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1日目―牽制

「俺の来た方向は分かるか?」


「ああ、分かってる。」


「なら、1kmほど先に行ったところにボックスが放置されている。

 中身だけで良いから持ってきてもらえないか?」


ケンジに先ほどのボックスに残してきた食料品を持ってきてもらうよう頼む。


予想通りなら、喜んで向かうはずだが・・・


「分かった。箱は重いから破棄していく。

 合流先はこのセーフティエリアで良いんだな?」


「ああ、そこに放置してきたボックスを持って俺達も向かうから、待っていてくれ。」


「分かった。そっちは箱毎持ってくるのか?」


「ああ、ボックス毎もっていく。」


気づいているのか、気づいていないのか・・・


多分この様子じゃ本人は気づいていないだろう。


「じゃ、先に行ってるなっ」


ケンジは後ろのボックスがある方向へ走っていった。


「あの・・・?」


三田が質問してくる。


「なんで、私達が向かう方ではボックスを持っていかないといけないんですか?」


・・・これは素だろうか


まぁいい、


「さすがに物が多ければ、少しぐらい重くても箱がないと大変だろう?」


「なるほど、そうですね。失礼しました。」


簡単に納得してくれた。


これは少し別な意味で三田も危険かもしれないな。




俺達はもう1つのボックスを回収すると、ケンジと待ち合わせをしていたセーフティエリアへと入った。


セーフティエリアは山小屋だ。


玄関を抜けると、2人組の女性とケンジが居た。


奥に扉が見えることから、最低でももう一部屋あることが判る。


「始めまして、鈴木 真奈美です。 マナミと呼んでください。」


「鈴木 明日香。 鈴木だと被るから明日香で良いわ。」


2人とも私服だが、おそらく高校生ぐらいだろう。


マナミはショートカットの似合うボーイッシュな少女。


明日香は和風美人・・・何故か和服を着て佇んでいる。


ケンジは居心地悪そうに部屋の隅に座っていた。


俺達5人と挨拶をすると、ケンジの提案でルールを教える事になった。


予想はしていたが、やはりケンジは信用出来る人間かもしれない。


「そう、悪いわね。何も提供できる情報がないのに。」と明日香。


「ここにあった食料でこの人数じゃ少ないですが、これで何か作りますね。」とマナミ。


「なら、ここに食材は沢山ある。これで作って貰えないか。」


「修二・・・いいの?」


「ああ、作って貰えるなら、材料ぐらいは提供させて貰おう。」


「うわっ、こんなにいいの?ありがと~、張り切って作らせて貰うね。」


「・・・私も・・・手伝う。」


「俺も手伝おう。これでも自炊してるんでな。」


と、マナミ・しおり・村上の3人は台所へ消えていった。


ケンジはそわそわしている。


助け舟を出してやるか。


「ケンジ、この2つの箱はもう使わないし、邪魔だから捨ててきてくれないか?」


「おう、ちと荒っぽいが小さく壊して捨てておくよ。」


ケンジは部屋の隅で箱を壊し、小さくしてからゴミ箱へ捨てていた。


手持ち無沙汰なので、明日香と三田から情報を聞き出す。


「俺は薬品会社でバイトの契約書を書いているときに意識を失った。

 そして気が付いたらここに居たんだが、君達はここに来た時を覚えているかい?」


「言う必要はないな。」と明日香。


「私もアルバイトの初日に行った筈が、気が付いたらここに・・・」とは三田。


「俺はプロテストの会場に居たはずが気が付いたらここに居たって所だ。」途中からケンジも会話に加わってくる。


「そうか、何かヒントがあればと思ったが、やはり難しいな・・・」


この調子だと、他の参加者も同じだろう。


ここに来た理由から運営を割り出す事は無理か。


ならば、この2人がどんな人間か探っておかなくてはな・・・


「気に障ったら許して欲しいんだが、何故明日香は和服なんだ?」


「悪いが言う必要が無い。」


「・・・そうか、すまなかった。」


駄目だ・・・この少女は情報を探らせてくれない。


