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satellite  作者: ねぐせ
3/4

弱虫は静かに

日本のとある戦場


4機のガネラーが地球を守るために戦っていた。


「ライガくん、そっちいったよ」


「任せてください、ライゴット!」


ライゴットは敵の逃亡を許さずまた殺さず、的確に戦力を削いでいった。


「まったく、ガーネットさんよく許しましたね。あんな甘い戦いかた。」


「まぁ、敵の情報も知りたいし。

本来は撃破じゃなくて防衛が任務よ。人が死なないならそれでいんじゃない。」


「やっぱショタコンか。」


「やっ、違うわよ!ササキ君は評価マイナス5ね。」


「うわぁ~それはないですよ!」


「ササキさん危ない!!」


一機だけ。ライガが見落とすその一瞬で確かに命がなくなろうとしていた。

だが、それは失敗に終わる。黒のガネラーはそれを許さなかったのだ。


「大丈夫ですか!」


「ありがとうアキラくん!!」


彼はライガの同級生だったアキラ、彼もまたライガと同様にガネラーを自作していたのだ。それがついに完成し特例としてガーネット隊に入隊となった。


「ナイス、アキラ。」


「お前、詰めが甘いんだよ。気を付けろよライガ。さっ、早くアルバさんとサテラちゃんのとこにいこうぜ。」


アルバさんとサテラはガーネット隊専属の整備士として入隊した。サテラは思いの外整備が上手く、どうやら機械いじりは昔から得意だったようだ。


「オオーお帰り、四人とも。

目立った損傷は無さそうだが整備は任せておけ。お前たちは休憩だ。」


「いつも有難うございます、アルバさん。」


「なーにべっぴんさんにはこいつをサービスだ!」

そういったアルバはメロンフロートを得意気に差し出した。


「あーりがとうごさまーす」


「貴様のじゃないぞササキ(怒)!!」



「これ、美味しい。」


「おお!サテラちゃんは分かる娘だね。いくらでも飲んでいいよ」


「じゃっおれもー」


「だから、貴様のじゃないわ!」

そういわれライガの後ろに隠れるササキは情けなく見えたが隊の雰囲気は良く、特に大きな事件も無いままガーネット隊は任務を重ね、それぞれの経験と戦力を確実なものとしていった。



