休日は友達とダラダラ
学校が休みの日。
夏休み明けから少し経って、気持ちの切り替えができてきたのに、土日休みがあるとまた夏休みに戻ったような感覚だ。しかも今日は、朝から親友の篝と一緒にゲームをしている。訳ありで一人暮らしをしているから、誰も文句を言う人はいない。
ゲームで対戦しながら、篝が口を開く。
「あっそういえば、聖女様とはどうなんだよ」
やっぱりいじってきたか。予想はしてたけど、特に進展はないんだよな。あっでも名前を呼ぶようになったのと、昼休みに連絡先も強制的にされたんだった。それを言うか。
「えっと名前を呼ぶようになったのと、連絡先を交換したくらいかな」
「おぉ、結構仲良くなってるじゃん! でもそこまで積極的に来てるのに、なんで付き合わないんだよ」
「それは……」
付き合うのが嫌なわけじゃない。聖女様と呼ばれている綾織冬香が嫌いなわけでもない。多分、浮気の事があるから慎重になってるだけだ。自分にはそう言い聞かせている。
俺が黙ってしまうと、篝が言った。
「まあでも焦る必要もないからな。奏人は色々あったんだし、慎重になるのもわかるよ」
「ありがとう篝」
「俺からしたら、奏人が付きあった方が面白いけどな」
「なんだよそれ、別に付き合っても何も変わらないだろ」
「変わるだろ。この前の休日はどこまでしたとか、どんな話をしたとか聞けるから面白いじゃん」
「人で楽しむなよ! あんまりいじってると、その事に関しては何も言わないからな」
「なんだよ、ケチだなー」
俺がそう言うと、篝はつまんなそうな顔をした。
しばらくしてゲームに飽きてきた俺達は、スマホを見ると冬香から連絡がきていた。そこにはこう書いてある。
「「あのさ、いきなりで悪いけど今日会える?」」
今は篝と遊んでるから、どうしようかな。すると続けて、こう書いてあった。
「「実は私だけじゃなくて、友達もいるんだけど大丈夫?」」
友達もいるのに誘ってくるって、どういう状況なんだろう。それなら俺も篝を連れていくか。
俺は冬香に返信をする。
「「俺も今、友達といるから一緒に行ってもいいかな?」」
「「うん、いいよ! それじゃあ学校の近くのファミレスにお昼頃来てね!」」
「「うん、わかった」」
冬香とのやり取りが終わると、後ろからスマホを覗き見していた篝が口を開いた。
「なんで俺も行く事になってんだよ」
「スマホを覗いてたなら、丁度いいや。一緒に行くぞ篝、こういうのは好きな方だろ?」
「まあ嫌いじゃないから行くか」
「あんまり俺と冬香をいじるなよ」
「わかったよ、奏人の未来の奥さんには嫌われないようにしないとな」
「その言い方はやめろ」
「あいよ」
「じゃあ、そろそろ行くか」
「おう!」
こうして俺と篝は、学校の近くにあるファミレスに向かうのであった。
それにしても冬香の友達がいるのに、なんで誘ったんだろう。
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