聖女様と友達とお昼ご飯
昼休み。俺と冬香が一緒にお昼ご飯を食べていると、後ろの方から視線を感じる。試しに振り向いてみるとそこには、篝と椎奈が少し離れた場所で一緒に座っていた。二人が仲良くなったのはいいけど、あれって俺達の事観察してるんだよな。
俺の視線を感じたら、外を見て知らんぷりをする二人。立ち上がって二人のところに行く事にした。
俺が行くと教科書で顔を隠して、気付いてないふりをしている。そんな二人に向かって口を開いた。
「いくらなんでも、バレバレだぞ!」
「あははっ、バレてたか……邪魔しちゃって悪かったな奏人」
篝は俺の顔を見ると、すぐに謝った。だが隣にいる、椎奈は何故か何も言わない。
「まあ悪い事してるわけじゃないからいいけど、もしかして俺達の事を観察しようとしたのは椎奈か?」
「う、うん。ごめん……でも最近、冬香ちゃんが一緒にお昼食べてくれなくなっちゃったから構ってほしくて」
「そういうことか、じゃあみんなで一緒にお昼を食べようよ!」
「えっいいの!?」
「もちろん!」
冬香のところに戻り四人で一緒に、お昼ご飯を食べる事になった。
椎奈が寂しかったことを知った冬香は、こんなことを言った。
「ごめんね小鳥ちゃん! 私が自分勝手だったから、寂しい思いさせちゃったね」
「ううん。違うの! 私がわがままだからしょうがないの……本当は二人の邪魔したくないのに、この間も変なこと言っちゃったし」
「そんなことないよ。小鳥ちゃんは私の事を思って言ってくれたんでしょ。いつもありがとね!」
「ふ、冬香ちゃん……うぅ、こちらこそありがとうだよ~」
椎奈は涙目になりながら冬香に抱きついた。
初めて会った時の椎奈は俺に敵意を向けてきてたけど、それも冬香の事が心配だったからなんだろうな。きっと友達想いで良い子なんだ。
そんな事を思っている時。教室に一人の男子生徒が入って来た。周りにいた生徒は、その男子を見ると憧れの眼差しで見ている。特に女子は、キャ―キャ―と騒ぎ始めた。
その生徒は真っ直ぐと、俺達が座っているところまで来ると立ち止まり口を開いた。
「僕の名前は友凪咲弥。君が学校で聖女様と呼ばれている、綾織冬香さんだよね?」
「そ、そうですけど……何の用でしょうか」
冬香は戸惑ったように言った。友凪は俺達の事が見えていないかのように振る舞い、冬香の事しか見ていない。こいつ、何を言う気だろう。
その瞬間、友凪が口を開く。
「僕と付き合ってくれないかな?」
「えっ……」
「聞こえなかったかい? 冬香さんには僕の彼女になってほしいんだ」
友凪咲弥の登場により、平和な昼休みに不穏な空気が流れるのであった。
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