「共存派?聞いたことあります。

敵側と共存して地球で暮らそうって人たちでしょ。そんなんできたら俺たち苦労しないっすよ。」


「でも、私は賛成。戦わずに済むなら。」


「確かにサテラちゃんの言うとおり戦わずに済むならそれが一番よね」


「ロリコn」


「うっさい」


そんな時、どこかから蛙のような笑いが聞こえた。


「アハッアハッアハッアハッハーにぎやか結構結構。」


その声の主は軍営高校で教師をしていたホロルであった。


「ホロルさんどうしてここに?」


「いやー共存派の人たちがぜひ君に会いたいとなぁ。あってくれんか?」


とのことで、噂をすればなんとやらだが急な面会に戸惑いながらも俺たちは正直興味を持っていたので会うことにした。


「ぜひお願いします。」


「そうか、なら1つ頼みがあるのだが。」


「頼み?」


その頼みとは整備班であるサテラも同席することであった。なぜ?とは思ったが、それが条件なら仕方がないと俺たちは共存派のクレアという人に会うことになった。


「失礼します。ガーネット隊一同面会に来ました。」


「待っていましたよ。さぁ座ってください。」


クレアという人物は何か不思議な感じがした。そこに確かにいるのにいまいち掴めない印象を持った。


「さて皆さん、地球人から見て敵側の勢力の話でもしましょうか。」


「いきなりですね。ですが私も考えたことがあります。あいつらはどこから来たのか、何のために、どんなものたちが。」


ガーネットがそう話しているとクレアは可笑しそうに笑っていた。


「あぁ失礼。でも本当に可笑しくって

。」


「おかしいとは?」


「だってなにも知らないんですもの。なのに殺して殺して殺して。」


何かがおかしい。その場にいたクレア以外の人物がそう思っていた。


「1つ教えてあげます。ライガさんあなたはとても面白い。他の人と違ってあなたは殺さないのですから。」


鳥肌が立つ。言葉が体験で頭に入ってきた。


「もし、知りたいのでしたらサテラに聞いてみては。」


「ねぇサテラちゃん」


サテラを呼ぶ声が今までのクレアとは確かに違った。作ってるとかそういう類いではなく別物に変わっていた。

そしてサテラを見たとき、サテラは震えていた。嫌な夢が頭から離れないような、そんな顔をしていた。


「大丈夫、サテラちゃん?」


その心配も間も無く緊急事態を知らせるサイレンがなった。


「緊急、緊急、敵の新型と思われる機体がこの基地を攻撃しています。」


「アルバさん!サテラちゃんを頼みます。あなたたち早く行くわよ。」



「任された、だが気を付けろ。ないとわ思うが嫌な予感がする。」


「忠告、有難うございます。また、飲みに帰ります。私も好きですよメロンソーダ。」


「たわけ、わしのもんだ!あと、ちゃんとアイスクリームもつけるんだぞ!」


そうしてガーネット隊にの四人は戦場へと走った。


サテラとアルバをクレアの元に残して。


「呼んだのですか?」


「どういう意味だ、クレアさんというかた。」


「すぐにわかりますよ」


不気味な笑みは安らぎを忘れさせた。


基地の外

辺り一面には火が広がっていた。

息をする喉が焦げ、ふ菓子のように砕けた。そこに1つ赤い敵のガネラーが確認できた。


「たっく、呼ぶのが遅いだよ。

おいムーザ!どこだ!」


赤の機体の主はどうやら人探しのようだった。


「人探しか。それにしちゃやり過ぎですよ。 」


「とりあえず、早く倒しましょう。なんか不気味よあいつら。それにサテラちゃんが心配だわ。」


そんなガーネットたちの会話にどうやら赤の主は興味を持っていた。


「ああ?サテラ?サテラって言ったのかお前。アギャギャギャギャギャ。おもしれぇな面白いぜ!」


「ん?なんだあいつサテラちゃんを知っているのか?」

瞬間、まさに刹那。ササキの機体の後ろには赤い影があった。


「危ないササキさん離れて!!」


「おせーよ!」


それに正確にコックピットを狙っていた。かすりでもすれば炎で焼かれる。その場にいた兵士ならその強さはすぐにわかった。


「すみませんガーネットさん」


「いいからあなたの機体今ので撃墜寸前よ、早く下がって。これより三人で対応します。フォーメーションTー9で行くわよ。」


三人で敵を包囲する形をとり敵に隙を与えたりはしなかった。だが、敵はそれを容易に突破するだけの力を持っていた。


「ちょこまかとうっさいんだよなぁ」



「キャァァァァ」



「ガーネットさん!くそついにライガと二人かよ。」



その時、



「もうやめてマージ!」


そう叫んだのはサテラだった。


「もう戻るからこれ以上みんなを傷つけないで」


「サテラ?何をいって。」


ライガの問いに返したのはマージと呼ばれた赤の主であった。


「アギャギャギャギャ。またまたこれは面白いねぇ。お前ライガとかいったっけ。お前なんも知らねぇんだな、なーんも。じゃあ、教えてやるよ。」


「やめて!マージ、お願いそれだけわ。」


その叫びも届かずマージは説明をはじめた。


「お前らが敵だと思ってたのは、俺たちが殺した星のやつらで、お前らが正義の名のもとに殺しまくってた連中は俺らから避難してきたその星のただの一般人だったんだよ!!」


何を言ってるか分からなかった。俺たちが勝手に敵だと思い込んでいたのは助けるべき人たちだったのか。頭が追い付かない。


そんなライガにお構い無く、マージは説明をやめない。



「もうひとつ教えてやるよ、お前たちがサテラって呼んでたあいつは俺らの仲間、ムーザ・サテライトだ。ムーザのお陰で殺しやすかったよ。ありがとなぁ。偵察係お疲れぇ。」


「いや、違うの騙したかった訳じゃ」


必死のサテラの叫びもライガは冷静さを失っていた。


「嘘だ!お前は俺を騙してるんだ!」


「嘘じゃないね!逆にお前はムーザの何を知ってるんだよ、どうせなんもわっかんないんだろ!」


そんなはずないと記憶をたどっても、わからない。

そうだったのだ、なにも知らなかった。敵が誰なのか、目の前の娘のことすら知ろうとしてなかった。知らないことがこんなに悲しいことだなんて知らなかった。

ライガはなにも知らなかったのだ。


「危ない、ライガ!」


その声をライガはよく知っていた。

馴染みのある声を。


「イヤァァァァァァ」


サテラは見た。仲間がそこで焼けるのを。


「おい、アキラ?今誰がやられたんだ?アキラ?アキラ、あきら、どこだよあきら、あき、あ、」


もうだめだ。

ライガの心は折れていた。


「アギャギャギャギャギャあんまりやり過ぎるとマルネラに怒られちまうんでな、今日はここまで。

ムーザは返してもらうぞ、じゃあな弱虫アギャギャギャギャギャ。」


あいつの言ったことが耳から離れない頭に響いて、それで体は震えてる。自分の知ってるはずのものがなにもかも消えた。それだけで人は死ねるのかもしれないと思った。




俺は何をしてきたんだ。








なにも護れず、










なにもかも失ってしまった。

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