「三田は制服から見ると、高校生でいいのか?」


「え、ええ。」


「見覚えがあるんだが、もしかして白鷺女子じゃないのか?」


「そうですよ。良くご存知ですね。」


白鷺女子学院


いわゆるミッション系の学校だ。


となると、三田は金持ちの娘、賞金に対しての欲は少ないと見ていいかもしれないな。


「その制服は男子の間じゃ有名だからね。」


「修二、この状況でナンパはやめておいたほうがいいぞ?」


「いや、ナンパをしてるんじゃなく、円滑な人間関係を作ろうと努力しているんだが・・・」


「ああ、それはすまなかった。」


ケンジは悪ぶってるくせに根が真面目なんだろうな。





「出来た・・・」


そう言ってしおりがスープを運んできてくれる。


「結構材料あったから、色々作ってみたよ。」


マナミはサンドイッチを運んでくれる。


「スパイスはあまり多くなかったので、味付けはシンプルで申し訳ないがね。」


村上はサラダを持ってくる。


夕飯にはあっさりしてる気もするが、俺達は夕飯を腹いっぱい詰め込んだ。



そしてゲームの話題になってくる。


「このゲーム、本当だと思うかい?」と村上


俺は本当の事を言うつもりは無い、


「少なくとも、本当と思って動いた方が最悪の事態にはならないと思っている。」


無難な答えを返しておくと、


「ですが、ルールの中にはひ・・・人を殺すルールも含まれて居ますっ」


三田は臆病なのだろう、やはりルールのこの部分が引っかかっているようだ。


「私は・・・修二と・・・一緒」


しおりは全て俺に託しているようだ。


その信頼には答えてやらないとな・・・


「名乗り出ないとは思うけど、ここにブランクの人って居ないよね?」マナミが聞いてくる。


まさか、マナミはNO.6か8なのか・・・


冷や汗が出そうだ・・・


察知される訳には行かない・・・何とか話をごまかそう・・・


「マナミは・・・NO.6か・・・8なの?」


しおりは直球だ・・・


「ううん、違うけど、ここにブランクプレーヤーがいれば皆助かるんだよね。

 だったらここの全員で行動した方が言いかなと思って・・・」


「マナミ、ここに例えブランクが居たとしても、NO.8が居る可能性もある。

 だったら名乗り出ないと思う。」


明日香の言うとおりだ、うかつに返事する訳には行かない。


「でもよ、NO.8がいてもブランクに最終日に外して貰えば良いだけじゃねぇのか?」


ケンジの言った事は俺も思っていた疑問だ・・・誰か答えが分かれば・・・


「確かにそう思うけどね、メモに書いてあった条件とリストバンドの条件は厳密にまったく同じではないのだよ。」


どういうことだ?


「例えばシークレットだが、メモにはまったく書いてないことをNO.14は行動する訳だろう?

 その時点でメモとブレスレットにズレが生じている。

 同じ隠し設定が無いとは限らないと私は思っている。」


隠し設定か・・・


たしかにしおりはメモの内容ではボックスの収集だが、開錠をすれば個数にカウントされ、その後どのように扱おうが関係ない。


もし、NO.8も隠し設定で『ブランクプレイヤーの効果は発揮できない。』とかになっていれば、俺を間違いなく殺しに来るだろう。


「NO.8はブランクプレーヤーの効果が及ばないとか付いている可能性か・・・」


「まさしくその通りさ、さすがに修二君は頭の回転が速いね。」


「そういう訳でも・・・」


「でも、確かにブランクプレーヤーは早いところ見つけないといけないね。」


「どうしてですか?」


「NO.8には悪いけど、他の人間のメリットが多すぎるからね。保護しなければならない。」


・・・これは本心なのだろうか。それなら俺のナンバーを言うべきだ。


だが・・・ターゲットを見つける為であれば・・・


俺が悩んでいると、しおりが目配せしてくる。



「なら・・・皆がナンバーを言えばいい・・・私はNO.4」


しおりが爆弾を投下した

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