1日目―相談
「な・・・」
あまりにも唐突な言葉に空気が凍る。
「私のクリア条件は・・・食料ボックス・・・15個の収集・・・。
実際は・・・15個のボックスを・・・アラーム解除・・・すれば良い。」
全員がしおりに注目している。
「それに・・・NO.14のシークレットが気になるなら・・・大丈夫・・・
お兄ちゃんが・・・NO.14だから・・・」
そういう事か・・・
俺は亜希のリストバンドを取り出し、横のボタンを押す。
「これがNO.14の条件だ。」
【誰にも知られず、24時間以内に3人以上の前で暴行を行う】
「先ほどの会話中、試しにしおりを叩いてみたら外れた。
暴行の強弱は関係なかったみたいだな。」
全員が驚きの表情で俺を見てくる。
「だが、しおりのクリアを手伝うと約束しているし、NO.1・11の存在がある。
ゲーム終了まで俺はしおりと一緒に行動する事にしている。」
「そうですね。たとえ条件をクリアしていても狙われる危険性はあります。
ナンバーに関係なく、お金に目が眩んだ人間などもね・・・」
村上が付け加えてくる。
「ああ、その辺を考えるとゲーム終了まで気を抜く訳にはいかない。
はした金なんかより命の方が大事だからな。」
「20億円をはした金とは剛毅だな。
だが俺もその意見だけは同じだ。」とケンジ。
「聞いておいて悪いが、私は教えるつもりはない。
あったばかりの人間を信用できるほど、強くないからね。
・・・でも悪いから、これだけは言っておく。
私は誰かに危害を加えないといけないナンバーじゃないから。」
「申し訳ありません。私も明日香さんと同意権です。」
マナミと明日香は出あったばかりだ。
ナンバー的には、危害を加えてこないと確認できただけ良いだろう。
この2人のナンバーも知っていれば後々助かるが、疑われる行動をとる必要も無い。
「俺は・・・10だ。」
ケンジがリストバンドを見せてきた。
液晶には【NO.10 4/15】と表示されている。
番号は予想通りだったが、行動は以外だった。
「気づかれねぇように行動していたつもりだったが、・・・既に気づいている奴も居るしな。
隠しても仕方ねえだろう。
それにNO.4がいるんじゃ協力した方が良いだろう。
俺に譲ったところを見ると、見つけた後壊しても問題ねぇんだろ?」
「ん・・・開けさせて貰えば・・・問題ない」
この口ぶりからすると、俺たちと行動を共にしたいと言う事だろう。
「なら、一緒に行動する・・・いや・・・させてくれ。お願いする。」
俺としおりに頭を下げてきた。
しおりが俺を見てくる。好きにしろという風にう頷いてやる。
「ん・・・よろしく。」
それまで黙ってみていた三田が口を開く。
「私は・・・後で3人にだけお話したいのですが、よろしいですか。」
三田は話す人間と話さない人間を選んだ。という事か。
「判った。後で聞くよ。」
なので頷いておく。
村上はずっと黙ったままだ。
時折何かを考え込んでいる。
「村上、言いたくないなら無理に言わなくていい。」
声をかけるが、難しい顔だ
「いや、・・・ブランクプレーヤーが居ればもう少し簡単だったんだが・・・
まぁ、ここに居る人には安心して貰う為に言っておこうか。」
見せてきたリストバンドには【NO.11 0/3】と表示されていた。
全員の顔が引きつる。
「最初に言っておくが、僕はこの条件をクリアするつもりは無い。
ブランクを探し出し、守って最後には解除して貰うつもりだ。
私が警戒しているプレーヤーは、NO.1・6・金に目がくらんだ人間。だけのつもりだ。
修二君のように、金に魅力は感じているが、そのせいで命を落とすつもりはまったく無い。
だから誰かに恨まれるNO.11のクリア条件も、するつもりは無い。」
最もな意見を言っているように見えるが、何故か違和感が残る。
本気でその言葉を信用するには何かが足りない・・・そう思わせる。
服を引かれる・・・
後ろを見るとしおりが首を振っている。
どうやら、この子は思っていたより頭が切れるようだ。
目だけで頷き、意思を伝える。
ケンジは問題ないだろう。三田は・・・まだ判らない。
だが、他の人間よりはまだ信用できる気がする。
「村上さんありがとう。
その言葉、信用させて貰うよ。」
言葉だけなら何とでもいえるな・・・
「それで皆はこれからどうするんだ?
俺はこれからケンジと三田と少し離れた場所で話をするつもりだ。」
「僕は、ブランクプレーヤーを探しに行こうと思う。
君たちと行動を共にしたい気もするが、ブランクプレーヤーを探しながらじゃ、ボックスを探すのは難しいだろう。」
「村上さんがよければ、私もついて行きたい。
私もブランクプレーヤーに会っておきたいから。」
明日香は村上の方を信用したという事か・・・
もしくはNO.6か8という可能性だ。
どんな理由かは分からないが、先ほどの状況を見るに下手な詮索は藪をつつくだろう。
「私はもう少し残ります。」
マナミは1人になるみたいだ。
「判った。
なら、俺たちは少し話しをしてきます。失礼しますね。」
リュックを担ぐと、しおり・ケンジ・三田に目配せする。
「ん・・・」
「判った。」
「行きましょう。」
3様の返事が返ってきたので、玄関へ向かった。
玄関から出ると、10分ほど歩いて森の入り口まで移動する。
「ここらで良いかな?」
既に夜の帳が落ちてきているが、まだ周りが見える程度だ。
木の根元に腰を下ろすと、他の3人も腰を下ろした。
「最初に三田、話を聞いてもいいかな?」
「ハルカで良いわ。
私のナンバーは2、条件はリストバンド7つを集める事です。
貴方達は信用できると思ったので話させてもらいました。
可能なら、一緒に行動したいと思ってるわ。」
ほとんどは予想通りだな。
行動まで考えていたのは予想以上だったが・・・
「判った。
一緒に行動するのは問題ない。
だが、その前にしっかりと現状を把握して貰いたい。」
そう言って、リュックの中身を2人に見せる。
「そっ・・・それはっ・・・」
「ほっ・・・本物なのですか?」
中に詰まれた銃器類を・・・