蝿の王
僕は……ハエだ。人々からは害虫と嫌われ、蔑まれ、そして殺虫剤などで殺される。
原因は分かってる。見た目と生活。汚い赤い目に胴体よりも長い羽、いつ見ても不細工だ。
そして、ご飯も汚い。本来は蜜や果実といった糖分を含む食べ物が好ましいだが、繁殖のために、動植物の死体や肉汁、糞などを食べ惨め今日も1日を過ごすす。
「お食事の準備が出来ました」
僕には無数の下僕がいる。中でも3人が僕によく慕ってくれる。
召使いのように僕に慕ってくれる、足が速い情報屋。
僕の邪魔をするやつを殺す、ヒットマンの殺し屋。
僕を守ってくれる、ボディーガードの護衛屋。
数えても限がないほどいるハエの中でもこの3には特に忠実だ。膝まづき、僕の食事をそっと見守る。
「ありがとう……今日は何人やれた?」
「聞く限りでは、本日で1200人ほどです……」
「そうか……それではダメだ! 僕はいつか、君たちを幸せにする! 君たちの未来は僕が切り開く。だから、いつまでも僕に付いてこい!!」
薄暗い森の奥。さっきまでうるさく飛んでいた無数のハエたちが、一斉に止まり、僕に頭を下げる。
「「「それでこそ我らの君。我らが主。……我らの王、蝿の王!!」」」
薄暗い森で本日は王の喝采が聞こえてる。
ネクロマンサーと手を結ぶ日は近い……。