1日目―仲間
「伊藤・・・しおり、ナンバーは・・・4」
ポツリポツリと話してくれる。
ナンバーは予想通り4だった。
食料ボックスを探すのは3人で行っていたが、アラームの解除は少女―しおりが行っていた。
ならば考えられるのはしおりのナンバーが4か10という事だ。
渡されたボックスは壊されてすらいなかった。
ならば、アイテムボックス収集の4という事になるだろう。
あとはしおり自身の問題だ。
先ほどまでの行動から、しおりは無害な人間だと判断しても・・・いいと思う。
彼女なら同行する事に異論はない。
「・・・とりあえず移動しよう。」
食料・装備のボックスと、外れて転がっていた亜希と如月のブレスレットを拾い上げ、しおりのボックスがある場所へ案内して貰った。
隠し場所は自然とも人工的とも取れる洞窟だった。
蔦で覆い隠された入り口から入り、まっすぐな道を3分ほど歩いていく。
道は3つに分かれており、右側の通路へ入るとボックスが4つ並んでおいてあった。
持ってきたボックスを並べると、ボックスの中に入っていたリュックを取り出し、その中に水・銃・リストバンド・いくつかの携帯食料を入れて地面に置いた。
リュックの隣に腰を下ろすと、しおりに話しかける。
「これからのことを相談したいけど良いかな?」
しおりが俺に習って腰を下ろす。
「まず、やるべきことだが、残り1つのルールを調べなくてはいけない。
次にしおりのクリア条件を達成しなければならない。
あと、知っていれば教えて欲しいんだが、斉藤のナンバーは聞いていたかい?」
「私は・・・お兄ちゃんが・・・居てくれれば・・・大丈夫と思う。
斉藤さんは・・・NO.9って言ってた。」
「そうか・・・」
ギュっと服を掴んでくる。
ブランクの効果か。
確かにブランクプレーヤーと一緒にいればリストバンドを外せるはずだ。
うまく4日目までここに引きこもり、タイムアップを待つという手が使えれば問題ない。
ここの入り口はかなり見つかりづらい。
だが、これはゲームなのだ。
ゲームならば、キャラクターが動かないほど退屈な物はないだろう。
その場合、てこ入れをされるか、最悪処分される可能性もある。
また、最悪のケースとして、俺が死亡するという可能性もある。
その場合、ブランクをあてにボックスを探していなければ、死亡する可能性が高くなる。
もちろん死ぬつもりは毛頭ないが、パートナーとして組む以上、お互いに最良の選択をしなければならない。
「いや、万が一の可能性は考えて行動しなければならない。
それにルールが判らなければ、何が引き金となり、ペナルティが発生するか・・・
今はしおりの条件の為にもボックスを探しつつ、残りの人と会わなければならないんだ。」
「うん・・・分かった。」
「それと、斉藤のナンバーは確認したのか?」
「リストバンド・・・見せ合った・・・」
「判った。ありがとう。」
今度はリュックの中から亜希と如月のリストバンドを取り出す。
横のボタンを押すと、
亜希の方はNO.14を如月の方はNO.5を表示した。
如月と斉藤は競合しあう番号だ。
奪い合う可能性も高いが、協力する事でデメリットを消す事が出来たか・・・
因みにNO.14のクリア条件は「誰にも知られず、24時間以内に3人以上の前で暴行を行う。」だった・・・
先に言って貰うことも出来なかったんだな・・・
リストバンドを見る。
現在 05時29分15秒
すでに5時間半経っている、セーフティタイムは残り18時間。睡眠も十分とらなければ残りの3日がきつくなる。
最低でも10時間前には睡眠をとり、セーフティタイム終了2時間前には起きていなければならない。
しおりは残りの人と会わなければならないと言った時、瞳に暗い影がよぎった。
先ほどの件が尾を引いているのだろう。
「大丈夫だ、俺が守ってやる。
それに如月のような人間が他にも居るかもしれない。」
安心するように囁いてやると、
「お兄ちゃんは・・・私が守る・・・」
俺の服をぎゅっと握り、抱きついてくる。
妹の姿がダブり、いつもの癖で頭を撫でていた。
最初はビクリと反応したが、すぐにくすぐったそうに目を細めている。
「それじゃ、行こうか。」
ビーッ!ビーッ!ビーッ!
「お兄ちゃん・・・これ・・・」
「見つかったか、15個なんて難しいと思っていたが、意外と早く集まりそうだ。」
探し始めてから5時間
いまだに人と会うことは出来ていないが、ボックスは効率よく見つけられた。
最初のうちはなかなか見つけることが出来なかった。
だが、1個目に見つけたところ、2個目に見つけたところ。
その間はちょうど1kmで、その間はどれだけ探しても見つかることは出来なかった。
ボックスを中心に1km以内には他のボックスは存在しないようだ。
逆に言えば、ボックスを中心に半径1kmの辺りを探すと、高確率で見つけることが出来た。
6時間でボックスを5個、ハイペースで見つけることが出来ているんじゃないだろうか。
だが、周りを見ると、そろそろ日が暮れそうだ。
「タイムリミットだな。しおり、クリア状況はどうなっている?」
「んっ・・・」
リストバンドを俺に見せてくる。
【NO.4】
【クリア条件 食料・装備ボックス15個の収集】
【達成率 10/15】
と表示されている。
「後5つか、この調子なら明日には大丈夫か。」
「んっ・・・」
地図を確認する。
ここからだとセーフティエリアが近いな。
「ボックスの中身を回収しつつ、セーフティエリアへ行こう。」
「わかった・・・」
ボックスの中から携帯向きの食料、何かの金属コード、医薬品、銃と薬莢を取り出しバックへつめる。
しおりはもう1つのボックスの方に向かったようだ。
見つけ出したボックスは銃器だけ取り出し、後は雨にぬれないよう隠してある。
今回と前回は、そろそろ終わりだろうと銃器だけ抜いて置いてある。
バックを担ぎなおし、しおりの向かった先へ駆けていく。
10分ほど歩いたろうか、しおりが立ち止まり、その前には6人の男女が立っていた。
油断していた・・・
人に会わなかったことで、警戒が緩んでいたんだろう。
しおりを守る為、走り出した。
追いつき、守るように男女としおりの間に身体を挟みこむ。
まだセーフティタイムの時間中だ。
相手は6人、それだけ居ればルールは揃っていておかしくはない。
ルールを把握しているなら危険はない・・・はずだ。
相手は・・・男性3人、女性3人
リーダーだろうか、一番前に居る男性は25歳ぐらい、爽やかな営業マンといった風貌だ。
残りの男性2人は高校生だ、1人は目つきが鋭く、武道など習ってそうだ。
もう1人は普通の男子高校生。俺と似たようなものだろう。
女性3人の内、1人がOLだろう。 ウェーブのかかった髪で、会社の制服を着ている。
後2人は高校生、1人は真面目そうな肩までストレートの少女、目つきが鋭い。
もう1人はどこか亜希を髣髴させる少女だ。雰囲気が似ているのだろうか。
等と考えていると、営業マンの男性が声をかけてきた。
「警戒しないで良いですよ。24時間ルールは知っていますから。」
「・・・・そうか、それなら助かる。」
俺は緊張を解いた。
頑張って書いては見ていますが、3日に1回16時に投稿と言う事に落ち着きそうです。
ストックが出来ればもう少し頻度は上がるかもしれません。