんだ」


 彼は、苦しそうに言った。


「それなら何故、私が言った通り外出禁止にされなかったのですか。今度はエレイン王太子妃を完全に閉じ込めてしまうのです。大切ならば、決して逃がしてはいけません。反省するまで、子供に会うのも禁止し、猛省していただきましょう。大体、王族の子は乳母が面倒を見るもの。農民の価値観を持ち込むのが間違っているのです」


 私は、信じられないほど冷たい言葉を放った。

 全ては出まかせ、二人の仲を引き裂くのが目的だ。


「そうだな、彼女を私だけのものに…」


 アーサー王子が、私の提案に乗り気になってくる。


「彼女は、不貞行為に走ってしまう心の病なのだわ。ならば荒療治が必要です。王子の愛の力で立ち直らせましょう」


 私は、彼の手を取って、目を見つめる。


「そ、そうだな。他に手はない。やってみよう」


 彼は、完全に私に同意した。




 城に帰ったアーサー王子は、エレインを王宮の一室に閉じ込めた。


「お願い!子供に会わせて!こんなの、あんまりよ!おのれアーサー!絶対に許さないわ!!」


 その部屋からは、エレインのアーサーに対する恨み節が昼夜問わず響いた。


「すまない、お前は病気なんだ。今は、こうするしかない」


 アーサーは、青い顔で、その声を聞いていた。




 数週間が経った夜、王宮に二人の男が侵入した。

 覆面をしたランスロットとサイファーだ。

 彼等は素晴らしい腕前で、ほとんど音を立てずに衛兵を次々と倒していく。

 

 彼等は、エレインの子供達3人を連れ出し、彼女の閉じ込められている部屋に向かう。


 ランスロット王子は、覆面を取り、エレインの部屋に踏み込む。


「エレイン!」


 部屋に入るなり、ランスロット王子がエレインに声をかける。


「ランスロット様ぁ…」


 泣きはらした顔のエレインが、ランスロット王子にすがりつく。


「お子様達は、助け出しております。馬車を用意しました。一緒にランスロット王子の国へ、お逃げ下さい」


 覆面を取ったサイファーが、エレインに言う。


「分かりました。ランスロット様、私と子供達を、あなたの国へ連れていって下さい」


 エレインの目に迷いは無い。


「何も心配するな。私が必ずエレインを守る。もう決して離さない」


「ああ、愛しているわランスロット。私も、あなたから離れたくない」


 ランスロット王子とエレインは、強く抱きしめ合った。




「サイファー殿、世話になった。この恩はいずれ返す」


 馬車の中から、ランスロット王子が見送るサイファーに声をかける。


「どなたかは存じませんが、ありがとうございます。この恩は忘れません」


 エレインも、サイファーに礼を言う。


「何を、おっしゃいますやら。私は、自分の主人の為に動いたまで。既に、恩は返していただいております。どうか、お幸せに」


 サイファーは、深々と頭を下げ、夜の闇に消えていく馬車を見送った。




「ルイーゼ!お前の口車に乗ったせいで、エレインがランスロットと!」


 私の前にやってきたアーサー王子は、いきなり剣を突き付けてきた。

 ここで負けるわけにはいかない。


「閉じ込めた後、あなたは本当にエレイン王太子妃を愛で包んで差し上げましたか?」


 私は、強めの口調で聞く。


「そ、それは。半狂乱になった彼女には近寄りがたく…」


 アーサー王子は、言葉に詰まる。


「アーサー様より、ランスロット王子の愛が大きかったという事。それを私のせいにしますか!?それに、彼女と王子の価値観の違いは、どうにもならなかったはず。二人は育ちが違いすぎるのです」


 私は、彼を突き放す。


「それに、私は昔から言っておりますよね。お前と呼ぶなと!その身分を鼻にかけた態度を直しなさい!」


 私は、彼の悪癖を指摘した。


「うぐっ」


 私とエレインの言葉が重なり、彼は黙った。

 彼は、剣を落とし、膝をついて私に抱きついた。


「ああ、ルイーゼ。私は、なんと愚かな王子なのだろう。私に女を愛する資格はないのだろうか?」


 私の胸の中の王子は、とても小さく感じた。


「どんな事があっても私は王子を愛して差し上げます。だって私は、小さな子供の頃から、あなたの全てを知っているんですもの。何でも受け止めてあげるわ。私なら、愛してもいいのよ」


 私は、彼にそう囁きかけた。


「ああ、そうだったな。何があってもルイーゼ、何があっても君は私から離れなかった」


 アーサー様は、立ち上がって私を抱きしめた。


「いいのよ、悲しいなら私を滅茶苦茶に愛しなさい。こんな時、あなたなら私を傷つけてもいいの」


 私とアーサー王子は、じっと見つめ合う。

 そして、彼の乱暴なキスを私は受け入れた。


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