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追い掛ける三味線
幼い頃の夢です。
本人にとっては悪夢です。
そして…三味線が苦手になった理由の一つです。
幼い頃、三味線から追い掛けられる夢を見た。
物体は間違いなく三味線だった。
走って逃げても追ってくるので、トラックに乗ろうとしている父に一緒に乗せてと懇願し、乗せてもらった。
夢のなかの父はこちとら必死なのに笑っていた。
青いトラックが発進しても、どれだけ走っても三味線は追ってくる。
もっとスピード出して!と必死に訴えても三味線からは逃げられなくて、とうとう道が終わるところで夢の記憶は終わった。
あれから二十年がたった頃、両親にそんな夢を見た話をした。
「ああ、あんたも見たんだ」と当然のように返された。
父が、知人の奥さんの形見分けでもらった三味線を持って帰ってきて以来、夢見が悪くうなされていた時期に重なっていたらしい。
その三味線は、清めて海に流したとのこと。
夢のなかで三味線として出てきただけマシだったと、今は思う。
いやなオチでした。
わが家には何故か当然のように起きてしまうモノがあるようです。