十一雫
"ドンッ"
「(--------っ)」
「な、何だ?」
「------~~~っ」
"ザッ ザッ ザッ ザッ------...."
善波、そして征四郎の二人が蔦に覆われた
来宮家の家の玄関から、中に入ろうとすると
目深に帽子を被りサングラス、
そしてマスクをした男が来宮家の家から出てくる
「・・・・」
「(--------、?)」
男は、ちょうど入れ違いに
扉の前に立っていた征四郎とすれ違う
「・・・・」
"サッ"
「-------あ、」
少し足を止めたと思うと、男はそのまま
征四郎の横を抜け広い来宮の敷地を
出口へと向かって歩いて行く....
「な、何だ? アイツは」
「------さぁ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ああ、これは、善波さまっ!?」
二人が建物の中に入り来宮家の夫人に案内されて
応接室へと着くと、そこには来宮家の当主である
"来宮 雅彦"
が、笑顔を浮かべながら
座っていた椅子から立ち上がる
「------相変わらずだなっ! 爺さんっ?」
「ええ、善波様も、あまり
お変わりないようで.....」
「変わるも何もあるかっ!?
この間会ったのもっ 三年前程だろうっ!?」
「そ、それ程経ちましたか------、」
「思ったより、時間が経ってたから、
思わずこの家の場所を
忘れていたところだぞっ!?」
「いえ、とんでもない-------」
「席はここでいいのかっ」
「ええ、どこでも
好きな所にお座り下さい------」
「(--------、)」
表情を変えず、自分に目線を向けている
征四郎を見て、善波が向き直る
「おいっ 征四郎くんっ!?
とりあえず、そこのソファーでいいみたいだ!」
「------ええ」
「どうぞ、そこの椅子にお掛けください------」
「いえ、お構いなく------」
雅彦が椅子を持ちだしたのを見て、
気遣いを受けるのも嫌に思ったのか
征四郎は片手を前に突き出し、
会釈をしながら雅彦の申し出を断る
「ガハハッ!」
善波が大きな笑い声を上げる
「何だっ!? 征四郎くんっ!?
せっかく勧められた物を遠慮してはっ!?
-------相手に失礼だろうっ!?」
「(--------、)」
「どうした? 元気が無いな?」
「いや....」
「緊張しているのかは分からんが、
何、そう構える事は無い」
「(・・・・・)」
「どうぞ、お気になさらず」
「--------、」
「ガハハ!」
何となく、だが、雅彦と善波のやり取りを見て
何故長男であるのに善波が次の御代に
推されていないかが分かった気がする
「さて、話と言うのは....!」
「征佐様の事でしょう-------?」
「・・・・」
善波の隣のソファーに座ると、簡素な
洋風造りの部屋の中に征四郎は目を向ける
「----------