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聖女様を懸けて

「私が友凪ゆうなぎくんと付き合う?」

 

 冬香ふゆかは驚いたような顔で言った。


 告白した友凪ゆうなぎ咲弥さくやは、整った顔と容姿で学校では憧れの存在である。しかもサッカー部のエースという事もあって、放課後の部活ではいつも女子に騒がれているんだ。

 そんな友凪がなんでいきなり、冬香に告白をしたんだ。すると、彼が口を開いた。


「僕と冬香さんは、学校でも一番の人気者で憧れの存在だからお似合いだと思ったんだ。駄目かな?」

「それは……」


 冬香は俺の方に顔を向けて、何かを訴えるような目をしている。あの目はきっと、いやがってるんだよな。

 その瞬間。周りにいた、一人の生徒が拍手をする。一人の拍手によって、一人、また一人と拍手が広がっていく。もしかして告白が成功したと思ったのか。それとも誰かがわざと拍手をしたのかな。

 付き合ってもいないのに教室の中は、お祝いムードになっていった。このまま俺は黙っていていいのか。

 友凪は周りの生徒の反応を見て、口を開く。


「誰も僕達が付き合う事に、反対する人はいないみたいだね。付き合ってくれるかい、冬香さん?」


「ダメだ! 冬香は付き合うなんて言ってない!」


 その言葉を聞いて俺は考えるよりも先に、動いていた。

 友凪はさっきまで一度も見ていなかった、俺の顔を見てから話し掛けてくる。


「君は冬香さんの知り合いかな? もしかして付き合ってるの」

「いや付き合ってないけど……でも冬香が嫌そうな顔をしてたから」

「ふーん、でも君も口を出すってことは冬香さんの事が好きなのかな?」

「そ、それはまだわからないけど……」


 俺の曖昧な答えに、友凪は呆れたような顔になる。


「そんな中途半端な気持ちなら、止めないでもらえるかな」

「えっ」

「だって、冬香さんの事をなんとも思ってないなら止める必要もないだろ」

「そういうわけじゃない。俺は冬香の事を……大切な人だと思ってるから」


 そう言うと、友凪は俺を笑うかのように微笑んだ。


「そっか、じゃあ僕と勝負をしようよ!」

「勝負?」

「うん。僕が勝ったら、君はもう冬香さんとは話しちゃ駄目だ。でも君が勝った場合は、僕が冬香さんとは話さない。それで勝負内容なんだけど、どうせならサッカーをしようよ」

「サッカーって、お前の方が有利じゃないか」

「大丈夫、君にはハンデをあげるから。勝負のルールは簡単、君とそこの友達で俺をドリブルやパスで抜いて一度でもゴールに入れられたら勝ちだ。でも僕にボールを取られたら負け。勝負は三本勝負、君たちは一度でも勝てばその時点で僕の負けが決まる。どうかな?」


 かがりと一緒に友凪を相手にするのか。俺は運動神経はそこまでよくないけど、篝は運動神経が良かったよな。よし、この勝負受けて立つか。


「わかった、その条件でいいよ」

「それじゃあ明日の朝、校庭で待ってるよ。あっ、あと君の名前はなんていのうのかな」


「俺は伊藤いとう奏人かなとだ」


「いい名前だね、覚えておくよ」


 そう言って友凪は帰っていった。

 明日の朝、勝負するのか。勝てるか不安だけど、なんとしても勝つしかない。

 こうして冬香を懸けた勝負をすることになるのであった。

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