第七話 夜会でのランスロット王子とエレインの不貞発覚
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あれから何度も、アーサー様は、私のところにやってきてエレインについての相談をして帰っていく。
しかし、二度と私に直接触れる事は無かった。
あの日の事は夢だったのだろうか?
私は、彼の愛情がエレインに移っている事を実感し、毎夜涙する。
サイファーの、心が離れたなら取り戻せばいいという励ましだけを頼りに彼の相手を続けた。
私は、相談される度にエレインに厳しく言うようにアドバイスした。
もっと彼女を束縛すべきだと。
そして、時を待ち続ける。
「今日は、魔王を倒した勇者様達をお招き出来て光栄ですわ、あいにく夫は用事で外しておりますが、楽しんでいって下さいね」
アイザック侯爵夫人が、笑顔で言った。
彼女は、屋敷にアーサー王子と4人のイケメン貴族達を招いて夜会を開いていた。
エレインは呼んでいない。
テーブルには、沢山のご馳走と酒が並ぶ。
超絶イケメンのランスロット王子を筆頭に、銀の長髪で涼しい雰囲気のベディビエール、赤い髪に赤い服を着た派手で濃い顔のイロンシード、そして可愛い系のガレス。
全員が、学校で貴族の娘達に大人気だったイケメンだ。
彼等とアーサー王子、エレインが協力して、魔王を打ち倒した。
今日は、その面子を集めての慰労会という名目だった。
「ところで、みなさんは全員、聖女エレイン様、エレイン王太子妃に求愛なされたそうで。こんなイケメン達に愛されて、私もエレイン様の立場になってみたいものです。彼女を射止めたアーサー王子はともかく、他の方で一番仲が良かったのは誰なのかしら」
全員が酒に酔い、口が軽くなってきたところで、アイザック侯爵夫人が仕掛けた。
彼女は、悪戯っぽく笑いながら聞いた。
「俺は、何度もデートしたぞ」
イロンシード卿が、自慢げに言う。
「それは、私も同じです…」
ベディビエール卿が、静かに言った。
「僕は、いつもデートで手をつないでいたよ!」
ガレスが、張り合う様に言う。
「馬鹿を言え、そんな子供っぽい事が自慢になるか。俺は熱いキスをだな」
イロンシード卿は、そう言いかけて、アーサー王子の顔色を伺う。
「昔の事だ。気にするなイロンシード。当時私が付き合っていたわけでもなく、彼女も合意の上だろう」
アーサー王子は、笑顔で言ったが、目が笑っていない。
「あー、俺なんて大した事ないな。一番好かれていたのは、ランスロット王子だろう。はっはっは」
イロンシードは、ランスロットに振って誤魔化した。
「いえ、私と王太子妃には何もありません」
ランスロットは、静かに否定する。
「そうですか、エレイン王太子妃の態度、私には深い仲に見えましたが。確かにランスロット王子からは何も感じませんでしたね」
ベディビエールが、当時を思い出して言う。
「そうだね、エレイン王太子妃様は、ランスロット王子に、ぞっこんに見えたなあ」
ガレスも同意する。
「いいえ、誤解ですよ。私などが、エレイン王太子妃に、そこまで好かれるわけがありません」
ランスロットは、淡々と否定する。
「嘘をつけ!貴様、今でもエレイン様と会っているそうじゃないか。いまだに彼女に惚れられてるんじゃないか?」
イロンシードが、思わず秘密を漏らす。
アイザック侯爵夫人は、ニヤリと笑った。
思惑通り。
ランスロット王子に、3人にはエレインに会っている事を話せと言ってある。
「…」
アーサー王子の顔が険しくなった。
「あくまで友人として何度か話をしただけ、何の秘密もございません」
やはり、淡々と否定するランスロット王子。
「いいか、ランスロット!彼女は俺のものだ。子供も3人いる。もう、お前の入る余地はないんだ。今後一切彼女に近づくなよ」
アーサー王子は、立ち上がると、ランスロット王子の胸倉を掴んで言った。
「やめとけ、やめとけ!酒の席での喧嘩は、みっともないぞ。俺達は国を救った仲間だ、会って話すくらいいいだろう」
「おやめ下さいアーサー王子。ランスロットも、友人だと言っております」
イロンシードとベディビエールが、アーサー王子を両側から掴んで制止する。
「とにかく、二度と会うんじゃない!」
アーサー王子が叫ぶ。
「彼女が嫌と言うならば従いますが、私は配下ではない。あなたの命令は聞きません」
ランスロット王子は、そうきっぱりと言う。
「何だと貴様!他国の王太子妃に手を出す気か!」
アーサー王子が、興奮して言う。
「私からは何も。しかし、彼女の意志ならば、必ず私がお守りします」
ランスロット王子は、淡々と答える。
「いい度胸だ!今すぐ、その首を落としてやる」
アーサー王子は、腰の剣を抜こうとする。
「やめるんだアーサー!!」
「控えて下さい王子!」
イロンシードとベディビエールが、それを必死で止める。
「邪魔をしてしまったようだ。私は帰る。後は楽しんでくれ」
ランスロット王子は立ち上がると、部屋を去っていった。
「あらいやだ。こんなに二人の王子から愛されて、エレイン王太子妃が羨ましいわ」
アイザック侯爵夫人は、けらけらと笑った。
全ては酒の席の事で、不問となった。
「エレイン!」
次の日、子供部屋でメイドと一緒に子供達ををあやしているエレインの元にアーサー王子が踏み込んだ。
「お前!今でもランスロットと会っているそうだな」
アーサー王子が、声を荒げる。
「子供の前で大きな声を出さないで。ただの友人ですわ。国を救った仲間同士が会うのに、何か問題でも?」
エレインは、不機嫌そうに答える。
「ランスロットだけは駄目だ。お前、あの男とは本気だっただろう?初めてを捧げたのは奴だったな」
アーサー王子は、興奮して言った。
「お前とは呼ばないでと言ったでしょう!あなたは、いつも私を農民出だと馬鹿にして!」
エレインが、怒った。
「そんなつもりはない!」
アーサー王子が否定する。
「いいえ、違わないわ。本当は心の中で高貴な出身だったルイーゼと比べているのでしょう?あなたにとっては、初恋の女ですものね」
エレインは、ルイーゼの事を持ち出した。
「どうして、その名を今…」
アーサー王子が言葉に詰まる。
「ゴーヴァン伯爵夫人から聞いたわ。あなた、山の中の小屋で追放されたはずのルイーゼと会っているそうね。昔の婚約者の家で何をやっているのやら、なんていやらしい」
エレインは、不潔なものを見る様にアーサー王子を睨んだ。
「あれは違う…」
アーサー王子は、はっきりと答える事が出来ない。
「あなたが浮気するのは分かっていたわ。構わないのよ。王族なら、妾の一人や二人、当たり前でしょうからね。だったら、私を束縛するのもやめてほしいものね。私は出かけます」
この日まで彼女は、ランスロットと不貞行為には至っていなかった。
しかし、その日の彼女は、王宮を出て、そのまま次の日まで戻らなかった。
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